シンガポールからインドネシアのバリ島に飛び立った。
RPGの主人公になった気分で、次の国に向かう。

順調な旅の初めてのトラブル

入国審査は、いつもドキドキだ。
怪しい人は別室に連れて行かれることもあるという。

バリ島デンパサール国際空港に降り立ち、列に並びながら頭の中で受け答えのシミュレーションをする。
いざ自分の番になり、陽気そうなおじさんの前に案内された。
癖強な英語だが、ちゃんと聞き取れた。滞在目的や期間を質問されていく。
そして、徐々にやたらとプライベートな質問になっていった。

急に日本に旅行したことがあるんだと写真を見せられ、私はひたすらに愛想笑い。
最終的にLINEまで聞かれた。
めんどくさいけど、大切なパスポートが人質だ。
教えるしかなかった。

飛行機の遅れに加え入国審査の足止めをくらった結果、予約していたホテルのチェックイン時間はオーバー。
遅れる旨を連絡するのもすっかり忘れていた。
ホテルに電話も繋がらない。

……終わった。
そう思った。
街はもう暗いし、予約なしですぐ泊まれる治安の良いホテルなんて探し方がわからない。

閉まっているホテルの前で絶望に打ちひしがれていると、タクシーの運転手が別のホテルを案内してくれた。
安全に夜を越せるなら、もうお高くついてもいいや！
と藁にもすがる思いだったが、案外ぼったくられることもなく、まあまあなレベルのホテルだった。
ありがたくて泣きそうになった。

他の国でもそうだったんだけど、タクシーで遅い時間にホテルに到着すると、運転手はちゃんとチェックインできるかまで見届けてくれる。
まあ、客がチェックインできなかったらビジネスチャンスが広がるからっていう理由もあるかもしれないが、こちらとしても嬉しい。

私は何度も運転手にお礼を言った。
でも、最後にインスタ交換を要求された。
……いや、お前もかよ。

部屋に入り、とりあえずベッドにどかっと横になった。
疲れた〜！と心の中で叫びながらも、トラブルにワクワクしている自分がいた。
何が起こるかわからないからこそ旅は楽しいのだ。

日本語ガイドに出会う

空港でタクシーを待っているとき、突然日本語で話しかけられた。
ヤンチャンと名乗る中年の男性は、数人の観光ガイドを束ねているのだという。

異国での知らない人ってちょっと怖いけど、信頼してみることにした。日本語上手だったし。
結果的に、彼のおかげでとても充実した旅になった。
格安で色んな場所に案内してくれた。

下調べがめんどくさくて完全にノープランだったので（おい）、それはもうありがたかった。

元々予約していたホテルにも無事泊まれて、他の観光客とビリヤードもした。
一緒にローカルフードを食べたり、ビールを飲んだりも。
ムスリムもビール飲んでた。

人々との思わぬ出会いが、すごくバックパッカーっぽかった。
めちゃくちゃな英文法なのに自信満々に英語を話す地元民から、何度もDon’t be shyと言われた。
私はそこまでシャイじゃないと思っていたけど、ワールド級の陽キャの威力にひれ伏した。

ニコニコしていると、色んな人が話しかけてくれる。
それは、更なるニコニコをゲットできるチャンスとなるのだ。

楽しいことを見つけたいなら、それ自体を楽しむ心持ちが大事。
レベルアップした私は、次の国に向かった。

次の国▶︎タイ に続く
お楽しみに