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それは走馬灯のように

仕事中に脚立から落ちた。
落ちたというのは、少し大げさ。あと一歩で着地のところで転んだのだ。
倒れていく体。支えを求めた手は空を切り、後方にあったドアに激突。
スローモーションで流れる景色。
よくわかってないが、体は受け身を取ろうとしたのか、ひねっていたので横向きに倒れていた。

衝撃音が大きかったのか、駆け寄ってくる同僚を横目に、すくっと起き上がった私の一言。

「めがね!!!!」

そう、私の眼に見えたのは衝撃で吹っ飛んだめがね。

なぜ脚立を使ったのか。
私の身長は約170センチメートル。
脚立を使わなくても作業はできたが、その日はなんとなく、脚立を使ってみたかったのだ。

その思考が悔やまれる。

ちょっと脚立を使ってみたい衝動で、落下。
お気に入りのちょっと奮発した眼鏡とさようなら。

ずっとそんなことを考える。
あのスローモーションで流れる景色を思い出しながら。


周りに集まった同僚は、体よりも眼鏡の負傷を訴える私を見て安心して、自分の仕事に戻っていった。

が、5分もたたずに、左手に異変。
紫色になっている。なんとなく腫れている?
とても残念なことに、私の痛覚は鈍い。

痛くないけど、腫れてるし変色している。
管理職に報告ついでに、見せたら
「病院だよ、今すぐ。」
そういわれても、病院より眼鏡屋さんに行きたかった私はだいぶ変。

ちょうど出張ででる管理職が駅前まで車に乗せてくれるというので。
そこまで言われたら行くか。と決意。

整形外科で待つこと1時間。
(なんで整形外科って混むんですかね?)
幸いお昼前なので、いつもより待ち時間は短いらしい。

で、お医者さんも「骨折」と直感したらしいが
折れてもなく。
レントゲンまで撮ってもらったのに、
ちょっと申し訳なくなってくる。

そもそも、右に倒れたのに、左手を負傷するとは、どうなってんだか。
と、思いつつ。

やはり気がかりなのが、めがね。

紫外線対策でかけていたのもあるので、外を歩いていたら、異様にまぶしいのだ。

その日は、午後にリモートの研修もあったので、研修にも参加し、就業時刻まで勤務。
普段は、仕事に行きたくない病なのに、こういう時は真面目。


そこからが大変だった。
なんで、私は眼鏡の心配しかしなかったのか。
家に帰って顔を洗っていたら痛い!
最初は左手が痛いんだと思い込んでいた私の痛覚。
右頬が腫れている。(そりゃそうだ)

左ひざもナスみたいになっている。(あざ)

次の日は、首、背中、ちゃんと右側の腕が痛い。
むち打ちというものですね。

首のコルセットをもらい、もう見た目は重症人。
目がまぶしいのも、眼科に行ったら、角膜が傷ついて網膜が腫れているとのこと。

だいぶ重症。とんでもなく重症?

もう笑い話にもならない。してるけど。
そもそも、私の痛覚も重症だ。

仕事中なので、労災申請するも、書類が多くてとんでもない。
けが人に優しくないなぁ。

今度から、痛くなくても痛いことにして、周りのひとに発信して
心配してもらおう。
みなさんも病院に行くことをお勧めします!

なんだかんだと、脚立事件からひと月。左手のあざがようやくひき。
首と背中のリハビリは継続中。

走馬灯のような転び方をしたら、人は重症を負うと学んだ。


そして、自分の体をはって私を守ってくれた(?)
眼鏡を新調しました。
今度はセール品。








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