あいうえ

それでも、人間の可能性を信じる。 @derami_no

こんばんは。
ラブソル アライアンスメンバーのでらみです。

今、ラブソル代表の実加さん、由香さんとラブソル旅部のゆきえさんとともにカンボジアに来ています。

仕事をして、たくさんご飯を食べて、心動くものに触れて・・・目まぐるしい時間を過ごしています。

▼ついさっき見てきたアンコール・ワット。ツイートする余裕がないくらい、規模が、歴史が、美しさが、緻密さが圧倒的だった・・・。


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私は今回初めてカンボジアの地に来ています。
訪れるまでのイメージといえば、

・暑い
・アンコールワット
・みかんぬ(女の子の友人)が以前、一人で屋台をやっていた場所
・最近経済発展が著しいらしい

というひどくざっくりしたもの。
そしてこれに加えて、

・ポルポト

このワードが強烈に私の中にこびりついていました。
それはきっと、これまでその言葉を大学の教授や歴史に詳しい友人の口から聞くたびに、心がぐにゃりとねじ曲がるような事実も一緒に知ることになったからだと思います。


ポルポトとは?

ポル・ポト(1928年5月19日 - 1998年4月15日)は、カンボジアの政治家で、
民主カンプチア首相、カンボジア共産党中央委員会書記長を務め、クメール・ルージュの精神的指導者です。

▼出典

このポルポトが政権を握っていた時代に、たくさんの人がありもしない罪を問われ、拷問を受け、そして死んでいきました。

一昨日はその舞台となった二つの場所に足を運びました。
トゥールスレン虐殺博物館(S21)、そしてキリングフィールド。

ご存知の方も多いのではないでしょうか。
映画や小説など、たくさんの作品の題材や舞台になっている場所です。

1976年から1978年の2年9か月の間に14,000~20,000もの人がS21(現在のトゥールスレン虐殺博物館)に収容(一部の人は殺害)、そこから南西15kmの場所にあるキリングフィールドで殺害、埋め立てられたとされています。


あまりにもむごい事実を知り、その現場の空気を感じ、たくさんの人の気持ちに心を寄せると、どうしたらいいかわからない、なんと言っていいかわからない感覚に襲われ、移動中の車内で涙を流さずにはいられませんでした。


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このようないわゆる「負の遺産」に訪れるたびに思うことがあります。それは「ひとはなぜ、かくも高い知性をもち、かくも豊かな感情を備えながら、かくも残酷で愚かな悪をなしてしまうのか。」ということ。

これは哲学者の東浩紀さんが編集長をつとめる冊子『ゲンロン10』にて簡潔に言語化してくれたものですが、私も昔からこのような問いを抱いていました。

ポルポトは悪いヤツだ。
市民は可哀相だった。

という二項対立という構図。数あるエンターテイメント作品の中でもよくあるし、ともすれば私たちが好んで受け入れる構図でもあります。私も勧善懲悪ものの作品は好きです。

でもその一方で、この構図で語っている限りは私たちはこの問題の苦しみから、永遠に逃れることはできないとも思うのです。

負の遺産に限らず、これは日常の生活にも潜んでいることだと思っていて。

「どうして〇〇さんはこんなにもダメなんだろう。
こんなにダメだし、あれもまともにできない。」

こんな会話は自分の身の回りでもよく聞くものですし、私も心の中にこの黒い思い抱えたりもします。でも、強く自分に言い聞かせているのはここで終わってしまっては、もうその先の進展はない、ということ。

どうして彼や彼女が、悪(それも、私にとっての悪にすぎない)をなしたのか考える。

もしかしたら体調が悪かったのかもしれない。
その人なりの正義があるのかもしれない。
何か辛いことがあって、心が穏やかでないのかもしれない。

その人を、その人の可能性を信じたい。

これは私が立派な人間だからではありません。むしろとても弱く卑劣な部分を抱えた人間だからで、でもそれにも関わらず誰かに信じてもらって今なんとか生きているから、そう思うのです。


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凄惨な歴史を抱えながらそれでも、あたたかな微笑みを絶やさず生きるカンボジアの人々に触れたら、こんなことを考えていました。

まとまりきっていない考えや思いもあり、上手く文章にしきれていないけれど、きっとこの機会を逃したら永遠に書き記してなんて置かないだろうから、焦るように言葉にしています。

ああ、初めての出会いだらけで心が忙しい。この旅のきっかけをくださった、実加さん、由香さん、ゆきえさんに心から感謝してカンボジアの最後の夜を楽しんできます。


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LA BOUSSOLE

デザイナー/クリエイティブディレクター

でらみ  Twitter

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