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他人を責めない社会は生きやすいか

こんにちは。
以下に、日本のサービス業の人の大変さを書きました。

「完璧なサービス」を求められる日本で生きるのは、大変です。
では、サービスが割とテキトーな東南アジアなら、人は生きやすいんでしょうか?

<読者対象>
「日本が苦しいな」と思っている人は、東南アジアにきたら生きやすくなるんでしょうか? 実際に東南アジアで起きていることをお話しします。

結論から言えば、身もふたもないようですが、「人による」です。
日本が生きやすい人も、東南アジアが生きやすい人もいる。

最近の体験を紹介しつつ、比較してみましょう。

税務署のシステムが落ちていることもある

先日、マレーシアの税務署に申告に行きました。
いつもは税務事務所に頼むのですが、今年は政権交代の影響か多忙らしく、いくら待っても返事がない。

仕方ないので、締め切りギリギリに自分でやることにしました。

さて、税務署のパソコンで入力し始めたら、途中からどうしても先に進まない。係の人に聞いたら「システムトラブル中」とのこと。よくみたら、周りにも同じ画面のまま、じーっと待ってる人がいっぱいいました。

いやー、あまりにのんびりした雰囲気なので、気づきませんでした。
マレーシアっぽいな、と思うのは、こういうときの「緊迫感」がゼロであることです。

「いつ直るんだ!」「締め切りが迫ってるのにどうするんだ!」とか怒鳴ったり係の人に文句言ったりしてる人を見ないので、トラブルが起きてることにすら気づきませんでした(あってもマレー語なのでわからないかもですが)。特に「トラブル中」の張り紙もないのですが、みなさん、淡々としています。職員の人ものんびりしています。

もちろん、怒る人もどこかにはいるんでしょう。ただ、私はここ二年くらい、怒ったり噛み付いたりしてる人、ほとんど見たことがないです。

私のように怒られることが多い方の人間は、これ気楽です。いやー人が怒られてると自分が怒られてる気になっちゃうんで、落ち着かないんですよ。だから、気楽なんですよね。

「いつ直るんですか」と聞いたら「午後には直っているかもしれません」と言うので、一旦撤退し、出直してみました。

が、当然のごとく、午後になっても直ってません。

どうしようかなぁ。もうあと日にちがないのになぁ……。
家でやるには知識が足りないし。

……と思っていたら、大雨が降り出しました。止むまで、雨宿りをしました。

マレーシアでは大雨で足止めもよくあります。カフェに行ったら、私のようにのんびりしている人がいっぱいいました。

さて、1時間ほどしたら雨が止んだので、ダメ元でもう一回会場に行ってみたら、なんとシステムが直っていました。

素晴らしい! 感動です。
無事、係の人に入力を教えてもらいながら提出して帰宅しました。

東京にいた頃の私なら、間違いなく、システムが落ちていることについて、文句を言ってたでしょうね。
こう言うのにイライラしなくなったのは、我ながら進歩だと思います。

期待値が低いと、小さなことに感動できるので、幸福度が上がる気がします。

旅行の予定が全部変わってしまった

また別の日のお話です。

あるイベントに参加したら、予定が全部キャンセルになってしまいました。

田舎の宿泊先につきWi-Fiもないので仕事もできない。
そんなわけで、のんびり寝たり、おしゃべりしたりして静かに過ごしていました。途中で帰ってしまった人もいましたが、多くが何事もなかったように淡々としてます。

ヘイズで飛行機が飛ばず、空港で6時間も足止めされたこともありました。

こういう時にも怒ったりイライラしたり、文句言ったりする人あまり見ないですね。マレー人のビジネスマンたちの間では、お茶を飲みながら名刺交換が始まり、私も仲間に入れてもらいました。

期待値が低い人たちといると楽です

この二つの出来事。どう感じましたでしょうか。

とても耐えられない、と思いましたか。
のんびりしてていいなぁ、と思ったでしょうか。

私が感じたのは、期待値が低い人たちといるのは楽だと言うことです。
マレーシアに来て一番良いなーと思うのは人々の穏やかな態度かな。
これは、七年経った今でもそう思います。

マレーシアでは信号やエスカレータの故障はよくあること。「システムのトラブルはあって当たり前」「物事は予定通りに進まなくてしょうがない」と思っている人がマジョリティなので、皆さん、必要以上に他人にもシステムにも期待しません。

私は、こういう淡々とした態度をとる人といるのが好きです。

私も来たばかりの頃は、システムが完璧でないことに腹を立てて、怒りを爆発させていたのですが、よく考えたら私自身、間違えたり忘れたりするタイプで、むしろ許されて助かるシーンの方が多いのです。そこに気づいたら、考え方が、180度変わりました。

自分だって完璧じゃないから、他人も許そうって考えになれたら、これが楽です。特に小さい子を連れていたときは、周りの優しさに本当に助けられました。

こんなマレーシアを苦々しく思う人もいる

マレーシア人にもいろいろな人がいます。なかには自国を苦々しく思い、「日本のようにシステムを完璧にしてほしい」と思ってる人もいます。電車の正確な運航で知られる日本に強い憧れを持つ人も少なくないです。

同様に、日本人にも、マレーシアに憧れてきたものの、このシステムや人々の緩さについていけず、帰ってしまう人がいます。聞けば、やっぱり日本のシステムの中にいた方が安心できるそうです。

お互いに相手の芝生は青く見えますからね。
どっちが正しいということではなく、考え方、正解はいっぱいあっていいんだと思います。

私は、完璧を目指すたために人々がギスギス責め合う社会よりは、不完全なままの方がいいかなー、と思うタイプみたいです。どのみち、人は不完全な存在ですからねー。

私なんてダメの塊なので、責められる方が圧倒的に多いです。人の名前もよく間違えますし、忘れ物もよくしています。多分何かの病気ではないかと思うくらいです。

東京にいた頃は、電車が定刻に来たり、システムがしっかりしていることを誇りに思ってましたが、今は割とどうでもいいかな、と思うようになってしまいました。

別に電車は定刻通りに来なくても、待っている間にお茶でもして、隣の人と仲良くなれたらそれも楽しい。

個人的には何事も、テキトーな方が、幸福感は上がる気がします。
反対にシステムがしっかりしているほうがストレスたまらなくていいって人もいるんですよね。

まあどっちでもいいんじゃないでしょうか。というわけで、人それぞれいろんな考え方があるよ、ってお話でした。

ではまた。

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