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『ゆっくりおやすみ、樹の下で』 高橋源一郎

おばあちゃんの家で過ごす夏休みは何かが起こる。いつも一緒にいるお父さんやお母さんじゃない大人は、別のことを教えてくれる。小学5年生のミレイちゃんが鎌倉にある画家のおばあちゃん家「さるすべりの館」で過ごした夏のお話。

設定がもう素敵なのだが(『西の魔女が死んだ』とかこういうお話、好き…)、おばあちゃんのきらきらした言葉やエピソードが胸に染みること染みること。開かずの部屋の匂いを『時間の香水』って表現するって…キュンキュンして悶えてしまう。そして犬の散歩の行き帰りで違う人間になること。(さて、何があったでしょう?)私のおばあちゃんも私にたくさんのことを伝えようとしてくれていたんだろうけど、私はおばあちゃんにさえ人見知りでうまく受け取れなかったことをとても残念に思う。でもそれも全部わかっていてくれたんだろうけど。

不思議なことも起こったりするひと夏。そして最後に繋がるこのタイトル。電車で歯を食いしばり鼻をすすりながら読んで顔を上げたら、前の人と、目が合った。

私にとって初 高橋源一郎。(難しそうだから読まなかった)このお話は朝日小学生新聞に連載された、彼初の児童文学だそう。この本は高橋源一郎さんの愛と熟練の技、そして魔法がふんだんに詰まっている。2/16に四谷で講演があるらしい…行こうかな…

83 ゆっくりおやすみ、樹の下で


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