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訪日動機の衛生要因が動機づけ要因になるとき

ちょっと前から、海外版のYahoo知恵袋的なサービスQUORAを眺めてるんですが、今日は「なぜ人は日本を訪れるのか」という問いが流れてきました。
これに対するグッドアンサーの中で、最後に特に強調されてたのが以下のフレーズ。

"People wash their hands. That’s really important at the end of the day."
(日本人はよく手を洗う。今日となってこれはとても大事なことである。)

コロナ禍前までであれば「四季折々の自然」「伝統とテクノロジーの共存」「健康的かつ多様な食文化」「アニメ・漫画などのサブカル」といったことが訪日目的の常連で、これからもそれが無くなるわけではないとは思います。ただ、コロナ禍を経たことによって、今までは主な要因としては認識されていなかった「日本社会の清潔さ」が最重要ポイントとして掲げられるようになったことに、世の中のニーズの大きな変化を感じます。

ハーズバーグの二要因理論

人間が何らかの行動を選択するときや、満足感を評価するときの判断要因は、大きく2つに分けられると言われています。これは、従業員満足度の研究から導き出された理論で、満足を生む要因と不満足を要因はそれぞれ違うものであるというものです。以下の図のとおり、満足につながるのは「動機づけ要因」であり、「衛生要因」がいくら満たされても満足度はほとんど向上しません。逆に「動機づけ要因」がいくら満たされていても、「衛生要因」が満たされていないと、従業員は不満足を抱えたままになってしまいます。

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出典)https://kailabo.com/soukirisyoku/6306

コロナ禍では、衛生要因が動機づけ要因にもなる

これを訪日観光に置き換えたとき、「日本社会の清潔さ」という要因は、まさしく「衛生要因」であり、日本が誇る価値ではあるものの、それが訪日を決断させたり感動的な記憶を植え付けるほどのものではないと思ってました。

ところが、ホントにQUORAで、「なぜ人は日本に行くのか」という問いに対して「日本は清潔だからさ」と書いてくれてる人が出てきたことで、「日本社会の清潔さ」が「動機づけ要因」にもなってきたと考えられます。

風邪をひかずに生涯を過ごせるようにするための習慣を日本に来て学ぶ、みたいなモチベーションが成立するなら、日本の観光の競争力はまだまだ上げられる余地がありそうです。

ワクチン打っても今一度気を引き締めて、世界に誇れる清潔な社会の実現に貢献していくことが、未来の観光産業にとって大事なんじゃないかと思いました。

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