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シン・京の散歩道 #1『人生はバンジージャンプの連続』京都迷宮案内 第4シリーズ第3話

今回は『京都迷宮案内』第4シリーズ第3話の解説をしていきます。今回から記事のタイトルを『シン・京の散歩道』と題して発行いたします。

サブタイトル『古本屋の女・京都寺町通り骨董屋殺人事件』

本放送:2002年1月24日

ゲスト:池上季実子、橋爪 淳

脚本:西岡琢也

監督:橋本 一

1.あらすじをざっくりと

あらすじ
寺町通りで、骨董屋経営の女性の絞殺体が発見される。骨董屋は表向きの姿で、実際には金貸しを生業としていて、その返済を巡る客とのトラブルと思われた。
杉浦(橋爪 功)は、自分がよく通う古本屋から出て来た市川刑事(辻本茂雄)らとばったり出くわす。被害者の金を貸した人物のリストの中に、古本屋の店員、本宮結子(池上季実子)の名前を見つけ、事情聴取に来たという事らしい。
結子と親しい竹細工職人の内野(橋爪 淳)のもとを訪れた杉浦は、内野の息子が手術を受けなければならなく、そのお金を結子からもカンパしてもらった話を聞き出す。
ブースで陽平(的場浩司)から被害者が殺される直前、人と会っているところを目撃されていたという情報を聞いた杉浦は、早速目撃者が勤めるファミリーレストランへと向かう。

2.プロポーズされて舞い上がる悦子

サイドストーリーとして、今回は「悦子の結婚話」が描かれている。えっちゃんファンは必見の回だ。
プロポーズされて舞い上がる悦子(大路恵美)は普段の姿からは想像もつかない‪w
そのことを、上司であるつた子(野際陽子)に打ち明ける。仕事と結婚を天秤に掛けても決められないのが悩みだった。
向こうだって、悦子が新聞記者の仕事が楽しくてバリバリやっていることは知っている。しかし彼は「結婚したら僕と過ごす時間をできるだけ作って欲しい」という。時間が不規則なのが嫌なようだ(まぁ、彼の立場に立ってみればそりゃそうだよね〜。向こうも仕事が好きな男だったら話は別かもしれないけど)
悦子は最終的にどんな選択をするのか…?

3.物静かで知的な女の、淡い恋の物語

今回描かれている杉浦のマイブームは「古本」だ。給料を前借りしながら、連日古本屋通いをしている(ハマるものがコロコロ変わる杉浦さん。僕は趣味の幅が狭いのでその才能は尊敬します)
その古本屋に勤めている本宮結子(池上季実子)は物静かで知的な女性だった。

杉浦「やっぱり本がお好きで?」
結子「それしか趣味ないんで」

彼女は、店を任されているだけのようで結子が所有するものではないようだ。
結子は近所の竹細工職人・内野(橋爪 淳)に仄かな恋心を抱いていた。内野の息子・映一も結子に懐いている。結子は内野から「息子と3人で映画に行こう」と誘われるものの「今日友達と約束がある」と嘘をついて断ってしまう…。
内野の同級生で幼なじみの鷲尾奈緒子という女性の「影」があり、結子は二人が恋仲にあると思っているようだ…。

その翌日、近くの骨董屋の女性店主の絞殺死体が発見される。骨董屋は表向きの姿で裏向きはあこぎな金貸しだった。事件の発端はその返済をめぐる、客とのトラブルと思われた。
結子は店を閉めて近くの公園で過ごしていた。そこをたまたま杉浦は遭遇する。

結子「一日中、本に囲まれて座っていると、帰る時に表に出るのが嫌になるんです。外は賑やかやし、落ち着かへんし」
杉浦「風も冷たいし(笑)でも家に帰れば、ご主人とかお子さんがいらっしゃるんでしょ?」
結子「独り者やし、店にいても家にいても同じです…」

一方──悦子は
同級生にプロポーズされたことをつた子に相談する。仕事と結婚の選択に苦慮している。
向こうだって新聞記者の仕事が楽しくてバリバリやっていることは知っている。しかし彼は「結婚したら僕と過ごす時間をできるだけ作って欲しい」という。
つた子「んであんたはどうなの?結婚したいの?したくないの?どっち?」
悦子「彼のことは嫌いやないし、結婚してもええとずっと思ってました。けど、仕事は辞める気もないし…。虫のええ話かもしれませんけど、両方とも上手いこと行く方法はないんでしょうか…?」
つた子「難しいねぇ…」
悦子「プロポーズしたことを母ちゃんに喜んで話したんですよ。でも今更ダメだったとは言われへんし…。キャップ、助けてください…(涙)」
ここでつた子は大きな勘違いをしてしまい、その後ボタンの掛け違いが起きてしまう…。

後日改めて、杉浦は結子の古本屋を訪ねると、京都府警の市川刑事(辻本茂雄)と高原刑事(伊東貴明)に聴取されていた。結子が、ガイシャの骨董屋の店主から借金をしていたという情報があり、警察は彼女を疑っているようだ。
それを知った杉浦は、内野に探りを入れる。すると「私のせいかもしれない」と語る。内野の息子は心臓の病を患っていて、一週間後にアメリカへ渡って手術を受ける予定だった。カンパで方々から手術費用を集めたという。その手術費用のために結子は金を借りたのでは無いかと言う(結子曰く、両親が残してくれた金だと話していたようだが)
その後、京都府警記者クラブに戻った杉浦は、ガイシャが事件直前にある人物とファミレスで接触していたという情報を陽平から聞き出す。恐らく金を借りていた人間だと推測できるが、捜査本部はまだこの人物を特定していない。陽平はその人物が結子ではないかと話す。早速杉浦はその目撃者の店員に取材した。
目撃者曰く、ガイシャと“地味な女性”の二人で店の前で話し込んでいたようだが、その後別の女がやってきて“地味な女性”は帰って行ったと話す。その女と“地味な女性”は知り合いだったらしい。後から入った女とガイシャは食事をしたという。後から入ってきた女の特徴を聞き出すと、ジャージ姿で「学校が云々」というような会話をしていたそうだ。
心当たりのある杉浦は、バイト中だった目撃者の店員を連れ出し、奈緒子の学校へと向かう。証言の裏付けが取れた。やはりガイシャと食事をした女は奈緒子だった。
しかしその頃、結子が警察から任意の事情聴取を受けており、キャップは予定稿を準備していた!
結子へ会いに行く杉浦、駆けずり回ったので息切れしていた。

結子は「うちも走るの苦手です。運動会も、いつも見学ばっかりしてたし…」と語った。



杉浦は結子に、奈緒子の存在について尋ねると「知らない」の一点張りだ。何故知り合いであることを隠そうとするのだろうか…? 杉浦は引っかかる。

一方その頃、つた子は和田部長(鶴田 忍)に、悦子の本社勤務を打診していた。
つた子「なんとか幸せな結婚と、仕事を両立させてやりたくて!」
和田「わかった!まだまだ活躍して欲しい人材だったが、そういう事情なら仕方がない」

翌日・田舎亭にて───
悦子の情報によると奈緒子は借金がかさんでいて破産寸前だった。ガイシャからも金を借りていたという。
杉浦は「女心のほう、解決してないんだよ。お前そっち付き合え」

4.「一番好きなひと」の絵

奈緒子は、結子に警察へ自首することを伝える。
結子の古本屋は閉まっていた。
内野と映一は今夜アメリカへ発つ。しかし浮かない顔をしている…。
杉浦は結子の自宅の場所を聞き出す。内野は杉浦に対して「頼み事」をする。

杉浦「事件ではなく、映一くんの話をしたいんです。今夜アメリカに発つようですが、一緒に行ってあげられないのかな?」
結子「うちは店もありますし、ただ私はカンパさせてもらっただけです。そんな差し出がましいマネは…」
杉浦「結子さん、あなたは内野さんと鷲尾奈緒子の関係に、勝手に遠慮したんじゃないのかな? 自分は諦めるしかない…って。理由はわからないけども、結子さんは自分の空気っていうか、そういうものを他人に感じさせたくない。そういう生き方をしてきたんじゃないかと思う」
悦子「なんでですか!? そんな生き方してたら、好きな相手とも一緒になられへんし、損ばっかりやないですか!」
杉浦「さっき、内野さんに会ってきました」
結子「何遍も言いますけど、うちはあの人とは何の関係も…」
杉浦「彼はそうは思っていないみたいですよ。映一くんも」


杉浦は結子に、映一の描いた絵を差し出す。
「それ、あなただそうです。あなた走るのが苦手で、運動会もただ見てただけだっておっしゃってたけど、走ったことあるじゃないですか。映一くんが学校の帰り道に苦しくなった時にあなたが走って内野さんに知らせてくれたことがあったって。先生に『一番好きな人の絵を描きなさい』って言われて映一くんは」

結子「うちは、映一くんを応援してるんです。後ろから、一番後ろから…」
杉浦「内野さんも映一くんも、あなたに一番前に出てきて欲しいってそう言ってるんですよ」
結子「うちはそんなこと……」
悦子「なんでですか?好きなんでしょあなたも?」
杉浦「いつだったか、自転車のベルが聴こえて、急いで店から飛び出して『おかえりなさい』って。あの時のあなたの笑顔、とっても素敵でした」

その夜、京都府警記者クラブ────
修子(真瀬樹里)から鷲尾奈緒子逮捕の発表。

京都駅に結子がやってくる。
結子「鷲尾さんが?」
杉浦「自首したそうです。彼女、内野さん達に知られないようにタイミング測って決断したみたいだな。それよりふたりとも、首長くして待ってますよ。今度は、あなたが『決断』する番だ」
結子「ホンマに、うちなんかでええんやろか…?」
杉浦「映一くんにとっては大変な手術だ。あなたがいれば、彼ものすごく頑張れると思う」
結子「そうでしょうか?……そうですよね…!」
杉浦は関空行きの特急列車の切符まで用意していた。
「もちろん!これ、お節介ついでに。とりあえず関空までついていって、話はそれから」

実は内野とは両想いだった。その息子まで懐いている。それでもまだ自分を過小評価してしまう結子だったが、杉浦からの後押しもあり一歩を踏み出す勇気を出す。
三人は関空行きの列車に乗り込んだ。その後のことは詳しく描かれていないけど、結子には幸せになって欲しい。自分に幸せになる許可を出していいんだよ…!

5.つた子VS悦子・戦争勃発!

ラストに悦子の結婚話の伏線回収。
翌朝──京都府警記者クラブ
怒り心頭の悦子!

つた子「何言ってんのよー。私はあんたの為を思ってやったんじゃないのよ」
悦子「撤回してもらいます!」
つた子「結婚したいんでしょ? 会社も辞めなくないんでしょ? だからこのクソ忙しいなか時間作って部長に頭下げに行ったんじゃないの〜」
悦子「そんなこと頼んでません!!」
つた子「あんた私の手握ってね、涙ボロボロ流して『全てお任せします…』って言ったじゃないの!」
悦子「でも本社に行きたいやなんて一言も…! キャップは、私はこの記者クラブには必要ないと!?」
つた子「要らん!あんたみたいに、職場に結婚話持ち込んでグジグジグジグジ仕事を停滞させる女は、ここには要らん!!!」

悦子は新聞記者の仕事が「生きがい」なのに、つた子はその部分が分かっていなかった…。そのせいでボタンを掛け違えることに…。悦子もそれを上手く伝えきれていなかったのも問題だけどね…(この争いは次の第4話でも続くことになる)

悦子の怒りで京日のブースからモノが散乱する効果音がつけられていたり、のれんが風に揺れる、橋本一監督の演出はなんだかアニメっぽい感じ。というか第4シリーズは全体的にギャグ漫画っぽさが強いシリーズだったという印象がある(笑)

6.まとめ

「バンジージャンプの連続」それこそが、人生というやつなのかもしれない。生きていれば、様々な選択や決断に迫られる。どんな会社に就職するのか、どんな人と結婚するのか、好きな人に告白するのかしないのか…。
ドラマ本編に登場する結子さんは、きっと幼い時から人付き合いが苦手な、繊細で思慮深い人なんだと思う。そして自分を過小評価し、卑屈に捉えてしまう。傷つくことを恐れるあまり…。しかし心の底では「だれかと繋がっていたい。親しくしたい」と考えている。
自分も結子さんのようにあれこれ考え過ぎて、過剰な心配をして、石橋を叩いて叩いて叩き過ぎて結局渡れないということが非常に多い…。

先日こちらの記事にて↓
https://note.com/kyotomeikyufan2/n/n2f65485f1e25
「『死』を意識するようになった。だから後悔しないように生きていきたい」という主張をしたが、結局のところそれが出来ているかと言われたら微妙だ。恥ずかしながら、まだまだ石橋を叩きまくっているチキン野郎だ。

でも結局のところ、失敗することや批判されて傷つくこと、それらを心配していてもキリがないのだ。それを頭ではわかっていても、自分のマインドというのは一朝一夕では変えられない。
だから少しずつ、小さな「成功体験」を積み重ねていくしかない。ひとっ飛びでいきなりデカい自信がつくことはありえない。
そして成功体験を「みんなから認められる偉業」という大きなものだと捉えない。自分なりに何か目標を定め、仮説を立ててそれに挑む。その条件を満たせていればどんなに小さい挑戦だっていい。
どうせ最後は、みんな死ぬ。プライドが傷ついたっていい。失敗してバカにされたっていい。

どんなにズタボロになっても、地球上で自分が自分を信じなくなったら、そこでもう終わりだ。自分だけでも諦めない。その思いを心の奥底で持ち続けたい。そんな粘り強さを持ち続けたい。

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