どっぷりと深く深く深く・・・

DARK RIVER

2013年にリリースされたこの楽曲は、GLAYにとっては新たな出発の曲とも言えるだろう。この年の函館で行われたライブの前哨戦的な意味合いを持つ1曲。
J-POPの王道的というか、演歌的要素も含まれており、GLAYとしては、得意ラインとも言えるだろう。TERUの持つ声の哀愁的側面が光る。(的が多い文章だ。)

この楽曲からプロデューサーに亀田誠治氏を迎え、今年で早10年。
GLAYにとって新たな可能性が広がったのは、彼らが音楽に対して、非常に柔軟であることと、飽くなき探究心があることが大きな要因と言えるだろう。
この楽曲も、GLAYの得意技があれこれと詰まっているが、もちろん、得意技を披露することが目的の曲ではない。
その時々に伝えたい思いや託したい気持ちがあり、彼らはそれを音楽という手段で世の中に放つ。そして、それをライブで演奏することで、何年もかけて、時にはリリース時と異なる形にして伝え続ける。
あるメンバーが試みたいことがあるならば、それはGLAYという箱をうまく使って伝えたら良いという発想がバンドの根底にあるからこそ、王道楽曲も、攻めた楽曲も、「GLAYらしさ」がまったくない楽曲も、何でも外に出していく。
作ってみたものの、今ではないというものは「寝か」し、数年、数十年後に日の目を見るなんてものも珍しくはない。
そして、どんな楽曲だろうとTERUは歌うことを拒まない。

2013年にリリースされた「DARK RIVER」は、深い深い川の中にも、激流だけではなく、たゆたうような、身を任せておけばいつかは陸地にたどりつける流れだってあるということを教えてくれる。
GLAYの楽曲はいつだって、最後の着地点に温かさや優しさや救いのようなものをそっと置いてくれている。深い川の中に見つけた清流の存在は、深い川に足を取られた人のみが知りうるものであるという肯定感を感じる。

GLAYというバンドも、ある意味では深い深い川のようなものなのかもしれない。


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