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学校に行きたくないあなたへ

日本にいたころ、子供が「学校に行きたくない」と言った。
当時、理由はなかなか言わなかった。

後から聞いたら、

休み時間に外で遊ばないといけないとか、
下敷きは絵が描いてあったらダメとか、
毎日計算カードをやらなくちゃいけないとか、
足をぶらぶらさせてはダメとか、
知ってることを自慢げに話すと嫌われるとか、
太陽を描いちゃダメって言われたりとか、

いろいろあった。
大抵の場合は、理由を聞いても教えてもらえなかった。
「みんなと同じ」でないとダメみたいだ。

親の私は、「学校とは、物を考えない練習をするところなんだな」と思った。

そんな彼はマレーシアの変な学校に来て、たちまち元気を取り戻した。
そこでは先生が机にバナナをぶら下げて、授業中に食べていた。

こどばもわからない初日に、
「こっちの先生は、僕が階段登っただけで、褒めてくれるんだよ!」
と興奮して帰って来た。

相変わらず宿題はやらないけど、大抵何をしても褒められた。

2番目に行った学校はもっと変だった。
テストでは、「この英単語を使って、お話を作ってください」というのや「この漫画を見て、ストーリーの続きを考えてください」なんてのが出た。
数学では、校庭に道具が入ったカゴが置いてあって、「みんなで校庭の面積を測ってください」ってメモが書いてあったりした。


朝礼で突然銃声がした。先生が倒れて、「先生が撃たれました! みんな犯人を捜査してください!」って放送が流れたりした。これは先生たちのドッキリお芝居。その後、生徒たちがFBIになって、犯人を調査する。
宿題をクレヨンでやってくる子や、隣にいるのに100メートル先にいる人に話しかけるみたいに大声で話す女の子もいた。

元ギャングの先生がいて、昔やった悪いことをコッソリ生徒たちに教えてくれた。
ゴルゴ13みたいにすんごい怖い先生もいた。
教員資格? そんなものはない。
でも、先生たちは子供が大好きだ。

校長先生は、子供達によくアイスをくれた。
子供たちをマクドナルドに連れていった。
先生は冗談ばかり。
ハチャメチャだった。

子供は、どんどん元気になった。
「この学校では、みんな口がバナナみたいに笑ってる!」と言った。

世界はちょっとズレるだけで変わる。
友達はみんな外国人になった。
いじめもあったけど、大抵解決した。
みんな転校しちゃうから。

インド系の担任の先生は、
「そのままの欠点だらけの、不完全なあなたでいてください。あなたは、たった一人しかいないのだから」とメッセージをくれた。

この国では「失敗はいいこと」と教える先生が多いんだな。

親の私は「最高だな」と思った。

子どもは、なぜか勉強に夢中になった。
あんなに嫌いだったのに。
好きなことが見つかったから、学校を辞めて、プログラミング教室でもっと勉強したいと言い出した。
今はプログラミングと理数系を毎日勉強してる。

プログラマーは自習が普通。

プログラミング教室での先生はコーチするだけだ。
自分のペースでやりたいことを勉強する。

親としては勇気がいる。

彼の人生はうまく行かないかもしれない。そんな時には「ほら、だから言ったでしょ」という人が現れるだろう。傷つくかもしれないよね。でもこれも人生だ。

もちろん、海外に行くにはお金もかかる。
言葉も違うから親も大変。
日本に帰ったら「変わってる」といじめられるかもしれないよね。

けれど、今いるところだけが全てだろうか。
日本にもあるんじゃないだろうか。

人は、ハッピーじゃなければ学べないと思う。

あなたにとっての「楽しい場所」がどこにあるか、それは他の人にはわからない。
だから、いろんなところに行って、自分で体験するしかない。
合わなかったら辞めて、合うところを見つけるまで旅するしかない。

そしてこれは、何も海外に来いって話じゃない。

親に連れてこられたけど、海外生活が合わないって人もいっぱいいる。
ただし、英語がわからないと見えない世界ってのもある。

この文章は絶望しているあなたには、届かないかもしれない。
けれどもし、最後まで読んでくれたなら、今ある世界だけが全てじゃない、ということを思い出してほしい。

今の学校がいやだ、ってのは、もしかしたらチャンスなのかもしれない。

国内を含め、選択肢を調べてみてほしい。そして親には「お金はこういう時に使ってくれ」と頼んでほしい。

ゲームが好きで、プログラマーになりたいって子がいたら、試しに来てみたらいい。
全部英語だけどね。英語を学べば世界は広がる。

世界は実はすごく広い。


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