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『しいたけ.の12星座占い 過去から読むあなたの運勢』 しいたけ.

「うわ~ん、しいたけ.おにいちゃ~ん!あのねあのね」と、子供になってしいたけ.さんの足元に駆け寄ってすりすりしたくなるような本。私はそういうことが素直にできる子供ではなかったのだけれど、そしてしいたけ.さんは私より年下だろうけど、そう思わせてくれるほど、しいたけ.さんの文章は大きくて、優しい。しいたけ.さんも「全部の星座が子供みたいでかわいい」と書いていてくれているのだが、読めばわかる。彼は各星座ごとのめんどくさいところまで愛しんで見守ってくれているのだ。なんていう安心感。

しいたけ.さんも本の中で書いているけれど、占いって忘れる。私はすっかり忘れる。なんであんなに一生懸命感情移入しながら、自分ごととして読んでいるのに忘れるんだろう。今回も一喜一憂して読んだけれど、翌日思い出せたのは「これからかなりモテる(やったー!)」だけだった。よっぼどうれしかったらしい。それ以外全部忘れた。あと、巻末の方に会った、あるシチュエーションに対して現れる各星座の違いが面白かった、すごく。

今回は2018年までの過去、2019年の今、そして2020年以降の未来を流れとして見る占い。そういえば過去を見直す占いって、見たことがないような気がする。おそらく「占いが当たったか、当たらないか」がバレてしまうから、正誤をウリにする占い師は避けたい切り口なんだろう。しいたけ.さんの占いの場合、当たる当たらないかはなく、流れのとらえ方や、星座ごとの癖との付き合い方、生きていくためのTipsだったりするので、過去から見ても決して違和感がない。むしろ人生というものは、これまでに培ったものを活用して進んでいくものだから、しいたけ.さんの過去の振り返りからの流れはとても着実、誠実な印象を受ける。「あなたはこれまでに新しい世界に切り込むために、xxな取り組みをしてきました。それが今こういう形で実を結んで、さらにこういう風に展開していきます」って、近未来だけを切り取ったものよりも、しっかり根付いている。人でもぱっと見の将来を話す人よりも、過去からのストーリーを語れる人の方が、説得力があるもの。

というわけで、私は今回の占いをまた読み直しました。「これからかなりモテる」以外に今思い出せることは、「好きなものは聖域で、人と仲良くなるために時間がかかる、疲れたら目の前にいる人がすべていやになるから、8割くらいで自分を詰めるのをやめておけ」といったこと。また読み返そう。

120 しいたけ.の12星座占い 過去から読むあなたの運勢


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