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オンライン研究集会The World of Mathematical Physicsに参加してVol. 1

こんにちは、Enterprise(エンプラCS)チームインターン生の金岡です!
インターン生としてPOLで働きながら、普段は大学で物理系の研究をしています。

今回の記事では11月6日から3日間にわたってオンラインで開催された東京大学カブリIPMU主催のThe World of Mathematical Physicsに参加した様子をお伝えします。

The World of Mathematical Physicsについて

このイベントは数物系の大学生以上を対象とした研究集会です。講演者の先生方からはご自身の研究やその研究にまつわるお話、さらに数物系における男女共同参画の現状とこれからについての講演をお聞きすることができました。

さらに、数物系の女性研究者や女子学生の交流の場が設けられていました。普段少数派であることから女性同士の縦と横のつながりが作りにくいですが、一参加者として大いに楽しみました。交流会では、普段少数派であるからこそ感じる研究室での居づらさや男子のコミュニティに中々入れない苦労などを互いに打ち明けることができました。やはり理系だから男子しかいない状況に慣れているとは思っていたものの、いざ自分が本当に一人ぼっちになると中々辛いのかもしれないと改めて再確認しました。

ここからは実際イベント1日目に参加してお聞きした著名な女性研究者の先生方がどのようにしてその時代で研究者としてキャリアを築かれたのか、そしてこれから研究者を目指す女子学生へのメッセージをお伝えします。

〜続けられるのは好奇心があるから〜石井志保子先生の講演

最初に講演をお聴きしたのは石井志保子先生です。(東京大学名誉教授/清華大学兼職教授、専門は代数幾何学、1995年猿橋賞・2011年日本数学会代数学賞受賞)

石井先生は多様体の特異点(特異点は曲線がパラメーターの滑らかな埋め込みによって与えられていない点である)を長年研究されていらっしゃいます。講演では特異点とは何かをわかりやすく説明していただき、さらに数学界における女性の存在が未だ特異点的な状況にあることもお聞きしました。

中でも印象に残ったのは、ポスドク時代のポジション応募の話です。

当時先生はお子さんがいらっしゃり、周囲からは研究者になることは否定的な意見が多く理解されないこともあったようです。ポジション応募は20箇所以上全て不採用。それでも続けられてのはやはり好奇心。そして研究をしていて何かがわかった時の喜びが大きいからとおっしゃっていました。研究者になるには好奇心を常に持ち続けていないといけない。

このメッセージは胸に刺さりました。好きなことをする以上に大きな原動力はないし、何か一つ物事に対して真摯に向き合い求め続ける研究者の姿勢は純粋に格好いいと感じました。

〜好きならば諦めず続けて自分の個性を作る〜寺川寿子先生の講演

次にお話をお聞きしたのは寺川寿子先生です。(名古屋大学大学院環境学研究科附属地震火山研究センター准教授、専門は地震学、2018年猿橋賞受賞)

寺川先生は地殻の絶対応力場を中心に地震の原因を探ることをテーマにしていらっしゃいます。先生は早稲田大学大学院理工学研究科修士課程数学専攻を卒業後、(株)富士総合研究所(現在のみずほ総合研究所)に研究員として入社。その後東京大学大学院理学系研究科修士課程地球惑星科学専攻に入学し直し、博士課程まで終了されたという素敵な経歴の持ち主です。先生には絶対応力とは何かからどのように地震の原因と繋がるのか説明していただきました。

講演後の交流会などで、先生のオフィスと私の研究室が近くにあることが判明し意気投合。その後自分が最近悩みを抱えることの一つである、女性一人で研究室でうまくやっていくにはどうしたら良いか相談すると本当に身に染みた言葉を下さりました。

1.まず女性ならではの視点・メリットがあるはず
女性で損したなと思うことも正直あった。しかし、経験上女性の方が厳しく物事を判断し、周りに流されず正しいことをすることが多いように思う。時に反対されることもあるが自分が大事だと思うことは守っていく。

2.良い研究をしていれば自分自身に一目置いてくれる
良い研究をして初めて、そこで自分の個性が言えるようになる。
残念ながら女性は男社会のつながりで評価されることが難しい。ならば、実力をつけて評価されるしかなく自分ってものを作っていくのが大事。

3.キャリアパスについての選択肢は多様
今は情報がありふれてるし選択肢が多い。今の時代は企業でも研究しながら何かを学ぶことはできる。好きなら諦めずやり続ければいい。


これからの日本の研究のために


上記のメッセージはこれから研究者を目指す女子学生へのエールであり、研究だけでなく企業で働く上でも通用することだなと実感しました。

一方で、未だ男社会の色が強い日本。大学研究室内でのハラスメントなどは顕在化しにくいのが現状で、自身の研究環境に悩む女子学生や研究者は多いです。女性も男性も、人として同じように努力や実績が評価される、全ての人が気持ちよく研究できる環境がある、そのような社会へ大学も企業も産学協同で変わっていくことを願います。

また、企業も博士号取得者を積極的に採用し高い専門性を持った人材を確保できるような体制を整える。そうすれば、博士課程へ進学する学生も増え日本の科学がもう一度息を吹き返すことができるのではないでしょうか。

POLのミッションにもありますが、研究者の可能性を最大化するプラットフォームを創造する。女性も男性も関係なく全ての研究者が自分の可能性を広げ最大化できるような価値提供ができるようアプローチしていきます。

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最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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