破綻した国家で人々はどのように生活するのか

少子化、年金の不安、消費税の増税。
ここマレーシアにいても、日本から来る方が「もう日本は厳しいです」とため息交じりに言われることが増えました。

しかし、国の借金が増え過ぎて、国家が破綻するーーというストーリー、知る限り20年も前から警告され続けてるんですが、一向に起きていません。それに破綻、破綻と口では言うけれど、具体的には案外、見えてなかったりします。

本当に国家が破綻すると、私たちの生活ってどうなるのでしょうか。
「最悪」に何が起きるかわかれば、それなりの心構えもできるかもしれません。

ということで、今回は、高城剛さんの「世界はすでに破綻している」をご紹介します。少し前に書かれた本ですが、私は最近読みました。

預金封鎖や通貨の無価値化

本書は、かつて破綻した国家を、著者が実際に訪ねて取材した記録です。

スペイン、ギリシャ、ロシア、タイ、韓国、アルゼンチン、キプロス、デトロイトなどの例が紹介されています。

本書を読んでわかることは、破綻した国家では、「預金」の没収が行われるということ。

まず、国家が危うくなると、多くの国で、現金の価値がインフレで目減りしています。

さらに国家破綻すると、多くの国で預金封鎖や紙幣を無効にする政策などが取られます。ソ連崩壊後のロシアではハイパーインフレが進み、通貨の引き下げが繰り返され、預金は紙切れ同然となってしまったそうです。

実は預金封鎖と通貨の変更、日本でも起きてます。

マレーシアでも同様です。戦後、日本軍が統治していた時代の紙幣は紙切れになってしまったそうで、私も現物の紙幣をマラッカのマレー人のご家庭で見せてもらいました。記念に取ってあるのだとおっしゃっていましたが、複雑な気持ちでした。

ここまではだいたい想像通りなのですが、私が聞きたいのは、机上のデータではなく、現地に行って、話をした人の話なのです。実際に街を歩いた人の切り取る現実はリアルです。

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