おっさんずラブの最終回が素晴らし過ぎたので会社休みます

 最終回が素晴らし過ぎて、放心状態である。だから会社休みます(会社行ってないけど)
 観終わった後、余韻を胸にベッドに入ったのだが、朝までずっと菊さまと和泉さんと秋斗の夢を見ていた。残念なことに内容は全く覚えていない。悔しいかぎりである。
 それにしてもなんという完璧なラストだったことだろう。100%なんてものじゃない。300%だ。一人も取りこぼすことなく幸せにしてくれた。
 春田と牧は欠けることなき満月状態に幸せだし、マイマイ一家も本当に楽しそう。マロと蝶子さんも毎日がお祭り騒ぎだ。ちずちゃんも兄一家やたくさんの仲間がいるから幸せそうだし、武川さんだって愛しい家族ができた。
 心配していた黒澤部長も、肉体年齢三十五歳! 春田さんより若いじゃないか。
 そして、私の胃痛の原因にもなっていた菊さまと和泉さん!
 あの結末は完璧にもほどがある。最後の公安ズラブシーン、あれはもう、もう、もう!!!としか言いようがない。至福の時を与えていただいた。
 ドラマに関わった皆さま、本当に本当にありがとう! 土下座では足りない。お賽銭やお供物をお捧げしたいくらいである。
 試しに朝日放送の社屋の玄関にお賽銭箱を置いてみて欲しい。あっという間に国の予算の100分の1くらいは集まるんじゃなかろうか。
 お賽銭箱を置かれてないので、代わりにグッズを買い漁るつもりだ。

 春田さんと牧は安定した幸せな夫夫なので、このシリーズで気になったのは菊さまと和泉さんのカップルだった。
 皆さまもすでにお気づきだろうが、菊さまの可愛さ、健気さ、切なさは公安に捕まるレベルのテロだった。
 雨の中、喪服で佇む和泉さんの背中をさする菊さまの悲しみに満ちた瞳、ロケットを見つけて和泉さんに渡す時の嬉しそうな顔、何と言っても、神社で抱きしめられた時の驚いた顔と、その直後の幸せそうな顔…。
 そしてアンパンを食べたあとの……!!いつもどこか切なそうで不安そうで寂しそうだった菊さまが、愛されている自信にあふれて生意気な唇をしていた。小悪魔か!

 おっさんずラブが、こんなにもたくさんの人達に愛される国に生まれて本当によかった。
 このドラマは、ファンタジーである。おっさんずラブの世界に本物の悪人はいない。主要キャラは全員善人である。悪人ぽかった足利さんだって、ただの良い人だった。
 こんな世界に住みたい。こんな人たちと友達になりたい。
おっさんずラブファンは皆そう思っているに違いない。
 このドラマが特別なのは、ファンが「みんなの幸せな姿を見たい!」と、強く願っているところではなかろうか。
 他者に対して「幸せになって欲しい!」と願う心、つまり「利他」の心が、このドラマを支えているのだ。
 面白おかしく楽しいドラマであるが、時々ハッとするような世界の真理やメッセージが宝石のように散りばめられているのも、このドラマの素敵なところである。
 例えば、春田が「家族」の形について言った言葉。
「俺は牧と一緒なら、この先どんな家族になっても楽しいって思ってる」
 マジョリティーとかマイノリティーとか、差別とか、権利とか、そういうものを飛び越えて、春田は「家族」というものについて、何が一番大切なのかという真理を語っているのだ。
「鈴と小鳥とそれから私。みんな違ってみんないい」
 金子みすずさんも書いているように、みんな違って、みんな良いのだ。

 そして和泉さんの言葉。
「いつもあるものが明日もあるとは限らないですから」
 一期一会、諸行無常。この世は儚い。だから今日を、今を、出会った人を大切にしよう。一瞬一瞬を大切に生きよう。
 和泉さんの言葉に込められた想いはみんなにしっかり届いた。
 いつもあるものが明日もあるとは限らないのに、私は今まで何度やらかしたことだろう。
 なぜもっと優しくしてあげなかったのか、なぜあの時会っておかなかったのか、なぜ手紙の一通でも送らなかったのか、なぜありがとうを伝えなかったのか…。
 記憶をたぐり寄せれば、後悔だらけだ。
 和泉さんもきっと、あの言葉を口にしながら秋斗のことを思っていたに違いない。
 無念の想いに足首をつかまれて前に進めなかった和泉さんだけど、春田に出逢って、陽だまりのような優しさに凍った心を溶かされて、やっと前を向くことができた。
「なんで既婚者の春田に行く!?よそ見しないで菊さまに行け!!」と多くの人が思っただろうが、人生を再スタートさせるためには、どうしても春田というワンクッションが必要だったのだ。
 菊さまはずっとそばにいて和泉さんを慕い続けた。だけど、菊さまの恋心はあまりに秘めやかで静かで、復讐心に燃える和泉さんは気づかなかった。いや、もしかしたら少しは気づいていたかもしれないが秋斗を死なせてしまった自分を許せなかったのだ。だから「お前は弟だ」と、菊さまにも自分にも言い続けた。
 和泉さんが恋をしていたのは春田ではなく、秋斗にそっくりな「過去の幻」だ。だけど、魂が真っ白の春田に心の治療をしてもらってやっと正気に戻った。そして憎しみや復讐心や後悔や悲しみに濁っていた心の眼がやっと開いたのだ。
 澄んだ目に映ったのは菊さまだった。春田さん、良い仕事しましたね(拍手)
 昨夜の興奮が覚めやらず、あちこちに飛んで支離滅裂になってしまったが、私が本当に言いたいことはただ一つ。
 おっさんずラブは素晴らしいドラマだ!!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?