【仕事のまとめ】2018年

1.
2018年が始まる。冬。次の長編をどうしようかと悩みつつ、『小説すばる 1月号』にエメーリャエンコ・モロゾフについてのエッセイを書く。
担当の編集者に「メタフィクション的なものとか架空の作家とかはNGです」と釘を刺されたので、そのときちょうど読んでいた鈴木いづみについて書いてみる。
ボツになったので、次に幻の大作家であるエメーリャエンコ・モロゾフで書いてみたところ、メタフィクション的なものなのになぜか一発OKをもらい、とても楽しい気持ちになる。感謝。
なお、趣味でやっているエメーリャエンコ・モロゾフ短編作品の翻訳はこちら

2.
冬。次の長編をどうしようかと悩みつつ、アルファツイッタラーでありそしてリアルに会社の先輩でもある@uudaiy氏にインタビューされる。楽しかった。ここから読める。感謝。

3.
春になっている。次の長編の構想はまだ何もできていない。
アルファツイッタラーでありそしてリアルに会社の先輩でもある@uudaiy氏に、インタビューを掲載してもらったWebメディアで超短編小説を書いてみないかと誘われる。書いてみる。4作書いてみて打ち切りになる。習慣的に書いてみるのは、習慣的に書いてみるための良いトレーニングになる気がする。そういうことを学ぶことができた。感謝。

4.
春。次の長編のメモを書いたりしてみる。あまりうまくいかない。
『文學界 4月号』にエッセイの依頼をいただき書く。
なお、内容はかなり真面目なやつ。『文學界』に関する思い出、友だちのこと、円城塔のデビュー作を読んだときの衝撃について。思えばもうずっと昔から、ありがたいことばかり続いている。

5.
春。もうすぐ梅雨。短編について考える。短いものをたくさん読む。
この頃、『構造素子』でオマージュしたOneohtrix Point Neverの新作『Age Of』の歌詞を監訳する。ある日Twitterを開いたらDMが来ていて、「OPNが新譜を出すのだが、歌詞監訳をしないか」と書いてある。大変驚く。
恐れ多かったので断ろうかなと悩みつつ、妻に相談してみると、「いいじゃん! やりなよ!」と言われたのでやってみる。やってみるとかなり楽しかった。あんまり何も言われないけど、詞の背景にある意図の抽出と強調や韻文の処理など、個人的にはけっこうがんばれたかなと思い、かなり気に入っている。
この仕事をきっかけに、春から秋にかけて、というか今年一年は、OPN関連でインタビューを受けたりいくつかのエッセイの依頼を受けたり、それからOPN(ダニエル・ロパティン氏)本人とトークイベントをしたりと、いろいろ驚きの展開になる。そのため今年は僕にとっては完全にOPNの年だった。それらの全てをここに書き出すのは難しい(そもそも書き出していいものなのかもわからない)。でも関わっていただいた全ての人たちには感謝しかない。この場を借りて勝手に感謝したい。
トークイベントでは、ダニエル・ロパティン氏に「小説が英訳されたら送ってくださいね」と言われる。いつか実現できるとよい。
なお、トークイベントの様子はここで読める。普通に面白いのでぜひ。

6.
夏。会社のあれこれの関係であまり小説に時間がとれない。
Twitterで読んだ本の感想をつぶやいていたらいろいろと友だちが増える。それでできた友だちの一人である大滝瓶太氏に「書評を書いてみないか」と誘われ、『UNLEASH』というWebメディアに書かせてもらうことに。ちなみにデビュー作はケヴィン・ケリーの『テクニウム』。この本もまた、Twitterで知り合った弦音なるよ氏に教えてもらったもの。感謝。
ところで書評を書くのはとても楽しい。連載はまだ続いているので来年もがんばる。今のところはこれが一番のお気に入り。

7.
秋になっている。
『小説すばる10月号』に短編「輪ゴム飛ばし師」を書く。輪ゴム飛ばしをして遊ぶ子どもたちの話。扉絵はアーティストの武盾一郎氏によるもの。
武さんとは実は4年くらい前からゆるい交流があったものの、本当にゆるゆるだったので、こうして一緒に仕事ができるのは奇縁というかなんというか、人生はおもしろいなと思う。感謝。

8.
秋。休刊していた雑誌『WIRED』が復刊するという噂を聞いて喜んでいると、書評を読んでくれていたりOPNとのイベントを追ってくれていたりした編集者から、「『WIRED』の復刊号に短編小説を書いたりトークイベントしたりしないか」とお声がけいただく。
テンションがぶち上がってやばい感じになり、当初1万字くらいかなと思っていた作品が2万字くらいになる。紙から溢れてWebに全文掲載されている(ここから読める)。また、哲学者の岡本裕一郎先生とWIRED松島倫明編集長とのトークイベントもとても刺激的で楽しかった(余談だが、自分は書くよりも人と会って話すほうが好きで得意なタイプの人間かもしれない。まあ、多くの人はそうなのかもしれませんが)。新たな(?)自分の嗜好性に気づけてよかった。感謝です。

9.
ふたたび冬。12月14日。これを書いている今日。『BRUTUS 12月15日発売号』に短い書評のようなものを書いている。そこでは最も敬愛する作家であるミシェル・ウエルベックについて軽く触れている。本当はもっとミシェル・ウエルベックを全面的にゴリ押ししたかったのだけど、諸事情により小さくねじこむ形になった。
ところで、ここに書いていいかどうか不明なので名前は出さないけれど、この仕事も、別の仕事でお世話になった人が僕の話をしてくれたのだと聞いて、もう、なんというか、やはり感謝しかない。ありがたい。ありがたい。ありがたい話ばかりだ。
2018年が終わろうとしている。

*

ふりかえると感謝ばかりしている。今年は本当に感謝しかない、楽しい一年だった。
こんなに楽しいことはたぶん長くは続かないと思うものの、そうではないはずだとも信じ、願っている自分もいる。

*

ところで、唯一の心残りは長編を書けていないということである。
来年は長編をがんばります。
それでは、みなさんよいお年を。


※12/31追記
その後追加でやったもの。
・『UNLEASH』「今年の一冊」でミシェル・ウエルベック『H.P. ラヴクラフト 世界と人生に抗って』を紹介
・『AVYSS』「今年印象に残った三曲」でOPN「same」中村佳穂「AINOU」七尾旅人「きみはうつくしい」を選曲


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樋口恭介

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