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「834.194」から読み解くサカナクションの作為性(ロッキンの記事から)

先日出ました実に6年ぶりになるサカナクションの新アルバム「834.194」。6年という歳月が短いか長いかは人それぞれですが・・・個人的にはすごく待ちました!やっとでた!いや間に魚図鑑だしてたけど敢えて聞かなかったから実に長かった。でも出してくれた。まずはそのことに感謝。ありがとうございます。もし聞いてない人がいるなら現代はサブスクが充実してるから聞いておくれ。

まずはまっさらな気持ちで聞いた時はキャッチーな1枚目(ぶっちゃけ開けるまで2枚組ってことを知らなかった)、センチメンタルな2枚目という印象を持った。1枚目ではモス、2枚めではグッド・バイが気に入りました。グッド・バイ新曲じゃないけど1枚目のファンキーすら感じる音源達から打って変わって落ち着いた、心の内面を歌ったような曲を聞いてこれは同じテーマの2枚組ではなく異なったテーマのアルバムが2枚セットになっている事に気づいた。(グッド・バイ聞くと某アライさん浮かぶのどうにかしたい)


茶柱の伴奏だけ?のシンプルな曲からワンダーランドのような夜明けが来たような曲の繋も良いですね。茶柱、伊右衛門とかのCMに使ってほしいです。買ってからカーステほとんどこのアルバムかけてますが特に2枚めをヘビーローテーションしてます。そして東京版と札幌版がそれぞれの最後に収録されているセプテンバー。後述するインタビュー記事に書いてありましたが17歳の頃書いたみたいです。恐ろしいですね・・・。聴き比べるとアプローチが東京札幌とで違うのも曲の描き方で違う印象が出せることを教えてくれて興味深かったです。

んで、少しでもこのアルバムについて理解を深めたかったので久方ぶりにロッキング・オン・ジャパンを買いました。いや本当に読みたかったのは卓球が事務所やめる理由のインタビューが読みたかった(ちゃんと書いてあって面白かったし納得した)し、来週に出るバンプの新譜について藤君たちがインタビューしてるとかオタク君さぁ・・・さんたちのインタビューも読んでみたかったとかもあるけど、買う理由の大きな一つとして一郎のインタビューがあったのは確かです。で、読みました。勿論全部書くわけにはいかないしちょっとだけ抜粋しながらの文になりますが、実際手にとって読んでもらったほうがいいのでロッキング・オン・ジャパン買いましょう。タイよみでもいい(?)。ミスチルのライブレポとかもあるよ。(ダイマ)

ではここからロッキンのインタビュー抜粋しながら。6年前にsakanactionというアルバムを完成させた彼らは、次はもっと大きな山(目標)に登ろうと画策します。前作での目標(20万枚以上のセールスを上げる等)は達成し、またそれらを目指すために自分たちがどう立ち回ればいいかも分析できたので、次の高い山を登る方法としてはよりメディアの露出を高めることが一番の早道と知っていた。しかしながらもともと彼らはそういうスタイルを苦手とする面子だし、実際紅白出た後こんな感じじゃないとメンバーの岡崎さんがメンタルやられたり、一郎も体調崩したらしいです。そうしてこれからどうすればいいのか悩んでいた頃にバクマン実写映画のサウンドトラックを全部作って欲しいと言われ、そこで生まれたのが今や彼らを一番代表する楽曲と言っていい新宝島でした。どうモチベを保つかを悩んでいた彼らが一旦映画の中に落とし込むというモチベーションで向かったのであの曲ができた。とは言っても、実際出たはじめはセールスも伸び悩んだので彼らの中では大成功とは思ってないみたいです。勿論代表曲になった、よりほかのファンへの入り口になれた曲としても認識しているようですが。

新宝島、そして新譜からの陽炎のヒントになったのは「ゴダイゴ」の曲らしいです。オリエンタル(東方的な)曲のパイオニアが彼らで、くるりとかもロックバンドとして落とし込んでいる中、自分たちが現代的に使うとどうなるのかとどうなるのかと考え方をしたという話でした。

一郎曰く、「作る」ってこと、例えば尾崎豊さんやブルーハーツのような初期衝動でポンとつくった楽曲が社会的に良いと言われるのが一番いいのだけど、僕らはそれらをやってきて失敗してきた。やはり作為性みたいなものに対して表現を見つけていくスタンス。じゃあどこにと言われると、理由というか「大義」って呼んでるですけど、その大義(テーマ?志みたいなもの?)作為性が只の技術になってしまうと。そこを守らないと眼の前にいる人達に言いと言われるものだけを作るようになってしまう。(個人的にはサカナみたいな計算された曲を作る人達が衝動的な曲が多い尾崎やヒロトの曲に尊敬を持っていることが聞けて嬉しかった)

前に恐れ多くもユーミンに「僕ポップス作ってみたいんですよ」と話ししたらもうポップス作ってるじゃない、本当のポップスというのは5年後に評価されるものなのよ」と言われて嬉しかったとか。今目の前にあるものに受け入れられるものを作るのではなくて、かといって20,30年後に受けるものを作るのもポップスとは言えない。5年後に評価されるものを作った人が、敏感な人がそれに飛びついてきて、ミーハーな人達が集まって本当のポップスになるということ。なるほどなと。この考え方は何も音楽だけではなくて他の仕事、特に情報の更新が日進月歩なIT事業の人に特に響くのではないかと呼んでいて思いました。イノベーションと言われるものも庵を出した当初は何言ってるんだこいつ?みたいなふうに取られると思うのですが実際成功するものはやがてそれが主流になり当たり前の事になっていく。そういった物を作り上げることが成功への道の一つなんだなと感じました。

また今回2枚組にしているのも前作での魚図鑑で深海・中層。浅瀬といったコンセプトをみて、北海道にいたときに作った頃の曲は深海だったり中層だったりするのに対し、東京に出てきて作った曲はどこか浅瀬だった。その振り分けをしたときに、グッド・バイから今までのシングルを振り分けると2枚組にして東京・札幌というコンセプトとしてこの6年間を集約したほうがわかりやすいし、その間を埋める曲も入れやすいという考えと言っています。札幌で無作為に作っていた頃の曲達、東京で作為的に作っていた頃の曲達、じゃあどちらの締めを飾る「セプテンバー」はなんだというとより純粋な、誰かに聞かせるわけでもなく自分のために作っていた頃の曲だそうです。その丸裸といってもいい曲を東京バージョンでは今の作為性をもったコンセプトで作るとどうか、札幌バージョンではあの頃弾いていた頃に近いアレンジでの収録となっており、リスナーに成長したところ、本質的なところを感じ取ってもらおうという演出なのかなと感じました。(こう読んでいるとなんで自分が2枚目の方をよく聞いているのかもわかった気がしました)

他にもNFについてだとかロックスター観だとかあるのですが怒られそうなのでここらへんで終わります。でも実際読んでみると山口一郎という人間の賢さや考えが見れるので、興味ある方は是非本誌の方を読んでみるといいかなと思います。Twitterとかの感想で勿論好意的な感想を上げている方も多々いるのですが、たまに魚図鑑と曲かぶり多いなあとか前作から6年であまり変わってないじゃんといった感想も見つけます。曲かぶりが多いのは仕方ないとして、前作、というのは多分宝島以降の話だと思うのですがこれもきっと意図的で、宝島から入ってきた人、魚図鑑から入ってきた人へのアプローチであって宝島のような曲も、グッドバイのような曲も作れる2面性をもったバンドなんだよってことを新しいリスナーへ向けて作ったのではないかと思います。勿論自分のような昔からの(とはいってもアルクアラウンドくらいからなんでミーハーみたいなもんですが)リスナーにも、あの頃からこんなふう変化してきた、うまくなったんだな、でも昔の頃のような曲もブラッシュアップできるんだなということが感じれる作品になると思います。今作が2019年を代表するアルバムの一つになることは間違いないでしょう。次作は今の時代アルバムというフォーマットで表現することに限界を感じてきてるとも語っていましたから少し違ったアプローチ、海外アーティストみたいに突然ダウンロード販売したりもっと違うことをしてくるかもしれません。そんな楽しみを持ちつつあと1ヶ月はこのアルバムを聞いていくんだろうなと考えながら。(でもバンプの新譜出たらそっち乗り換えるかも、それは許してねw)


(気難しい曲書くことも多いのにシュールなPVが多かったり写真とかだとひょうきんな写真が多いサカナクション、一郎好きだよ)

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