昼に太陽を浴び、夜にぼーっと黄色い光を放つアルバムジャケット

HEAVY GAUGE

正直、初めて耳にしたときは、ちょっと怖かった。なんか鬼気迫るよう音と緊迫したTERUの歌声、そして歌詞に刻まれたネガティブを想像する言葉の数々。当時学生だった自分には、この怖さを象徴するような要素の掛け合わせが示すものの正体がわからず、ただただ最初はえも言えぬ怖さを感じていた。
それもそのはず、このアルバムがリリースされるわずか3ヶ月ほど前に、人生で初めてライブに参加し、それがかの有名な「20万人ライブ」というやつで、その楽しかったキラキラしたひと夏の思い出をまだまだ引きずっているときにリリースされたもんだから、GLAYは一体どうしたんだ?とその落差・・・というかギャップに対する戸惑いのようなものもあったのだと思う。
さて、「ヘビーゲージ」という単語自体は、「ビリビリクラッシュメン」という「HEAVY GAUGE」とは対極にあるポップなロックナンバーの歌詞の中に登場する。こんなふうに曲との繋がりが思わぬところにあって、それに気づけると嬉しい小ネタが結構GLAY楽曲には多い。

怖さがなんだったのかと紐解いていくと、イントロのベースの重みが一つ挙げられる。ベースの音そのものが恐怖をもたらすものではまったくなく、「SHUTTER SPEEDSのテーマ」なんかは、こんなにもベースが大衆性を持った音を出すことができるんだという事実を教えてくれた楽曲だったりするほど。ただ、「HEAVY GAUGE」のイントロは、そこに不穏な空気が流れているように感じさせるベース。これは感覚の問題もあるとは思うが、その音からポップさやポジティブさは感じられない。ベースが持つ特色をフルで楽曲の中で活かしているように思う。

そして、間奏。間奏で拍子が3拍子に変わるのだが、そこの変拍子もまた、緊迫感があるような印象をもたらす。4拍子から3拍子に変わると、少し急かされているような感覚になる。それが、楽曲がそこまで引っ張って来た怖さに対し、またさらにネガティブ要素を加えていくようなイメージを持つ。どっしりとしたリズム隊の上で、ツインギターそれぞれが差し迫るようなフレーズで縦横無尽に走り回る。それが更なるヒリヒリ感をもたらす。
極め付けが大サビに入る前の一瞬のギターリフ。数あるものが複雑に絡み合い、それを解くことはいかにも難しく、もうその状態をわかってほしいんだよと訴えかけてくるようなフレーズ(にも満たないかも)。ここで、一瞬別の世界に戻されていく。

リリース当時は怖かったし、その理由もよく理解できていなかったけれど、この楽曲をある程度大人になった時、初めてこの楽曲を聴いていたら、楽曲を初めて聴いた時の印象はまるで違うものになっていただろう。
まさに、音楽は映像だ。

#GLAY #HEAVYGAUGE #イントロのベース #光るアルバムジャケット

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