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『運命の恋をかなえるスタンダール』 水野敬也

机から猫型ロボットが、ランプから妖精が、本からスタンダールが出てきて色んなことをしてくれる。

ひょんなことから水野敬也さんのブログを読んだら、ひっじょーに面白かった。そこでこの本が出てきたので読んでみた。ほら、タイトル通りに運命の恋がかなったら嬉しいし。

主人公は図書館で働く冴えない女子、聡子。ある日図書館にフランス文学を探しにやってくるイケメン(通称「マリウス」)に恋をする。部屋にあった『恋愛論』を開いたらスタンダールが現れて…というお話。実生活ではモテなかったというスタンダールだが、聡子に恋愛指南していく。

私は外国人の名前を覚えられないので外国の本があまり読めない。水野さんの本を読まなかったらスタンダールのことを知らずに生きていったことだろう。彼で有名なのは「結晶理論」というものらしい。塩坑に入れておいた枯れ枝は、塩の結晶がつくことによってダイヤモンドで飾られたように見える。同様に恋をしていると、対象が実物以上に素敵に見えるようになる。だから、相手には自分への結晶作用を増大させ、自分は彼への結晶作用を増やすことなく、上手くやりなさい、そのためにこういう時はこうしなさい、とスタンダールが本から出てきて適宜教えてくれる。

ブログほどのくだけた感じ、くだらなさを楽しむ感じ(褒めてる)はないけれど実に読みやすい。私は水野さんの『夢をかなえるゾウ』も読んだはずだが全然内容を思い出せない。ここに一つ印象的なことをメモしておこう。「(ファム・ファタルについての流れで)悪女になるための第一歩は、悪女の『悪』に、『戯れ』と書いて『悪戯(いたずら)だ。』なるほど、いたずらは悪の戯れだ。

するすると読み終えて終盤、あることが発覚してホロリとした。非常に馴染んでたけどそれ伏線だったのね!恋愛テクを必要な時に思い出せるか全く自信がないけれど、深層心理に刻まれて上手く作用したらいい。それか必要になったら、またこの本を手に取ろう。

136 運命の恋をかなえるスタンダール


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