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人類が少し進化する記事

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#詩

せめて「自分」になりたい

せめて「自分」になりたい

わたしはずっと、個性的なひとになりたかった。

そういうものにならなければいけない、みたいな義務感さえあった。

好きでもないものを好きだと言ってみたり、似合いもしない個性的なファッションを着てみたり。

いうなれば「守破離」の破ばっかりやって、何一つものにできなかった。

でもそうやって偽物の「個性」を身につければ身につけるほど、わたしは埋もれて溺れていった。

自分にはなにかあるはずと信じてい

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もっとも華やかで
もっとも残酷なイキモノ
『夢』

ぼくらの言葉は通じない

ぼくらの言葉は通じない

 

聞こえるか

病院の仲間たち

NAの仲間たち

パクられた仲間たち

ホームレスの仲間たち

死んでしまった仲間たち

おれはまだ やってるぞ

おれはまだ もがいてる

届かぬ言葉を 吐き続け

虚しく空振る

すこぶる はずす

スベる

シカト

無関心

どうでもいい

そりゃそうだ

人間誰しも自分だけ

おれたちだって同じだろ

だけどそれでも どうにもならない

言わずにおれ

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ロボット

ロボット

目が覚めたのは 三日後だった
看護師に聞いた ここはどこですか
扉のない救急病棟
点滴と心電図 まるでロボット

いい歳こいて穿かされたオムツ
未だ回らないオツム
また寝てたような気がする
繰り返す 昼と夜

そうだな確かに生きている
あの時のクスリ 今も効いてる
覚えてる テーブルに水のグラス
大量のゴミは睡眠薬

死のうとしたのは現実で
失敗したのもまた事実
それならこれからどうするの
気にな

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水面の空

水面の空

空を見上げる勇気もなく
水面に映った空を見て
全てを知った気になっていた

水面の空は掴もうとしても歪むばかりで
本物はいつまで経っても掴めやしない

人間は空を飛べないってわかってた
けれど認めるのが怖いから
下ばかり向いていた

「飛べなくても見上げていい」と
言ってくれた人がいた

「飛べないなら地を歩けばいい」と
言ってくれた人がいた

「飛べないなら飛べるものを作ればいい」と
言ってくれ

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ふんわりの詩

ふんわりの詩

ふんわりふんわりしているけれど、僕の心臓を通すと途端に角ばったトゲに変わる。ふんわりが悪いわけないし、心臓だって悪気はないし、誰だってふんわりをふんわりのまま満ち足りたいのに、どうしてだろう、トゲに変えてしまう。トゲが悪いものってわけじゃないけれど、トゲは痛いから苦手って言われてしまう。トゲだって悪いことしてるわけじゃなくて、トゲはトゲとして生まれたからそこにあるのに、隣にふんわりがあるとまるで悪

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また君に恋してる

また君に恋してる

ママ、パパと呼ばずに

久しぶりに
名前で呼んでみた

20年ぶりに訪れた

二人が初めて会った場所

「手を繋ぎたいよ」と私は言った

照れくさそうにあなたは微笑む

初めて会ったときの満面の笑みが蘇ってきた

20年たって初めて手を繋いで歩き出した

20年たって初めてだ

最初はぎこちなかったけど

温かさが伝わって
体が熱くなる

涙も溢れる

こんな日が来るなんて

またあなたに恋してる

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震災が奪った沢山のコト。震災で出逢ったダイヤの欠片たち。

震災が奪った沢山のコト。震災で出逢ったダイヤの欠片たち。

たぶん人生のスゴく濃い部分は震災で失って、今はその残りカスを何となく摘まんでいます。
もう戻らないものばかりだけど、それをそれと受け止められない自分がいます。

懐かしい顔に会いに行ったときの第一声が
「みんな死にました」
でした。凄く悲しいはずなのに、
少し心が軽くなっていました。
沢山のひとが死んで、
沢山の関係が絶えて、
沢山のひとに裏切られ、

それで、ホンの少しの出逢いがありました。

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どんなに冷たいあの人も。

どんなに冷たいあの人も。

どんなに冷たいあの人も
優しさを与え続ければ
やがて抱えきれなくなって

少しずつ返してくれるから。

君の弱さを知った。

君の弱さを知った。

はじめて君の弱さを知った。

そして それまでの

君の強さを はじめて知った。