血の粛清

ちょっと前に「ダーウィンが来た」で放送していたネコ大特集の記事を書きました。その中でも出てきましたが、メス猫に子がいた場合、オス猫は自分の子でない子を殺します。残酷ですね、怖いですよね。同じネコ科動物のライオンでも見られる行動で「血の粛清」とも言われます。（※この行動があることからしても、猫はライオンに近い、ある程度の群れを作る動物なんだな、ということを再認識。トラのような完全単独行動型ではないのでしょうね）なぜそんな恐ろしい行動をとるのか。理由は二つ。

一つは子がいなくなることで「メス猫に発情が来て、自分の子が残せるようになる」ということ。二つ目は「近親交配を予防する」ということ。にあります。二つ目がとても重要でこのルールを破ってしまうと種の存続自体が危うくなってしまうので、鉄の掟なんですね。

メスとオス、生き方の違い

　番組を見ていただいた方はわかりますよね。メス・オスの兄妹で育ってきて、メスは母の元に残っていいんです。母娘、姉娘と共同で育児をすることも観察できたそうです。（これもライオンに近い行動ですね！）しかしながら、オスはある程度一人前だな、という年齢になると両親から強烈な洗礼を受けて遠さげられます。オスは放浪し、他のオスと戦って交配相手を得ていくんですね。これもまた、強い遺伝子を残す、近親交配を避ける、大事な要素になります。

親子兄妹で飼うことをおススメしません。

私もペットショップに勤めて10年になりますけれど、ブリーダーさんから兄妹でお店に来ることが何度もあります。そうすると、お客様が「兄妹だから一緒に飼ってあげたい」とか「引き離したらかわいそう～」のようなことを言われる時があります。はっきり言います。

兄妹で飼う方がかわいそう、です。

親子兄妹仲良くできるのはある程度の月齢まで。一人前になったらお互い避けていくようになります。時に流血などが伴ったりするほどの激しいことにもなります。番組でもやってましたよね。種の保存に関わることですから。むしろ、性成熟しても親子兄妹仲良くくらす動物なんて人間くらいしかいませんよ。それは理性と社会性をもった唯一の動物だからできることです。

絶対仲良くできない、ってことではないですからね。母と娘は共同育児もしてましたし、一般で飼育するなら不妊去勢もするでしょうし。でも、これから迎えるというにあたって、わざわざ仲悪くなる可能性が高い組み合わせで飼います？私は「家庭内別居になる可能性もある、ということも想定して飼ってください」といいます。そして、「どうしてもかわいそうと思うなら血縁のない子同士で飼いましょう？」（って言っても大概そういう飼い方をする人はいません。なんだよ！兄妹ってだけの感情論だけかよ！一人じゃ寂しそうって言ってたのなんだったんだよ！）

プロは知ってないとダメでしょ

　一般のお客さんは知らなくても仕方ないでしょう。でも引き渡す側、ショップ、ブリーダー、保護団体に従事するプロは知らないとだめですよ？たびたび見かけます。「兄妹で一緒にいかがですか？」的なやつ。ヘドがでますね。感情に訴えて早く売れてほしい、捌けてほしい、手続きもまとめて済ませる、という「自分ファースト」で犬猫のことなんて後回し。そんな常識もないようなところから犬猫なんて迎えたくなくなりますよね。そして、私が教えてもなお、そうやって売ってる業者もありました。知っててもそういうことをやり続けるなんて信じられませんでした。

最近「兄妹で・・・」っていうやつを見かけたので記事にしてみましたー