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ごきげんよう 赤月ゆに様

2023年10月26日、ユーチューバーとしてVTuber黎明期から活躍されていた赤月ゆに嬢の活動終了が発表された。VTuber四天王と騒がれてきた時代から月ノ美兎委員長を筆頭にストリーマー型としてにじさんじが台頭してきた、2018年2月から二月後の4月からYou Tubeチャンネルを解説していたので活動期間としては古参の枠だと言える。まだ、VTuber というものがよく分からなかったあの頃、朝起きてツイッターを開くと誰かがRTして今日はなんの日と説明してくれる赤月ゆに嬢の動画を流しながら朝支度を始めるのがルーティンだった時もある自分としても寂しい気持ちになった。同時に近年は体調不良が続いていたし、復活した最近は中の人問題とかも挙げられていたので遂にきてしまったか……という思いもあった。
数ある今日はなんの日シリーズでも、個人的に好きなのは僕の好きな「ランスシリーズ」を取り上げてくれた回である。リプ、引用、空リプなどでランスシリーズについて語る人たちも見れて、朝から嬉しい気持ちになったのを覚えている。

ところで冒頭、彼女をユーチューバーと紹介したのに気づいてくれただろうか。いやキャラクターの姿を借りて動画配信してるからVTuberやんけと言われたらそうなのだけど、彼女はリアル、現実の文京区に住む一吸血鬼という事にこだわった。ゲーム実況をキャラクターの姿を借りてストリーミングする配信者、仮想空間に存在する人物(キズナアイなど)として現実の視聴者達と交流する人たち、これらを一括りにしてVTuberと定義されることに違和感を覚えているようで、私赤月ゆには文京区に住んでいるし、日用品はセブンイレブンで買い、映画を見たくなったらピカデリーやバルト9に向かうと言っている。実在しているのだと。当時は上記2種類のようなタイプが殆どだったから、樋口楓嬢のように「バーチャル関西」と濁している方は多かったけどあくまでパソコンやスマホの前の君と同じように私も実在すると宣言しているのはとても珍しかったと記憶している。個人的にもこのスタンスは好きで、彼女に惹かれていった部分の一つだった。
……今となってはVTuberと現実が繋がっているなんて当たり前のようにリスナーも業界も認知してるし、なんなら雑談枠で普通に旅行で京都いってきましたーとかこの前まで風邪引いてて配信お休みしちゃってゴメンねとか普通に言うし、先日は元モーニング娘の後藤真希さんが2001年からタイムスリップしてきたという体で「ぶいごま」としてキャラクターの姿を借りて配信を始めている。と思えばアイドルマスターの星井美希がSHOWROOMで配信したり、けものフレンズのフンボルトペンギンがユーチューバーになっていたりと1作品から現実の配信に飛び出してくる人たちもいる。元少年院の法務技官だったり、前職は占い師だった人が配信したりと元々の仕事からVTuberとして配信業をやるようになりましたという人もいたりと千差万別である。
そういう意味では良くも悪くもゆに嬢が唱えてきた宣言が当たり前のように認知される業界になったとも思うし、彼女の特異性の一つが普遍的に変わったとも言える。

赤月ゆに嬢のスタンスとしては上の動画が本人から語られているからわかりやすいし、ゆに嬢が活動当初のユリイカに寄稿した文でも述べている。ユリイカの方は黎明期ならではの月ノ美兎委員長を始めとするVTuber(側の視点だったり、業界人の視点が読めたりと今の業界と比べてみるのも面白い。(委員長自分のエッセイでも語ってたけど、本当に1年位でブームが沈静化すると思ってたんだろうなってのが読んでて伝わる。)

赤月ゆに嬢も激動するV業界に応対すべく、今まで動画中心の活動だったのに生配信も積極的に取り込んでいった。ただやはり慣れていないのか、他のストリーマー型のVに比べておぼつかない部分があったのは否めなかったと思う。それでも時折、好きな本や映画の話になると自分の教養や体験を楽しそうにわかりやすくリスナーに伝える姿はとても交換が持てた。ただツイッターか配信で言ってたかは忘れたけど、今まで好きだった読書や映画を、配信のネタ探しとしてするようになってそれが嫌になってきたとも語っていた。そういった事情や他の問題もあって定期的に活動休止をするようになったり活動規模も収縮するようになっていたけど、遂に活動終了という形になってしまった。今はただ「赤月ゆに」嬢の心身の回復を願うばかりである。

赤月ゆに様、あなたが毎朝ツイッターに動画を流してくれて朝の活力にしていたのは私も含め多くの人にとっては間違いなく「現実」であり、動画や配信で活躍する姿に、動画終わりに反復横跳びする姿に笑いや元気をもらったのも間違いなく「現実」です。配信活動、本当にお疲れ様でした。

それでは、ごきげんよう。

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