いい記事の量産に必要な、執筆ノウハウより大事なこと
僕は普段、新R25というメディアで編集として記事をつくりながらも、編集部のマネジメントを担当しています。
「マネジメント」というと偉そうな印象もありますが、どうすればみんなに気持ち良くいい記事をたくさんつくってもらえるか考えて、施策を実行しているだけです。まだペーペーなので先輩にご指導いただいたり、本からエッセンスを学んだりと試行錯誤をしながらなんとかやってます。
ここ半年ぐらい、いろんな施策をやってきて、世の中にあふれている執筆ノウハウよりも、もっと大事なことがあるんじゃないかと思うようになりました。その気づきに加えて、どうすればいいコンテンツを増やせるのか、という考え方をまとめてみます。
主にマネジメントする側の視点ですが、個人のブロガーさんからしても“株式会社じぶん”のひとりの組織として捉えると、使えるところも多いんじゃないかなと思ってます。
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ZOZOの田端さんもオススメされている『ハイアウトプットマネジメント』によると、メンバーの生産性(より多く、良質なものを生む)を高めるためにマネージャーがするべきことは2つだといいます。それは、
・メンバーのスキルを向上させる
・モチベーションを上げる
この2つ。
逆にいうと、メンバーが仕事できていないときの理由も2つで、与えられた仕事を遂行する能力がないか、意欲がないということになります。
この部分については、あまり違和感もないんじゃないかと思います。
ただ、ここには優先度があって、編集部ないしコンテンツをつくっている組織のマネージャーが特に注力すべきは、後者の「モチベーションを上げる」ことなのではと考えています。
なぜならネットにも本屋にもスキルを向上させるためのノウハウはあふれているし、共有されてもけっこう忘れちゃうんですよね。それに細かい部分は個別のコンテンツごとにフィードバックしないと意味がありません。
だから最低限のノウハウさえ共有できたら、あとは最後まで自分で考え抜いて執着してもらうことがけっこう重要なんじゃないかと。あんまり体育会系っぽいことは言いたくないんですけどね。
これについては最近取材させていただいた方の言葉に影響を受けているところも大きいかもしれません。
プロゲーマーの梅原大吾さんからは「人からある程度のところまで教わったら、あとは自分で試行錯誤しなければならない」と伺い
https://r25.jp/article/589371754207187120
『電車男』『君の名は。』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』などヒットを連発されている映画プロデューサーの川村元気さんは「とにかく優柔不断。ギリギリまで決めないで、疑って疑って、最後までベストな形を求めて変え続けます」とおっしゃってました。
https://r25.jp/article/581081553293259027
なるほど。じゃあその執着を生み出すモチベーションをつくればいいんだな…でもどうやって???
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メンバーのモチベーションをつくるためには、あらかじめ定義した方向に沿って定性と定量の評価をすることが大事なんじゃないかなーと思ってます。こう書くとかなり当たり前なんですけど、ちゃんとやろうとするとけっこう難しいんですよね。
これを4つのステップに分けてみました。
Step1 ビジョンに沿って適切なKGI/KPIの設計をする
Step2 主要KPIを浸透させる
Step3 定量評価で事業への貢献度を評価
Step4 定量評価で抜け落ちてしまう部分を定性評価
まあ、これは便宜的なものなので、「絶対に3の次に4がこないといけない」ようなものではありません。でもSTEP1はやっておかないと、そのあとはあまり効果はないと思います。
じゃあ順番に解説していきますね。
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Step1 ビジョンに沿って適切な KGI/KPIの設計をする
いきなりなんですが、実はここが最重要で大変なところなんですよね。笑
KGIは Key Goal Indicator の略で、つまり「事業としてなにをゴールにしますか」ということ。一方のKPIは Key Performance Indicator の略で、KGIの達成に近づけているかを測るための指標です。
たとえば「事業のゴールが年間売り上げ1億円(KGI)」など別の職種のを含めて全体の目標が設定され、その下に「編集部の目標は月間2億PV(KPI)」、さらに個人の目標へと落とし込まれます。
とてもざっくりですが、だいたいこんなイメージです。
こんな感じで樹形図にして、なにを重要な指標にするかを決めないといけません。編集部に限定していえば「どんなコンテンツをよしとするか」を決めるということです。
たとえばメディア全体の月間PV数をKPIとするならば、それはつまり「ページを分割して次のページも読みたくなるようなコンテンツがいい」とか「とにかくクリックしてもらうために扇情的なタイトルがつけられるコンテンツがいい」みたいな感じです。
どんなコンテンツをよしとするか定義して、それが測れる指標をKPIとして設定しましょう。
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Step2 主要KPIを浸透させる
全部のKPIをメンバーが気にしてくれる組織は素晴らしいんですが、なかなかそうもいかないのが実情だと思います。なので、該当のメンバーにとって重要なKPIを絞って浸透させましょう。
ここで大事なのは、とにかくKPIがシンプルでわかりやすいこと。いいとこどりしようとして複雑になっているとなかなか浸透しづらいですし、実行が中途半端になってしまうんですよね。
複数のKPIを追ってもらう場合でも、どれが上位でどれが下位なのかなど構造がセットになってるだけでも全然ちがうはずです。STEP1の段階で欲張ってしまいがちなので気をつけましょう。
シンプルなKPIが設計できたら、手を替え品を替え、進捗を繰り返し伝えるといいと思います。毎日1回は数字に目が触れるぐらいがいいんじゃないでしょうか。
「昨日の記事がヒットして、10日時点で月間目標の達成率が60%です!いい調子!」といった感じです。
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Step3 定量評価で事業への貢献度を評価
まあこれはわかりやすいですよね。あらかじめ決めてあるKGI/KPIに沿って、メンバーがきちんと達成できているかを見ましょう。
はじめのうちは、どうやったらKPIが達成できるのか細かく伝えてあげて、慣れてきたら結果だけ見て、次にどうするかを確認するくらいラフにすればいと思います。
どうしても全部のことに口出ししたくなってしまうかもしれませんが、マネージャーが細かくチェックし続けてしまうと、メンバーは「最終責任を取らなくていいんだ」と思ってしまうので注意。思い切って任せましょう。
このSTEPで、事業的にいいコンテンツをつくってもらえるように方向を修正します。
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Step4 定量評価で抜け落ちてしまう部分を定性評価
とはいえ定量評価では抜け落ちてしまう貢献ってけっこうありますよね。「あの取材で急な依頼だったのに対応してくれた」とか「PVはあんまり出なかったけど必要なチャレンジだった」みたいな。
これはマネージャーから伝えるのももちろん大事ですが、メンバー同士でやってもらえるようにすると、とてもいいですね。形だけでも上下の関係があると「そういう仕事だからな」と悲しい反応もなくはないですし。
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これらSTEP1〜4が実行されて、きちんと評価される環境になっていれば、メンバーも気持ちよく動けるはずです。ただ、ざっくり書きすぎて「結局なにすればいいんだよ」という人もいるかもしれませんね。すみません。
そこで、新R25でもいろいろやってきて、STEP2〜4をまとめたひとつの施策がけっこううまくいってるので、最後にご紹介しますね。
それがこの「ぐるぐるシート」です。
左側にはKGI/主要KPIの進捗が記載されていて、右には「マイグッドポイント/あの人のナイスプレー」「雑談欄」があります。
使い方はカンタン。数字の振り返りをしたあとに、プリントしたものの右側の欄に各自が記入して、「ぐるぐるシート」という名前の通り、隣の人にまわします。まわってきたシートにコメントを書いたら、また隣の人へ。こんな風にしてお互いの頑張りを褒め合います。
新R25ではこれを使って、毎週末に振り返りをしています。
自分でいうのもなんですが、このシートのいいところは、
・職種横断で事業の全体進捗が把握できる
・自分の頑張りどころをアピールできて、ほめてもらえる
・離れたところからは見えないメンバーの貢献が見える
みたいなところかな、と。けっこうほめてもらえるので、頑張ってよかったなと思える瞬間がたくさんありました。
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というわけで、長々と書いてきましたが、今回の記事の趣旨をまとめると、
・編集部のマネジメントをする立場の人は、執筆ノウハウの共有よりもモチベーションの向上に注力すべきじゃないか
・そのためにあらかじめ定義した方向に沿って、定性と定量の評価をすることが大事
・新R25では「ぐるぐるシート」がうまくいってるよ
こんな感じですね。全部がすぐにできなくても、STEP1だけとか、STEP4だけ、とか部分的に改善していくのもいいと思います。
「うちの編集部ではこんなことやってるよー」みたいなオススメの施策があったら、ぜひ教えてください!
みんなで気持ちよくコンテンツがつくれるといいですね!
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