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【前編】スタンドエフエム(stand.fm)に見る、マイクロマーケットの展望

1.フォロワー数での殴り合いの終焉

2020年9月から、スタンドエフエム内でのポジション獲得合戦はフォロワー数での殴り合いが主流となった。
優しいインターネットの実現とはかけ離れた現状に、初期のコアユーザーの一部は嫌悪感を抱き、より小規模で強固なコミュニティ形成というポジションをとる。
一方、既存の枠組み内にてパフォーマンスの高いユーザーは、単純なフォロワー獲得や、フォロワーの囲い込み戦略と親和性が高い事も功を奏し、短期間で大規模のフォロワー獲得を実現した。そして、この流れはSPP(スタンドエフエム パートナー プログラム)という運営の用意した収益化プログラムの発表により更に加速する。
また、このようなパフォーマンスの高さはビジネス(主に個人発信型ビジネス)により培われた場合が多く、結果として、「大規模フォロワー獲得ユーザー=ビジネス系配信者、マネタイズ系配信者」という短絡的な見え方をしてしまう。

上記の状況が、2020年9月~11月現在まで続いている
『優しいインターネット vs 稼げるインターネット』
の対立構造である。

2.フォロワー増加数の壁

2020年12月、スタンドエフエムのみで影響力を発揮し、フォロワー数3000名を獲得する配信者が現れた。
この3000フォロワーという数字が意味する事は、フォロワー数の殴り合いでは、新規参入が古参組と戦う事は厳しい事を意味する。追い上げ出来ないという事だ。
スタンドエフエムでのフォロワー獲得手段は

①時間をスタエフフォロワーに変換する
(スタンドエフエム内での配信・収録によりフォロワーを獲得する)
②既存のSNSフォロワーをスタエフフォロワーに変換する
③知名度、金銭、知識、経験をスタエフフォロワーに変換する

ユーザー分布の9割は①に属する
①に属する配信者がスタンドエフエムに注力した場合のフォロワー数変化を想定し以下のグラフとする。

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ここで伝えたい事は、市場規模が拡大しない場合、新規フォロワー獲得は、フォロワー数が増えるにつれて鈍化する傾向があるという事だ。

やるべき事をやっておけば、開始から一か月前後で、新規獲得フォロワーが最大となり、合計フォロワーは1000名を超える。その後緩やかに新規獲得数が減少し、開始3か月で2000フォロワーの獲得が見込める。

ここでフォロワー2000名までのグラフだが、2000名から3000名までフォロワーを増やす場合、さらに獲得数は鈍化し、おそらく2000→3000までの1000フォロワーは3か月以上かかると予想できる。
(実際には市場に対する新規流入がある為、新規流入分が上乗せされ、獲得数はもう少し多い)

3.周回遅れが挽回するには、先頭集団の失敗を待つしかない

上記の事から、半年かけてフォロワー3000人を獲得しても、そのころには先頭集団のフォロワー数が5000人になっているだけで一生追い付けないという構図が出来つつある。

その場合、周回遅れが挽回するには、先頭集団の失敗を待ち、自分は失敗しないようにするという、つまらない戦い方を強いられる。

ここで1つ想定だが、
スタエフ自体に100万人規模で新規ユーザーが流入する事で、これまでの数千人単位のフォロワーの差が誤差となるような状況が起これば、このフォロワー獲得合戦は一度リセットされる。
では、上記のような奇跡が起こる可能性はどの程度あるだろうか。
恐らく5%以下、ベットするには低すぎる数字だ。

4.フォロワーの数でなく、質を問いだす

フォロワー数での勝負が難しい事に、皆が感覚的に気づきだすと、フォロワーの質が重要だというポジション取りがはじまる。
フォロワーの質とは、
①フォロワーのコンバージョン率が高い
②フォロワーのGDPが高い
この2点だ。

1万に対して発信して、10人が購入するというのがツイッターだとしたら、100人に対して発信して10人が購入するのがスタエフだ。なので、スタエフの1フォロワーの重みTwitter100フォロワーに匹敵するというのが正しい勝負の仕方だと思う。

加えてフォロワーGDPだが、フォロワーの可処分所得合計金額も重要だ。
フォロワー10人でもその10人が一回100万円使ってくれる億万長者であれば、1千万の収入だ。
フォロワー10人でもその10人が10万フォロワーにリツイートしてくれる10人であれば、100万人に発信できる。
フォロワー10人でもその10人がベストフレンドになるのなら、そこから生まれる喜びは計り知れない。

質の高さとはそういう事だ。

5.マイクロマーケットの乱立が始まる

ここまでの話をまとめると、スタンドエフエムにて旧来のyoutuber的な動きをとる事ができる配信者はごく一部ですという事。
しかし、その他大勢の配信者にとっても、新時代の音声配信プラットフォームには、別の手段で自分が求める価値を最大化していく可能性を秘めていて、その可能性の鍵となるのがマイクロマーケットの乱立だという話です。

マイクロマーケットについては【後編】にて話します。


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