12月までは暖房を我慢する、そう決めて今年初めての暖房を11/28に使いました。

さて、昨今、僕ら若者の世界であるTwitterをざわつかせ、YouTubeに大量の違法アップロードを生産している（されている）番組、水曜日のダウンタウン。

その番組のお抱えモンスター「クロちゃん」が主役の企画、「MONSTER IDOL」がつい先日から毎週連載企画として放送されている。内容としては、簡単に言うと、安田大サーカスのクロちゃんがアイドルをプロデュースする、という企画だ。バックには大手事務所、さらには敏腕かつ選りすぐりなプロフェッショナルたちが控えており、「IDOL」としての成功は確約されていると言っても過言ではない。

そんな企画ではあるのだが、ここで主軸とされているのはアイドルたちの成功とかうら若き少女の頑張りとか、そういった類のものでは全くない。

この企画は、絶対悪のモンスターとしてのクロちゃんの悪さを徹底的に面白おかしく描き、クロちゃんに対する「コイツやべぇ…」という感情からゾワゾワするような独特の感情を生み出させ、視聴者という「一般的な大正義」を抱えた人々を楽しませるものである。

ここで気になるのが先日（12/4）水曜日のダウンタウンの番組内で放送されたMONSTER IDOLである。

この回では、クロちゃんが候補生のうち1人をスパイとして、他の候補生（特にクロちゃんが狙っている2人の少女）が裏で言っていることを伝えてもらっていたことがバレてしまう、といったあらすじである。

この中でクロちゃんは「スパイしてもらってました、何がいけないの？」といった言動をとり、言わずもがな観覧ゲストたちはドン引き、さらに候補生たちに至っては泣いてしまう悲惨な光景となった。

そして、その後が問題である。

「このあと クロちゃんの行き過ぎた言動があったため一部シーンをカットしてお送りします。」（画像参照）

そのような文面が画面に表示され、候補生たち全員が泣きじゃくっている中、クロちゃんが「明日は最終日です」といった総括をし、その日は幕を閉じた。

そして翌朝、候補生たちはビーチでお互いの落ち度を認め合い、謝罪しあい、最終日に向けた最後の健闘を誓い合うところでこの回は終了した。

カットされたシーンを我々視聴者は当然見ることは出来ない。しかし、女の子たちの仲の良さと過去を清算する潔さと純粋さによって、互いの仲は取りもたれ最終日、もう一度、切磋琢磨しようと誓い合った。そう映っている。

本当にそうだろうか？

現代社会を生き、日々憎悪やら罵詈雑言、不理解が飛び交うTwitterに目を向けるような方々なら、一度壊れた信用や、一度向けられた懐疑を、元の状態に戻すことがどれほどまでに壮絶で難しいか、理解できない人は少ないであろう。

そんな社会に生きる、成人前後の女性5人がそう簡単に仲直りし、互いを認め合うことなどできるのであろうか？

仮に、こうだったらどうだろう。

クロちゃんは「スパイ頼んでたよ、何か問題でも？」発言の後、カットされた部分で、徹底的に彼女たちがどれほどアイドルとしての素質を持つ素晴らしい人材かを話し、自分が徹底的にクズである哲学と、その真意を語り、さらに奥底で考えていることを話し、彼女たちが仲直りし、また信用出来るような関係を築く糸口となるような発言をしていたとしよう。

しかし、先で述べたように番組はクロちゃんを「絶対悪」として扱いたい。つまり、編集権限を持つ番組には、クロちゃんの印象を徹底的に地の底に落とし続けることに大きなメリットがある。前述の仮定が真実ならば、確実に番組はクロちゃんのその好印象を与える発言をカットするだろう。

この場合でも、番組の構成内容は実際のものと変わらない。しかも、候補生たちが仲直りしていることなどの事実（かどうか定かではないことはここでは議論しない）を加味するに、そちらの場合の方が整合性が取れるとも考えられるだろう。

しかしながら、Twitter上ではクロちゃんを絶対悪とし、「最大の放送事故」「前代未聞のカット」などといったツイートが盛んにバズっている。

ただ、ここでひとつ言えることがあるのは、あくまでもその情報は番組制作サイドが作成した映像という非常に一面的なものである、ということである。

政治的な話になれば、多くの人がこの一面性の高い意見や媒体に対し批判的な目を向けるが、今回のこの企画においてそのような場面は見受けたことがない。しかしながら、事実として多くの人が芸能人とはいえただ1人の人間を袋叩きにしているのだ。

所詮はバラエティ番組の一企画であり、それ以上もそれ以下の意味もないだろう。しかし、こうした所から一面性を帯びた情報に疑問を抱きにくい感情や思考が社会の中で醸成されることを自分は懸念している。

最後になったが、自分としてはクロちゃんはクズだと思うし制裁を加えられるべき悪党であると思うし、彼をかばう目的は一切ない。

ただ、そういう視点で見る人がもう少し居てもいいかもな、と思った独り言でした。