見出し画像

ニュータイプの時代

今回は今までとは打って変わって最近のビジネス書についての感想となります。このnoteを始めたのもこの本の感想はtwitterの140文字には絶対に収まらないし、じっくり書きたいなと思ったことがきっかけに含まれております。なので、いっぱい感想書けたらいいな。(笑)

NEW TYPE -ニュータイプの時代-
著者:山口周

読み始めたきっかけ

この本は今まで読む本の参考にしていた京大生の方のブログでは紹介されていません。かなり最近に出版された本です。この本をおすすめしてくれたのは仲の良いサークルの親友でした。彼は大学院進学の際に京都大学から東京大学に移ってしまうほどアクティブな人間できちんと自分の意思を行動に移せるすごい人間です。そんな尊敬する彼が読んだ最近のおすすめの本としてこの本を挙げていたのが出合うきっかけでした。
自分はビジネス書というものに触れることすらほとんどしていなかったのですが、実は就活の時にすこし自分の業界に関するビジネス書を読んでおり、その際にビジネス書に対するイメージはあがっていたので今回もすんなり入ることはできました。
しかしページ数や文章量の多さは今まで読んだ本に比べとてつもなく多く、全部読めるのかこれ、どんだけ時間かかるんだと思っていましたが、読むにつれてどうしてもその親友とこの本の内容について語りたいと思うことが増えていき、そのことをモチベーションにどんどん読み進めていくことができました。

本を読んで

最初に思ったことは、この方の文章めちゃくちゃ読みやすいし他の本も読んでみよう!ということでした。山口周さんの文章はとても論理的でわかりやすく、納得できる部分が多かったのが自分にとって読みやすかった点でした。特にこの本の中でよく引用として挙げられている『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』という本は近いうちに絶対読んで感想を記述しようと思っています。
本の構成的には、第1章にて世界のメガトレンド6つを挙げ、世界で今どういうことが問題視されているかを具体的に説明しています。そして、以降の章でそのメガトレンドから昔と比べてどういった人材が活躍するようになっているかという変化をオールドタイプ(昔活躍していた人材)ニュータイプ(今後活躍が予想される人材)に分けて分かりやすく説明されています。
少し面白かったのが、各節でその説に沿った偉人の名言が提示されていることでした。この説ではこういったことを話すんだなというのが直観的にわかりやすく、また含蓄のある言葉に否応なく納得させられてしまいます。
特に、18節「シェアしギブする人は最終的な利得がおおきくなる」で紹介されていた以下の名言

殺し合うのが、ニュータイプじゃないでしょう?
                   -ララァ・スンー

これ、名言か?というか、ニュータイプ(この本で作られた概念)に言及してるのおかしくないか?と思い、出典を調べるとアニメ「機動戦士ガンダム」のキャラであったのには少しくすりとしてしまいました。(ガンダムにはこの本とは全く別の概念としてニュータイプという超人的な人間たちが登場します)他の節の名言は、みんな実在の人物であったのにここだけ遊び心をいれてきたな(笑)と思いました。(山口周さんガンダム好きなんかな)
また、各節に簡単なまとめがあったのも自分にとっては情報の整理ができてすごくよかったです。

印象に残った部分

ここはかなり書きたいことが多くなります。

①メガトレンドについて
特に印象的だったもの2つ
● 飽和するモノと枯渇する意味
 生きるために必要なものが不足しており生きるために必要なものを作り出すことが大変だった昔と異なり、今は生きるための物資的な課題はほぼ解決されています。代わりに、どういうものが新たな意味(価値)を産むかが難しい問題となり希少な価値なっています。
● 社会のVUCA化
Volatile(不安定),Uncertain(不確実),Complex(複雑),Ambiguous(曖昧)の4つの言葉の頭文字をとったもので、社会が成熟していきより複雑さが増している現代を表す言葉としてはとても的確だと思いました。
この現代において昔に比べ変化が起こった価値は以下の3つであると説明されていました。
「経験の無価値化」「予測の無価値化」「最適化の無価値化」
無価値という言い方はあまりにもと思いましたが、これらのものが少なくとも価値を低めたのは明らかであるとも感じました。

他の残り4つのメガトレンドとして「問題の希少化と正解のコモディティ化」「クソ仕事の蔓延」「スケールメリットの消失」「寿命の伸長と事業の短命化」も挙げられています。

②ニュータイプ:問題を探し、見出し、提起する
先ほどあげたメガトレンドのひとつと関連した話ですが、モノがあふれ意味が枯渇した時代に必要なのは、「イノベーション」という言葉を掲げることではなく、何が今必要とされ何が今意味(価値)を持つかという問題を見出し、それを周りに説得するだけの論理的な考察力を持つことと書かれていました。これは自分の胸に常に刻み付けておきたいことで、問題の解決能力を高めることにこだわりすぎることは今の時代における落とし穴であるということです。今の時代に一番大切なのは問題解決の方ではなく、意味を探し問題を提起する方なのです。

③ニュータイプ:意味を与え、動機づける,好奇心に駆動されて働く
この本において「意味」の重要性は散々語られていますが、共通に一貫して書かれているのは仕事に対するモチベーションの重要性です。モノがあふれた時代における働く喜びの創造力はその仕事の意味に対して社員がどう感じるかということが重要になっています。
14節ではモチベーションの価値の高さを示す例としてアムンセンとスコットの南極点到達レースについても語られていますが、これは自分が最近よく意識していることで、仕事の意味をきちんと理解することは自分のモチベーションの向上につながる、モチベーションの向上は仕事に対する姿勢を変え、自分の全力を苦も無く出せる、それは仕事のパフォーマンスに大きく繋がるのです。その仕事に意味を見いだせないまま結果を出すのは非常に難しい領域であると思います。その意味を見出すのに必要なものが自分の勉強不足ならそこは努力が必要ですが、そうではなく単純に意味のない「クソ仕事」が増えていることも現代のメガトレンドの一つとして挙げられています。

④ニュータイプ:未来を構想する。リベラルアーツを活用して構想する。
メガトレンドに挙げられていた社会のVUCA化により過去から未来を予測することが困難になった時代では、未来をどういう形にしたいか構想できることが大事であると示されていました。
そして、その構想力を高めるために必要なものの答えは「リベラルアーツ」であると書かれていました。
ここで自分は「リベラルアーツ」とはなんぞや?と疑問に思いました。Google先生に聞いてみると「人文科学・社会科学・自然科学の基礎分野 を横断的に教育する科目群・教育プログラム=教養科目」という簡単な答えが出てきましたが、山口さんは本の中でそんな薄っぺらいニュアンスで捉えてほしくないと、リベラルアーツとは「自由になるための技術」だと捉えてほしいと訴えています。つまり、リベラルアーツとは今の現実に対して「問う、疑う」ための技術を養うことのできる学問であると書かれていました。これは、問題提起の重要性の話にもつながっています。

リベラルアーツを学ぶことで、自分の中に時間軸・空間軸で目の前の常識を相対化するリテラシーを持つことができる。この「常識への違和感」が、誰も気づいていない新しい問題の提起へとつながることになる。

色々な人がいて、色々な考え方があって、色々な時代を経て、今という時代に至っているということを「知る」こと。この重要性がリベラルアーツの真髄であり、それが今の自分に足りていないものであるという解釈をしました。
この本のこの部分に深く感銘を受け「読書」を続けることを、またさらに決心し直しました。

⑤ニュータイプ:システムを批判し、修正する
この節では資本主義の脱構築論が語られています。しかし、ここで重要なのはこの筆者は資本主義が生み出した上述に挙げたような世界の問題をもとに資本主義をただ批判し、新たな代替のシステムがどのようなものであるかを書いているのではないという点です。
自分も読んでいる途中までは、ん?ここまできて資本主義批判で終える気か?とすこし穿った目線で見ていましたが最後まで読んで、あぁやっぱりすごいなと感心させられました。
ここで示されているのは資本主義を改変しうる人が意見を述べるだけの影響力のある立場になるためには、まず資本主義という土台の上で勝った人間でなければならなくて、その上で社会の問題を提起できるという二重性を破綻なく持った人間が必要であると訴えているのです。
自分はここまで読んで意味は理解できましたが、これを言語化することの難しさやその意志に気づき、感嘆しました。
この問い(資本主義の脱構築論)に結論が出せる人が居たらそれはノーベル賞物でしょうが、この問いを解くべき問題としてうまく提起し、解答者の存在を構想したのがこの節に山口周さんが示したことなのです。

忘れたくない一文

この本で特に印象に残った一文は各節に書かれている名言の中の一つです。(この本のというよりはその人の名言なのですが(笑))
16節:大量に試して、うまくいったものを残す。での名言

人生を浪費しなければ、人生を見つけることはできない。
                -アン・モロー・リンドバーグー

これは、見た瞬間にビビっときました。感覚的に好きだった一言です。この言葉はある有名な飛行家の奥さんの言葉で本人もまた有名な飛行家であったらしいです。

20代にしておきたい17のことの感想でも似たようなことを書いた気がしますが、この言葉はより自分らしい自分の人生を目指すにあたり大切なのは、自分の考えにこだわることではなく、よりもっと大きな目線に立って色々な物事に触れ、知っていく過程で気づくことだということを示しています。

自分が今もっとも大切にしたいと思う考え方なのでこれをこの本の忘れたくない一文に選びました。もし座右の銘を聞かれたらこれを答えたくなるくらいには好きな言葉。

(できれば原文も知りたいけどGoogle先生には載ってなかった)

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?