私の中の異性

男性の中に女性が、女性の中に男性、体の性別は一つとしても、人は男性性と女性性の両方を持つという。私の体は女で、マインドも基本的に女だが、自分の中には大学生くらいの男子もいると思う。「うわー女の子かわいい!」と思うけっこうチャラくてバカな、でもかわいい奴だ。

具体的な例を挙げよう。Suchmosの『FUNNY GOLD』のミュージックビデオを見るとき、私はけっこう忙しい。このPVではおしゃれな部屋にカメラが固定されており、横たわった裸のお姉さんの背中が目の前に広がる。最初から最後までたばこを吸うお姉さんの顔は見えない。でも私の心の中の男子が「うっわ、きれー、かわいー、顔見えないけど絶対かわいいー。昔のカヒミカリィみたいな感じかな!部屋の鏡に映んないかな、おっぱい!」とテンションが上がる。一言でいえば「ひゅー、マブいねーちゃん!」だ。(男視点→女)部屋は変化がないので、しばらくお姉さんがたばこを吸ったりコーヒーを飲んだりするのを見守るしかない。男子としてひとしきり盛り上がって冷静になると、「はーこんなセクシーお姉さんになりたい(彼女は絶対年下だ)、どうやったら同じ女性としてこのような雰囲気を醸し出せるのだろうか」と研究モードに入る。(女視点→女)

そうこうしているうちに画面にYONCE君が入ってくるので、「わーYONCE君かっこいーすきー!COOLー!セクシー!」とうっとりする。(女視点→男)するとYONCE君はおもむろに移動してギターを弾きだす。「自分もこんな風にさらっとギター弾きたいっす、かっこいいっす」と今年ウクレレを習い始めた自分は思う。(男視点→男)このように私はこのビデオを男性女性、異性同性入り乱れて見入る。

かつての職場に、乙女の心をもったアラフィフおじさんがいた。キャラクターグッズが好きで、デスクにはかわいい雑貨がゴロゴロしていた。奥さんは彼のためにかわいい缶を捨てないで取っておいてくれるという。お嬢さんもいるらしいが、一緒にかわいいものを愛でるのか、距離を置かれているのかは知らない。高級ブランドの本社オフィスで働いていた時、イベント前の開催挨拶をしている女性上司に中国の武将みたいな男性を思い浮かべたし、20代男子の中にはおばさんを見た。おばさん要素があるから、女だらけのブティックで生き延びられたのだろう。太宰治の『女生徒』を読んだ時には、「この人おじさんのはずなのに、自意識過剰な思春期の女の子がいる・・・」と思った。

AMラジオ好きの女友達は「自分の中におっさんがいるんだよね」と言っていた。別の女友達は「おじいさん」がいて、外国に行ったりしても枯れたおじいさんたちの集いにすっと馴染む。(なぜかおばあさんではない。ちょっとニュアンスが違う)私たちは同じアラフォーだが、中の男子の想定年齢は違う。おもしろい。そういうのってどこからくるんだろう。引き続き観察を続けたい。

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kyokota

日々雑感

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