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九州パンケーキ、イオンモールから去ります。

イオンモール撤退の背景

今月末(2021年1月末日)をもって、イオンモール宮崎にある「九州パンケーキKitchen」を閉めることになりました。県内随一の大型ショッピングセンターの”一等立地”は、コロナ禍によって一転、最悪の立地になってしまったわけです。実際にはコロナ第二波と言われた昨年2020年の7月に決意し、後に記す通り、半年間をかけて移転に向けての準備を進めてきました。

コロナが大きな理由(きっかけ)ではあるのですが、本音の部分では、「いちばん九州パンケーキらしさを表現できる場所ってどこなんだろう」って、ずっと模索してきた部分もありました。

このお店は、2018年3月にオープンしたばかりのまだ2年足らずの新しいお店です。70坪を超えるモール内店舗としては大型の区画にいくつかの機能を持たせて、パンケーキカフェの運営に加えて、新しくパン(九パン)の開発をしたり、クレープの開発をしたりと、新しいチャレンジに挑んできました。

コロナ禍では、”UNCONTROLLABLE(どうしようもない)"な事象が突如として襲いかかります。「立地」という飲食業にとっては最も重要と言われてきた成功因子の概念が突如として変わるのですから、これほどのネガティブインパクトはありません。

振り返ると昨年の4月17日、突然「明日から当分の間、閉店します」とモール事務所から宣言されました。5月半ばに再開するまで約1ヶ月間、そしてその後営業再開しても戻らない客足、6月に入ってようやく賑わいが戻ってきたかなと思われた矢先の第二波に伴う宮崎県からの飲食店に対する営業自粛要請。そして今、また「緊急事態宣言」の再発出となりました(2021.1.8 現在)

「withコロナの時代」とは何なのか、を理解した僕らは、7月の役員会にて「イオンモールからの撤退」を決議しました。無益な消耗線を避け、ブランドの未来を守るために、断腸の思いでの決断です。

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戦術的撤退

この数ヶ月、九州パンケーキが持つ「価値」とは何かを数ヶ月に渡って熟考し、そして、それを最大化するための選択は何なのだろうとずいぶん悩みました。

(イメージとしては)弾が飛び交う戦場の最前線から、自陣の本拠地へ部隊を退却させるようなものです。4月ー5月にかけての(事実上の)ロックダウンによる売り上げ消失と、それに伴うキャッシュの流出を止めることを第一義に対策を練りつつ、次から次に新たに見えてきたことを私情を交えずに冷静に分析して、私たちは新たな想いを持ってこの場所を離れることにしました。

これまでの「立地」条件は、できるだけ人を集めることのできる場所でしたが、これからは私たちが考える”豊かさ”をストレートに表現して、それに共感していただけるコミュニティの輪の広がりこそが重要になると思っています。お店(オフライン)とインターネット(オンライン)の垣根を繋ぐものは、『九州の素材だけでつくりたかった、毎日のおいしさ』という私たちのものづくりの考え方、そして『世界があこがれる九州をつくる』という経営理念への真摯な向き合い方や姿勢です。

イオンモールから撤退し、新たな場所へ移転するという決断は、その覚悟の表れでもあると感じていただけたらありがたいです。

移転先について

移転先は、廃校を利活用(リノベーション)した本社がある高岡町のMUKASA-HUB(ムカサハブ)。UNCONTROLLABLEな要因を廃し、CONTROLLABLE=自分たちで全てをコントロールできる状態(場)へと移行させることにしました。

MUKASA-HUBの1Fには、広いコワーキングスペースが整備されています。この場所の一部と、隣接するフードラボ(自社のメニュー開発をしている厨房併設の部屋)とを繋いで、九州パンケーキKitchenの設備を全て移転/移設します。自社キッチン機能を大幅に増強し、「食の企業グループ」として理想的なものづくりに向き合う姿勢が整うと期待しています。

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何をやるのか

九州パンケーキカフェの新しい表現を追求していきます。九州パンケーキミックスは、汎用性の高い万能ミックスです。このミックスを使った、様々な取り組みが進んでいます。これらを網羅的に体験できる場が”Re Born”されることとなります。

例えば、九州パンケーキミックスの素材をメインに100%九州素材だけで作っている『九パン』は、今後はこの新天地で製造を行います。制約のあった製造条件(時間や作業空間)が無くなる事で、これまで以上に生産効率が良くなりますし、夕方には売り切れてしまって「買えなかった」というお客様のお叱りを真摯に受け止めて、地域内への販売所の拡大や、オンラインも強化してまいります。

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培(つちか)ってきたもの

「九州パンケーキのクレープ」や「九州ソフトクリーム」は、現在イオンモールで大人気の商品となっています。こちらも、地域の農業素材を使ってよりアップデートしてみたいと思っています。MUKASA-HUB、が立地する(旧)東諸三町=綾町、国富町、高岡町圏域は、とても豊かな農業地域です。2020年12月には、弊社と綾町とで包括連携協定も締結致しましたので、地域の農業振興にも貢献していきたいと思っています。

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また、現在、新商品「九州チーズタルト」の開発を進めています(1月後半にクラウドファンディングにて発売開始予定)。九州パンケーキミックスでタルト生地を作り、鹿児島の伊佐牧場のナチュラルチーズや、高岡町丸山農園の路地リスボンレモンを使ったクラフテッドな焼き菓子です。こちらも、店内オーブンで焼き立てを食べていただけるようになります。

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九州パンケーキ

九州パンケーキカフェは2020年11月に、日向東郷店をオープンし、新たなフランチャイズの展開をスタートしました。現在、佐賀県武雄市のこども図書館、台湾、シンガポールにも店舗があり、今年は北京への展開も計画しています。これらのカフェは、私たちの世界観をいちばん感じていただける「顧客体験の場」だと考えています。パンケーキメニューも時代とともに、少しだけトレンドを盛り込みつつ、アップデート(進化)していかなくてはなりません。こうしたメニュー開発も、キッチンラボ機能の拡充によって加速していきたいと思います。

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2021年、新たな希望の礎に

2020年からはじまったコロナ騒動は、当分の間続いていくものと思います。そんな中でも、私たちは「食」を通じた喜びや楽しみを創造して、お客様や地域と共に次の時代へと歩みを進めていかなくてはなりません。

店舗を撤退させることには、心理的にも財務上も大きな痛みが伴います。移転する新生「九州パンケーキKitchen」は、できる限りコストをかけずに、私たちの手作りで、できる範囲で、できることをコツコツと積み上げていくスタイルになると思います。

今回のチャレンジ(?)に際して、僕自身は19歳で、ひとり海外で起業した時のこと、28歳で事業を失敗し寿司職人となった時のこと、そして32歳で初のタリーズコーヒーをオープンした時のことなど、節目節目の感覚を呼び戻しています。僕らの新しいスタートは、少年が秘密基地を作っていくようにワクワク感を持ちながら、チームみんなで作り上げていきたいと思っています。

2021年3月に、オープンさせる予定で計画を進めます。
しばらくの間、ご心配とご不便をおかけしますが、より”豊かな”笑顔あふれる場所となって帰ってきます。みなさん、ご期待ください。

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