美しく老いるってむずかしい!

○「美しく老いる」というのは、本当に難しい。
「時間は敵です」と言ったのは、確かカトリーヌ・ドヌーブだ。時間とか乾燥とかストレスとか、敵はたくさんいる。エステなど無縁の私は、いかに手間暇かけずに、大金も使わずに小綺麗でいられるか日々考えているのだが、まだこれと言った方法は見つかっていない。
「しわ、たるみ、老化全般」に効くマッサージなどないかしらとYouTubeをたまに検索するのだけど…。
「四十才五十才でも、これを毎日やっていればシワたるみのない状態を保てますよ」
 先日もYouTubeを観ていて、この言葉に心底がっかりした。
 四十才五十才なんてまだまだ若いじゃないの! 四十才なんてプリプリじゃないか。
「プロなら五十才以上の女性を少しでも綺麗にするための方法を教えんかい!」と、私は画面に向かって吠えるのである。
 人生100年時代。四十歳以降の方がずっと長いのだ。綺麗でいたいのは若い人も高齢者も同じ。だけど若い時の「綺麗になりたい」とはちょっと違う気がする。
 今から恋の季節を迎えるわけでもないし嫁に行くわけでもないが、できるだけ若々しく小綺麗でいたいと思うのは、自分とまわりの人のため(特に家族)というのが主な理由かもしれない。
 鏡を見て「あ〜あ、年取っちゃったわね」と思うのは嫌なものである。家族だって小汚く老けてしまった母親や妻を見るのは決して良い気分ではなかろう。
 確か桐島洋子さんが「小汚い格好をしてるのはまわりの人にとって公害みたいなもの」というようなことをおっしゃってらした。「公害」にならぬためにも、小綺麗でいたいのだ。
 街中に、小綺麗な中高年が増えたほうがずっと良いではないか。なんの関係もない人であってもだ。
 だから化粧品会社もユーチューバーも、ぜひ頑張っていただきたい。
 人口の増減率などを見てもわかるように、64歳以下は減少しているのに、65歳以上は増加している。だから、65歳以上をターゲットにしたものは利益を産むんじゃないかしら。
 そうは言うものの、化粧品よりも何よりも、「美しく老いる」には、心身の健康が一番だなあとも思うのだ。年を取れば取るほど、体調は顔に出る。気持ちの浮き沈みも顔に出る。昔、娘たちが虚弱児だった頃の写真を見ると、私の老けてること!
 親を老けさせたくなかったら心配をかけぬことだと声を大にして言いたい。
 それからもう一つ、「美しく老いる」ためには、何か夢中になるものを持っていることじゃないかしら。
「おっさんずラブリターンズ」の中で、「推し活」に夢中になっている蝶子さんが浮かれているシーンがあったけど、あれですよ、あれ!
「推し」がいるだけで、気持ちはウキウキするし、「推し」が元気をくれる。好きなドラマを観ていると、何かいいものが体の中を巡るような気がするのだ。
 だから私にとって「おっさんずラブ」は、どんな美容液よりも効果があるのかもしれない。


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