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4℃とコーヒーと愚者の贈り物

クリスマスと言えば、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」は思い出されるもののひとつである。

比して、近年のSNSでは4℃のジュエリーが「愚かな贈り物」としてネタにされがちである。特にメルカリが出来て以降は、クリスマスやバレンタインの時期にプレゼントが大量にそのまま出品されるので話題をさらうようになった。

2020年も同じ光景が繰り返され、ツイッターで炎上があったようである。プレゼント交換で貰った4℃を晒して炎上した本人は、交換した相手がコーヒー好きなので3000円のコーヒー豆セットを贈ったと書いていたようだ。




それ、地雷や。4℃と同じや。


コーヒーはなかなか難しいもので、苦味と酸味という本質的にヒトが「毒」として判断する味をベースとしているので、コーヒー好きでもストライクゾーンから少しでも外れると全く飲めないという人が少なくない。苦味が好きな人が浅煎り向きの高級スペシャルティ豆を酸っぱいと言って嫌うことや、フルーティーな香りが好きな人が一流バリスタの淹れたエスプレッソを評価しないのはままある話である。

近年は、その中でも鮮度低下による味の劣化が特に重視されている。この点を知りたければ、日本を代表する「コーヒーハンター」川島良彰氏の「コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか」を読まれると良いだろう。値段はあてにならない。自家焙煎店などで買うようなシリアスなコーヒーマニアに、いつ焙煎されたか分からないギフト用の「3000円の豆セット」を持って行っても、内心渋く思いつつ気持ちを笑顔で受けることが多いと思う。あなたが4℃を要らないと思っているのと同様に、飲まずに誰かに贈られていることもあるだろう。


「相手の好きなものは実は地雷」という話は、えらけいこ「あたしンち」でそのようなエピソードがあるようである。そこでは、「ワインの蘊蓄を語るように人にワイン素人が選んだものを贈って何を言われるか想像したらよい」と説明されているそうだ。相手の趣味に合わせて贈るなら「同好の士」という程度には同じような趣味・知識がないと相手を驚かせるのは難しいかもしれない。


女性にジュエリーを贈るのも、コーヒー好きにコーヒーを贈るのも、なかなか難しいものである。というわけで、見かけた中で面白かったツイートを2つ並べて締りなく締めとしたい。





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