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箱根本箱へ行ってきた話。②

箱根湯本から強羅へむかいます。
それまでの話はこちらから。↓

登山電車は今まで乗った中で一番乗客が少なく、私の目の前には若いカップルが座っていた。カップルで箱根旅行、いいよね。
強羅からはさらにケーブルカーに乗り換えて、中強羅という駅まで向かうのだけど、乗り換えまで少し時間があった。
時は2月下旬、箱根の山は寒く、待合室なんてものはなく、駅前の商店はことごとく閉まっており、私はおもむろにスマホの地図アプリを開いた。

これ、歩けるんじゃね??
ケーブルカーで10分弱の距離にある宿の最寄駅。線路沿いにまっすぐ歩けば容易にたどり着けそうだった。
新宿からロマンスカーに乗り思いがけない出費をしてしまったために妙にケチ臭くなっていた私は中強羅までの数駅、歩いて向かうことにしたのである。
…そしてその数分後、私はその決断を大いに後悔するのである。

強羅から最寄りの中強羅までの間には「公園下」「公園上」という駅があるのだが、なぜこのような名前がついているのか読者の皆様(いるかな?)にはお分かりになるだろうか。
ケーブルカーが走っている時点で気づくべきだったのだが、ものすごい斜面なのである。体感45度くらいの上り坂が直線ン百メートル続いている。公園下駅と公園上駅は、読んで字の如く公園の下と、公園の上にあるのだった。至極親切な駅名だった。
昔むかし初めてできた彼氏と強羅公園で遊んだときは、こんな坂道だった記憶ないぞ、生まれてはじめてみるドデカい上り坂を目の前にして思う。全力坂ロケとかやったら倒れちゃうよ。
でももう駅を出て歩いてしまったし、今更引き返すのもなんだか悔しいので、仕方なく歩いてみる、
線路周囲には何もない。かわいいカフェとか地元のちょっとレトロな商店とかあればまだ楽しくのぼれるのだけれど、広がる空き地、駐車場、時たま現れる民家、寂れた民宿といった具合で、私は箱根まで来て何をやっているんだという気分になった。
ヒィヒィ言いながら坂道を上っている横を、乗車する予定だったケーブルカーが静かに追い抜いていった。

線路沿いの道は駅で小休止的に坂が終わる他はずっと急斜面で、ときたま振り返ると絶景が広がりそれなりに達成感はあったのだけど、なにしろキツくてあまり写真を撮っている余裕はなかった。
中強羅までもう少し、というところにあった宗教関連施設みたいな謎の広場で休憩したり、中強羅駅まで着いてから宿のある駅の反対側へ渡る術がなく(踏切や歩道橋などは存在しない…)半泣きになりながら一生懸命のぼった急斜面を一駅分くだったりしながら、やっと目的地へ到着。

やったー!!!すでに16時になっていた。
敷地に足を踏み入れるとスタッフの方が入口に案内してくれた。もうヘトヘトに疲れていたのでささいな優しさが沁みる。

ネタバレは良くないので詳細は語らないが、宿の入り口の扉が開いた瞬間の感動はえも言われぬものがあった。美女と野獣でベルが図書室みたいな部屋に連れてこられたあの感じが感覚的に近い。おい、箱根にくれば誰でもベルになれるぞ。

本に囲まれながら受付を済ませる。
もうすでに、だの゛じい゛…

簡単な説明を受けて、いざ部屋へ!
次回へ続きます!

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