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感染対策ステッカーを貼ってる店をGoogleマイマップで探せるようにしてみた

京都における感染対策ステッカーの取り組みについて

東京都において、感染症対策に取り組んでいる店舗や施設が、虹が描かれた紙を店頭に掲げる取り組みを行っていますが、京都においても同様の取り組みが行われております。京都では、以下のようなデザインのステッカーを店舗や施設に配布して、感染症対策の普及と可視化を促進しています。

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京都市観光協会が呼びかけ人となって、下記の23団体の賛同のもとに、業界横断で策定されたガイドラインに基づき、これを遵守する宣言を行った店舗や施設に、このステッカーが配られることになっています。業界がバラバラになってガイドラインを作るのではなく、足並みを揃えてシンプルなルールに統合することによって、店舗や施設にとっても、観光客にとってもわかりやすい目安を設けることができたことには、一定の評価が与えられるのではないかと思います。

京都花街組合連合会
京都観光施設協議会
京都観光土産小売商連盟
京都観光旅館連盟
京都国際観光レストラン協会
京都個人タクシー協同組合
京都商店連盟
京都府観光連盟
京都府タクシー協会
京都物産出品協会
京都府バス協会
京都府物産協会
京都府料理飲食業組合連合会
京都府料理生活衛生同業組合
京都府旅館ホテル生活衛生同業組合
京都府旅行業協同組合
京都名産品協同組合
京都料理組合
京都料理芽生会
全京都個人タクシー共済協同組合
日本ホテル協会京滋奈支部
日本料理アカデミー
日本旅館協会京都府支部

このステッカーは、先月8/21時点で6,000件を超える施設に配布されており、今後おそらく10,000件くらいにまで増える見込みです。たしかに街中を歩いているとステッカーを目にするようになったので、これからGoToキャンペーンを利用して京都へお越しになる方は、ぜひ探してみていただければと思います。

ステッカー掲出施設の探し方

ステッカーを掲出している施設の一覧は、こちらのサイトで公表されています。行政系の取り組みにはありがちなのですが、案の定PDFのみでのデータ提供。「住所を公開するとDMの発送に悪用される」といった配慮があるのかもしれませんが、現代の技術を駆使すれば住所情報を抜き出すことなんか誰でもできてしまいます、というのが今回の記事の主旨。隠すよりも積極的に公開して、消費者の利便性向上につなげたほうがいいですよね。同じような問題が全国各地で起こっていると思うので、これを機に、解決方法を紹介しておこうと思います。

施設名一覧から住所や緯度経度を取得する方法

①PDFのデータをダウンロードする。
②PDFを右クリックし、「プログラムから開く」でWordを選択する。
③PDF内の表をコピーしGoogleスプレッドシートに貼り付ける。
 (Excelに貼ってもいいけど、後のことを考えてスプレッドシートに)
④必要なデータを取捨選択する。
 今回は、店舗・施設名と業種のみを使いましょう。
⑤店舗・施設名と業種のあいだに「住所」「緯度」「経度」を追加

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ここからは、Google App Scriptという機能を使います。店舗・施設名をもとに、「住所」「緯度」「経度」をGooge Maps APIを通して、自動的にデータを取得していきます。取得方法の詳細はこちらのサイトで紹介されていますが、とりあえずやってみたいという方は、以下の2ステップを実行してみてください。

⑥画面右上メニューの「ツール」から「スクリプトエディタ」を選択し
 初期コードを、以下のコードで上書きする。
 8行目にシート名を記入する場所があるので
 ⑤で作成したシート名に書き換えて、保存する。

function geocoder() {
const START_ROW = 2;
const FACILITY_COL = 1;
const ADDRESS_COL = 2;
const LAT_COL = 3;
const LNG_COL = 4;

var spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().getSheetByName('**スプレッドシートのシート名**');
var lastrow = spreadsheet.getLastRow();
 
for(var i=START_ROW; i<=lastrow; i++){

  var facility = spreadsheet.getRange(i,FACILITY_COL).getValue();
 
  var geocoder = Maps.newGeocoder();
  geocoder.setLanguage('ja');
 
  var response = geocoder.geocode(facility);
   
  if(response['results'][0] != null){
    spreadsheet.getRange(i,LAT_COL).setValue(response['results'][0]['geometry']['location']['lat']);
    spreadsheet.getRange(i,LNG_COL).setValue(response['results'][0]['geometry']['location']['lng']);
    spreadsheet.getRange(i,ADDRESS_COL).setValue(response['results'][0]['formatted_address']);
     
  }
}
}

⑦画面上の▶ボタンを押すと、プログラムが実行します。
 その際、実行の許可を求めるダイアログが出てくるので、許可。

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そうすると、不穏なダイアログが表示されますが、そこで挫けずに、左下の「詳細」をクリックしましょう。

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すると一番下に「(安全ではないページ)へ移動」という、いかにも危険なリンクが表示されますが、これも勇気をもってクリックしてください。

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すると、許可を求める画面が出るので、右下の「許可」ボタンをクリックします。

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この後、プログラムが走りはじめ、用意しておいた列に「住所」「緯度」「経度」情報が入力されていきます。ただし、この機能には3つの注意点があります。

1.処理時間が6分を超えると止まる仕様があります。
  途中で止まった場合は、コード文2行目のSTART_ROWを
  処理が終わった行数に書き換えたうえで、再実行することで
  続きから処理が始まります。

2.1アカウントあたりの24時間あたり処理行数が1,000件まで。
  ステッカー店舗は6,000件以上あるので
  すべて処理を終えるまでに1週間かかってしまいます。
  一応、Googleアカウントを複数作れば処理数を増やすことができます。
  アカウントを切り替える際は、Googleドライブへのログインだけでなく
  Chrome自体のログインも切り替える必要があります。

3.あくまでもGoogleの機能を使って自動的に取得した情報なので
  必ずしも、その施設の住所を取得できているとは限りません。
  よくある施設名だと、見当違いのデータが取得されることもあります。

住所や緯度経度情報からマイマップを作成

Googleマップで、スプレッドシートのデータをマイマップにインポートする方法は、こちらのサイトで紹介されいます。簡単なので、ここではとくに紹介しません。

京都におけるステッカー掲出店舗・施設をマイマップにした結果は、こちらからご確認ください。
https://www.google.com/maps/d/edit?mid=1fbJH8ZiV9bhifTtZoU0ML3osjRdrmFKE&usp=sharing

この記事を投稿した時点では、まだ全施設分を反映できていませんが、順次追加していこうと思っています。なお、名称だけでは位置を特定できない店舗・施設が結構あるので、それらは除外しております。したがって、このマイマップに掲載されている店舗・施設が、すべてを網羅しているわけではありません。そして、ピンが刺さっている場所が必ずしも正確な位置を反映できていない場合があるので、あらかじめご了承ください。

ステッカー掲出店舗は本当に安全なのか?

余談ですが、全国各地でこうしたステッカーの取り組みが行われていますが、「ステッカーが貼られている店舗・施設が本当にきちんとした対策が行われているのだろうか?」と思っている方は少なくないのではないかと思います。

そこで、京都市観光協会では、ステッカーを配布した飲食店や宿泊施設を中心に、対策状況をお客様側から評価してもらうアンケートシステムの普及に取り組んでいます。

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万が一「衛生対策が不十分だと感じた場合の通報窓口としての機能」はもちろん、「店舗・施設の一般的なサービス水準を評価するための機能」や「店舗・施設に対する応援メッセージを送るための機能」も備えています。

寄せられた回答は、京都市観光協会において全施設の分析を行うことで、エリア全体の取り組み状況を把握していきます。また、各店舗・施設においても自施設と業界全体との比較を行うことができるようにすることで、さらならサービス改善につなげていただくことを狙っています。

菅内閣の目玉政策として「デジタル庁」の創設も話題になっていますので、こうした「無料でできる」情報の公開と活用事例を多くの方に知っていただければ幸いです。


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