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【後編】スタンドエフエム(stand.fm) に見る、マイクロマーケットの展望

前編のまとめ

スタエフはフォロワーのコンバージョン勝負のSNSになっていく。1万人に対して発信して、10人が購入するというのがツイッターだとしたら、100人に対して発信して10人が購入するのがスタエフだ。なので、スタエフの1フォロワーの重みTwitter100フォロワーに匹敵するというのが正しい勝負の仕方だと思う。あくまでも可能性としてだが、想定して損の無い可能性。

って感じの話。

1.スタエフの価値

スタンドエフエムの価値は、少数で質の高いユーザーを囲い込めるという点にある。100人~300人程度のごく小規模のリストでは、通常商売は成り立たない。なぜなら通常コンバージョンは0.1~0.5%程度だからだ。
しかし、これまでスタエフ内を見てきた結果、スタエフのコンバージョン率は最大10%程度まで上がる予知があると感じる。

なぜ100人へのアプローチで10人が反応するかと言えば、100人に対して一人ひとりに接客できているからである。この質の高い100人を10000人に増やせば、1000人が買うかというとそうではない。1万フォロワーに個別接客が出来ないのでフォロワー数の増加は接客の減少を意味し、購入コンバージョンは著しく低下する事が予想される。

2.スタエフはマイクロマーケットの囲い込みプラットフォーム

なので、スタエフはマスに対する広告や購入を促すには向いていない。
では、スタエフが何に向いているのかを考えると、100人以下の小規模マーケットに向いている。

仲の良い100人に”私の”作ったもの、”私の”好きなものを販売する
というマーケットだ。
私は今後この100人以下の超マイクロマーケットの乱立がマーケットの鍵になると考えている。

大量生産大量消費時代が終焉を迎え、「みんな一緒からそれぞれ一つ一つ」という流れが始まって10年が過ぎた。
しかし、個別最適化需要の高まりに小ロット供給が追い付いていないのが現状だ。この需要過多を背景に、個人製作のグッツやサービスを多くの個人事業主が副業的に開始し、各自が100人の顧客を囲い込みコンバージョン10%~場合によっては50%で販売する事により、ひと一人が食っていく分の食い扶持を稼ぐ時代がやってくる。
そして、そのマイクロマーケットの顧客囲い込みツールがスタンドエフエムを始めとする新時代のSNSとなる。

3.マイクロマーケットの乱立とサービス

この事から、今後発展するサービスは、

①個人で商品開発が出来るサービス
 ⇒ suzuri、ラクスル、のようなサービスで、よりカスタマイズ出来て、種類が豊富で質の高い商品が作れるサービス

②個人が物販する為のプラットフォーム
 ⇒ suzuriのカート、BASE、のようなものだが、商品の送り先や発送元住所が見えないメルカリ便みたいな機能を備えたECプラットフォーム

③個人を応援するプラットフォーム
 ⇒ 既にサービス終了しているが、ポルカ  のような、個人応援クラファンや、こちらもサービス終了しているがVALU  のような個人が株式を公開して、個人の活躍が株価に反映されるようなサービス。

④マイクロマーケットの囲い込みプラットフォーム
 ⇒ 双方向性・同時性・発信性・五感に訴える要素(音声・視覚)といった機能を持った、自己発信型サービス。スタエフなど。

4.注目すべきは応援プラットフォーム

前述③の個人応援プラットフォームに関しては、マイクロマーケットの乱立時代との相性がとても良い。
VALUやポルカがスタートし、社会的に非常に大きなインパクトを与えながらもサービス終了してしまった事は、マイクロマーケットの成長タイミングとずれてしまった事が大きな要因だと考える。

これら個人応援プラットフォームのサービスは、応援する人と応援したい人のマッチングが難しい為、単体では機能しにくい。
その為、スタンドエフエムなどのSNSと組み合わせて利用する事で初めて機能する。

例えば、スタエフの新規登録者が初めてライブ配信をしているところに参加して、話が面白かったら、こいつの株価あがりそうだなと思った人が投げ銭感覚でその配信者の株を買う。

そうすると、その配信者が人気になるにつれて株価があがり、その人の株を1株売却する事で別のユーザーの株を100株買えるみたいな事ができるようになる。
これは、「この配信者は人気が無い頃から俺は伸びると思っていた」とか、「この配信者を人気にするために俺は宣伝する!」とか、いろいろな思惑が交錯して、コミュニティの活性化を期待できる。
さらには、投げ銭よりも効率的に金で時間や認知を買う事が出来る為、お金はあるが時間の無いユーザーが、無駄に時間だけあるユーザーと対等に戦う事が出来る(何を戦うんだかw)。まあどちらにしてもこういう流れは面白い。

5.大きな流れを踏まえて、小さな挙動を考える

これまでも同様の流れがあった。
valuやpolcaが公開された時に、いよいよマイクロマーケットの幕開けだと心が躍った。suzuriによって、個人のデザインと商品が簡単に結びついた。
モクリがツイッターユーザーを音声でつないだ。

それでもマイクロマーケットが発展する事は無かった。
今スタンドエフエム内で起きている事は、マイクロマーケットの成功事例だ。機能的に足りない部分を各自が何らかの方法で埋め合わせて無理やりマイクロマーケットを回転させている。こんなにも不便なプラットフォームにも関わらず、市場が回り始めている。

今スタンドエフエム内にいる事は、大きなマーケット転換の最前線で体験できる可能性があるのかもしれない。

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