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全力に全力を

サンくんのパフォーマンスを見ていると、「生きて、お願い」と口走っていることがよくある。これはサンくんのパフォーマンスが頼りないからとか、辛そうだからとかそういう類の心配からくるものではない。手を伸ばしたら火傷をしそうなくらいに、そこで命を燃やしているのがわかるからだ。その3分、4分、もしも怪我したら、とかここでこう足を使えば少しだけ楽になる、とかいう考えはきっと彼の頭には無い。ただ全力に、ステージを届けるファンに少しでも全力を見せたいという思いで生きているのがサンくんだ。

その余りにも強い生の力と裏腹に、彼から受ける印象は「生きようとしていない」が強い。
どう見ても絶対に辛い、と思うほど声を張り上げ、首を振り回し、地面を殴り、蹴り上げる。コンサートで見た彼はステージから落ちるのではないかと思うくらいに勢いよく飛び跳ね、喉が心配になるくらい叫んでいた。よく彼らがステージへの意気込みとして話す「明日がないかのように、今日が最後かのように」という言葉があるが、本当にその場で人生を終えるかのような力の使い方をしているのがステージから離れた席までも伝わってきて、思わず「サンくんお願いだから死なないで...」と口走っていた。

そんな彼のパフォーマンスに私がどうしても惹かれるのは、自分が「死にそう」だと思うほど必死に生きたことがないからなのかもしれない。命をギリギリまで燃やしながら命を表現するサンくんがきっと眩しくて仕方ないんだと思う。
体力的に限界がきていて、それを自覚しながらもなお「僕たちを見に来てくれているファンの皆さんが前にいるのに力を抜いてパフォーマンスできません。どんなに辛くてもこれからもてきとうにステージをするつもりは無いです。」と、太腿を強く叩いて自分を奮い立たせる姿が瞼の裏に焼き付いて離れない。

いつかのブイラで、自分のパフォーマンスに納得がいかなかった日、家に帰って深く自分を振り返りながら考えるとサンくんが言っていた。具体的にどこをどう直すべきなのか。何がいけなかったのか。どうしたらもっと良いステージができるのか。そうして今のサンくんの映画のようなパフォーマンスが作り上げられてきた。
二日三日とスケジュールが詰まっていて一日2時間も寝られていないんじゃないか、という日のステージで、足がもつれそうになりながらもいつも以上に激しく踊るサンくんのチッケムに心配の声が上がった日、ファンが心配していることを知っていたのだろう、プメに来たサンくんは「大丈夫です!!元気です」と前置いた後、「僕がもっと体力があれば、もっと耐えられれば、もっと良いステージをお見せできたのに、と怒りも湧くし、悔しい。ティニの皆さんがどれだけ応援してくれていて、苦労しているかわかってるからもっといいものを見せてあげたい。」 と話した。
いつも「!!!」や「❤️」が多く、文字がぴょこぴょこと飛びそうなくらいにハイテンションなサンくんのプメには珍しいロートーンの言葉に、心からの悔しさと強い決意が滲んでいて、胸の奥がぎゅっと苦しくなった。

ゲリラ活動が無事終了した日、プメにきたサンくんの口調は思っていたような軽快で達成感に溢れるものではなく、自分のステージの冷静な振り返りと、新たな決意表明の言葉だった。活動が終わった、良い成績を出せた、それが真っ先にきそうなものなのに、サンくんにとって重要なのはそれよりも「自分に納得のいくパフォーマンスをできたかどうか」なのだ。ステージに上がるのは彼自身だから、きっとその姿をモニタリングする時に完全に客観的に見るのは難しいはずだ。「ここは表情が良く見えるようにしたかった」とか「帽子が脱げそうだった」とか、言い訳(というのも変だが)しながら見ることの方が簡単なのに、サンくんはどこまでも客観的にモニタリングして「これは僕が描いていた最善のステージなのか?」「いっそ帽子が脱げてでも激しくすればよかった」「昨日の僕は少し卑怯だった。」と言うのだ。きっとこの日も帰ってからステージを見返して、1人長いこと考え込んだのかもしれない。

『僕たちの首が裂けても、足が折れても 腕が折れても、一生皆さんの前で舞台をするつもりです』

ソウルコンの最終日のメントでのサンくんの言葉だ。そんな満身創痍になってまでパフォーマンスしてくれるな、と思わずこちら側が止めたくなるほどの重たい言葉だが、この一言に彼の全ての想いが詰まっているのだなと最近のステージを見ていて改めて思う。きっと彼は本当に何かがあっても全力をステージにぶつけてくるだろうし、「何か」が起こらないように見えないところで努力を続けているだろう。
そんなサンくんの文字通りの必死で全力なステージに対して、私もいつも全力でありたい。サンくんが骨身を削って作り上げる4分間ないし3分間の時間をコンマ1秒も逃したくない。きっとしんどかったんだろう、という日のパフォーマンスも、それでも全力をぶつけてくるサンくんを全力で受け止めて、心配もさせてほしい、辛いけど。そしてサンくんの全力に対して、感謝の言葉を心配の言葉より先に、大きく伝えたい。

そんなことを思いながら、サンくんの首や足や腕や腰の健康を毎日祈る、いちファンの独り言。ゲリラ活動お疲れ様でした。もう一度ワールドツアー、力強く駆け抜けてください!!

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