大奥

『大奥 17巻』 よしながふみ

キツく見えるけどいい人、あんまり良くない人、頑張った人・・・と色々な将軍や周りの人がいたと思う。記憶力が乏しいので話を隅々まで思い出すことができないが、大奥の過去巻は実家などに散逸しているため、読み返せない。でも17巻だけ読んだとしても、よしながふみさんのはすごさはわかるんじゃないか。

赤面疱瘡で男子が激減し、女が徳川将軍を担う世界。もちろん大奥に集うのは男たち。でも話のメインになっているのは大奥ではなく、代々の徳川将軍がいかに悩み、政(まつりごと)や恋愛をするか、である。17巻で運命に翻弄されるのは第14代将軍・徳川家茂(女性。女だということは周知)。男装の和宮(「男」として周知されているが実は女性)と夫婦(つまり女x女)になる。大分男性の人口が回復してきたので、徳川慶喜も京都にいる天皇も男性に戻っている。勝海舟も登場し、幕末のきな臭い香りがしてきたところ。

もちろん、これまでの確執や家茂の生まれ育ちといったことを知っておいた方が、より深く味わえるとは思う。でも、今回見事だと思ったのは和宮の描かれ方。彼女は兄を溺愛する母の愛情を得るために、行きたくもない江戸に京都からやってきたのだが、それがどうしても叶わない。その一連のエピソード、そして和宮と他の人たちのやりとりが17巻に含まれているのだが、和宮という人間がどういう人なのか、リアルに読者が想像できるように描かれている。

17巻は実に面白そうなところで終わる。男女逆転の『大奥』ならでは。また私の記憶が薄れたころに18巻が発売されるだろうけど、めちゃめちゃ楽しみにしています!

281 『大奥 17巻』 よしながふみ

よしながふみさんと糸井重里さんのインタビュー (2013年1月)


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