東京太師匠

漫才協会、落語芸術協会に所属されている漫才師の「東京太・ゆめ子」という夫婦漫才の京太師匠のことを書きたい。

ぼくが心の中の師匠と勝手に思わせて頂いている師匠が京太師匠だ。

正直に言うと大師匠過ぎて、お会いするまで若かりし頃に「東京ニ・京太」としてご活躍されていて、コンビ別れの後、奥さんであるゆめ子師匠とコンビになったという情報くらいしか知らなかった…。

要するにレジェンド中のレジェンド!
「レジェンド」という情報しか手元にないので申し訳ないが、調べて記しても仕方ないので、ここでは僕の視点での師匠を書かせてもらう。

始めてお会いしたのは僕ら「おせつときょうた」が漫才協会に入会する時だった。

入会に際して、問題が起きていた。
僕は本名も芸名も「きょうた」なのだが、漫才協会にすでに「京太(きょうた)」がいるのである。

この世界に「キョウタ」は二人要らない。
というわけで、漫才協会の理事会でも京太師匠にお伺いを立てて、どうなるか、様子を見ないことには判断しかねるという状況だった。

そして、私は京太師匠にご挨拶をさせてもらうことになった。

実際の京太師匠はすごく小さくて可愛いお爺ちゃんだった。
しかし、まとわれている空気、周りの人の接し方から、このお爺ちゃんがすんげぇ人だと言うことはビシバシ伝わってきた。

緊張の中、僕はおどおど切り出した。

僕「この度、漫才協会に入会させて頂きたいのですが、その…僕の名前がきょうたで…」
京「うん?なんだ?おめぇもきょうたってのか?おれも京太ってんだべ」
僕「はい…、えー、そうですよね…」
京「本名か?」
僕「はい!本名もきょうたです!」
京「じゃ、おれが変えるしかねぇべ!」
僕「???え?」
京「ははは(笑)、冗談だべ!本名なら仕方ないだろ!よろしくな」
僕「…あ、あ!ありがとうございます!」


こうして僕は無事に漫才協会に入会し、「きょうた」を名乗らせてもらえることになった。二人のキョウタの誕生の瞬間だった。


その懐の深さ、芸人としての品、愛嬌。
漫才という芸で個人のスキルを語ることにあまり意味はないかもしれないが、ボケても拾ってもイジらせても、何をしても笑いがとれる。
そして、それが一切、表に嫌な出方をしていない。

そこには「面白い、可愛い、好き」しか存在しない気がして、憧れる。ただただ憧れる。

あー、ああいう感じになりたい。

ああいう感じなんだけどなぁ、道のりは遠いなぁ。今はいっぱい袖で観て勉強したい。

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