第六回リーディング公演『熱帯樹』公演後インタビュー:大倉圭(恵三郎役)

①今公演を終えて
―まず、といいましても終演からずいぶん経ちますが、まず。狂天動智リーディング公演『熱帯樹』にご来場頂き、ありがとうございます。劇場ではなく、バーという空間での公演にしては長い時間だったでしょう。お付き合い頂き、感謝感謝です。今回の公演は、前半がリーディングで後半からラストにかけてが普通のお芝居という構成でしたが、いかがでしたでしょうか?やってる側としては、実はやるべきことがガラッと変わるので結構大変だったりします!でもその切り替えがシーンやキャラクターに動きを与えてくれて、終演後のフリートークの中でもその瞬間を褒めていただけたので、意味のある挑戦になったなーと感じております!改めてお客様には感謝です!

②熱帯樹を初めて読んだ時の感想
―正直なところ、気持ち悪かったですね…
自分は勇と同じく妹を持つ長男なのですが、妹に恋愛感情を持つなんてことは考えられないです。
アニキの方なら分かりますよね⁈

③熱帯樹で好きな役は?
―信子です!父母側でも兄妹側でもない立ち位置。熱帯樹が見えているのかどうかもはっきりせず、唯一無二の存在感…役としても魅力的ですし、役者的にも、いわゆるおいしい役所やと思ってます。

④役作りの中で、自分がこだわった部分
―激昂する部分。つまり恵三郎があまり見せない人間らしい部分をいかに理不尽に、かつ恵三郎なりの愛情を持って表現できるか、ですね。彼の愛はとても分かりづらく、万人に理解されるものではありません。僕も理解に苦しみました。だからこそ、自分が一番の理解者だと自己暗示して臨みました。

⑤熱帯樹を演じてみて、新しく自分に備わったものとは?(役者としてでも、人間としてでも)
声の出し方ですね。単純な話のように聞こえるかもしれませんが、これが結構難しいんです。場合によっては言葉の意味さえ変えてしまうので、そういう事故を起こさないようにしつつ、声量や語尾を伸ばす秒数、高さや低さを最も効果的なタイミングで、決してコントロールから離れないように放出しなければなりません。もちろん全ての作品で意識していますが、今回の公演で新たなステージに登れた気がします。

⑦2020年の抱負
これについてはごちゃごちゃ語らず、一言で。バシッと言い切りたいと思います。ズバリ!
「大活躍」!!

⑥ご来場頂いたお客様、インタビューを見て頂いた皆様に一言
フリートークで「最後の恵三郎が凄く優しかった」とのご意見をいただきました。実はこれ、僕の中では大成功なのです。少し思い出していただきたいのですが、勇と郁子が去った後のシーン、僕が家族について語る台詞で優しく妻の律子を見つめるのですが、実は律子は一度も恵三郎のことを見てはくれなかったのです。僕の予測の域を出ませんが、おそらく彼は間も無く死にます。全て思い通りにしようとしながら、その実、何も知らずに死んでゆくのです。最後のシーンを僕は、恵三郎への手向け花のようなつもりで演じておりました。あれだけ自分勝手な人間の最後の印象を「優しい」で締めくくれた事を、そうなるように演じてくださった鶴坂さんにも、そのように感じていただいたお客様にも、感謝しております。
なんだかんだで、僕は結構、恵三郎のことが好きだったのかな、と。
今は思います。
長々と失礼いたしました!これにてインタビューは終わりとさせていただきます。僕の今後についてはTwitterなどでご報告させていただきますので、これからも狂天動智と大倉圭をよろしくお願い致します。

大倉圭

大倉圭△Kei OKURA
兵庫県出身、1995年11月4日生まれ。
高校演劇をきっかけに芝居をはじめる。
大学で演技を専攻し、卒業後は関西小劇場の劇団で一年の下積みを経て、現在に至る。
若干24歳とは思えない風貌と体格で、謎の大物感があるため、実年齢より上の役を演じることが多いが、実際は小心者。
【主な出演・舞台】
『双生児』狂天動智
(原作:江戸川乱歩 上演戯曲・演出:山本善之)
『眠らぬ月の下僕』リリパットアーミーⅡ
(作・演出:わかぎゑふ)
『おいでよ!カサブランカ』nidone.works
(作・演出:渡辺たくみ)
※上記の作品には「東久保拓己」として出演。

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