見出し画像

インフォグラフィック・エディター櫻田潤は、こうして「スケッチノート」にたどり着いた #羅針盤のつくりかた


櫻田潤の「ビジュアルシンキングラボ」。


ラブソルの代表2人が立ち上げより運営を務めるオンラインサロンです。

画像1

主宰の櫻田潤さんは、ビジネスパーソンの支持を集めるソーシャル経済メディア NewsPicksで働くインフォグラフィック・エディター

それまでこの世になかった彼だけの仕事を生み出し、さらに今年の8月には、新たにチーフ・ソーシャル・エディターにも就任されました。

その手から生まれる作品を見れば、長くデザインを生業としてきたようにも見える櫻田さん。しかし、彼の経歴はプログラマー・システムエンジニアと、デザインとは少し違う領域から始まりました。

あくまで趣味として続けていたアート活動。仕事と趣味を完全に分離しながら20代を過ごしていた彼は、ある日、そのちょうど真ん中に新しい仕事を生み出します。

「好きなことを仕事にしたい」そう望む方が多い時代の中で、櫻田さんが見つけた「自分だけの仕事のつくりかた」。 


クリエイターとして唯一無二であり続ける、その理由を追います。


#羅針盤のつくりかた ー このシリーズは、LA BOUSSOLEと共にお仕事をしてくださるクライアントさんやクリエイターのご紹介を、記事にしてお届けしています。

< profile >

櫻田潤(さくらだ・じゅん)

インフォグラフィック・エディター / チーフ・ソーシャル・エディター。NewsPicksで働く会社員でありながら、個人でも活動をしている。オンラインサロン 櫻田潤の「ビジュアルシンキングラボ」主宰。


「こんばんは…」
インタビューのためラブソルのオフィスに来てくださった櫻田さん。いつも通り優しく小さな声で、丁寧に挨拶をしてくれます。

画像2


ある日突然、弊社代表 柴山の元に舞い込んだオンラインサロン立ち上げ協力の依頼。「運営などの類が苦手な方」という情報だけで、櫻田潤の「ビジュアルシンキングラボ」のお手伝いは始まりました。

自分の内面と向き合う「内省型」のサロンとして、毎月の定例会はワークショップ形式で行われるのがラボの特徴。


今回の #羅針盤のつくりかた では、オンラインサロンの運営からグッズ制作も一緒に行っている櫻田潤さんに、インタビューをしていきます。



「僕はデザイナーじゃない」 櫻田潤がこだわる理由



ーー櫻田さん、なかなかの人見知りと聞いているんですが、そもそもなぜオンラインサロンを始めたんですか?


櫻田:2015年に図解の本*を出した時に、本のプロモーションで出版社さんとワークショップ型のイベントをやっていたんですけど、その時に学びって継続でないと意味がないなって思ったんですよね。

1回だけレクチャーしてさよならって、来てくれた人が成長したのかもわからないし、責任が持てないなって思って。

*『図で考える。シンプルになる。』


継続的にやりたいと思った時に、世の中の動き的にオンラインサロンが出てきたのでこれかな? と始めてみました。運営とかは苦手なので、同僚に柴山さんを紹介してもらって…。


ーーお互いに存在は知ってはいたけど、初めて会ったのは第1回の定例会だったというのは…?


櫻田:そうなんです。メッセンジャーで「はじめまして」って挨拶したくらいですね。会場とかどう進めていいかわからなかったので、全部お任せして。苦手なことは自分ではやらないでできる方にお任せしよう、と思っているので。

画像3

名古屋での講演会での一コマ。左が柴山。

ーーそれもすごい話ですよね(笑)。でも確かに、1回のイベントで学びを得た参加者がその後ずっと継続するかというと、難しいですよね。


櫻田:僕としても名前も覚えられないし、やっぱり何回か接点があることで「この人成長したな」と共感するじゃないですか。実際にはオンラインサロンを始めたことでメンバーから僕が影響を受けることも多くて、始めてよかったなと思ってます。


ーーインフォグラフィック・エディターでありながら、チーフ・ソーシャル・エディターとしてTwitterやYouTubeにも携わっていて、オンラインサロンもやって…。お忙しい中で膨大な量のアウトプットを出し続けているイメージがあるのですが、そもそも櫻田さんはどんな風に情報をインプットされているんですか?


櫻田:一年前は、毎日海外のニュースサイトをひたすら見ていたんですけど、今年はそれを止めて、一週間に一回くらいまとめてチェックするぐらいにしています。その代わりに、なるべく本を読むようにしていますね。


ーー ニュースは一週間に一度!


櫻田:なんか毎日見なくてもいんじゃないかなと思って。本来まとめて見ることで意味が出てくる物であって、一回一回チェックしてもあんま意味ないなっていう気がしたんですよね。意外と何にも困らないですよ。


ーーインフォグラフィック自体が情報を一貫して見られるための手段ですもんね。流れで見ないと作れないというか。


櫻田:今は何でも断片化が激しいんですよね。情報もそうだし、それこそさっきのイベントのようにコミュニケーションもそうだろうし、なんだかそれが気に食わなくて。

インフォグラフィックは、断片的な情報をパッケージングすることに優れているので、ある程度の理解度を提供してくれる。それが僕がやりたいことなんですよね。今は流通させる場所によって表現の形を変えたり、試行錯誤しています。


ーーその表現の形に縛りがないのが、櫻田さんらしいんですよね。


櫻田:たまに“デザイナー”だと間違えられることがあるんですけど、僕はデザインに関してはアマチュアなんです。字詰めのバランスとか細かいところは見ないし、デザインやってる人と会うとやっぱ甘いなって思う。

どちらかと言うと情報の構造に興味があって、情報をカジュアルでポップなものにしたいという気持ちのほうが強くて。

動画だろうが彫刻だろうが、伝わるなら手段は何でもいいんです。

画像4



ーービジュアルとかデザインを扱う人はデザイナーだと思いがちでしたけど、「情報を整理して構築して伝える」は確かに“エディター”ですね。


情報を表現しているわけだから、広義な意味ではデザインをしているとは思うんですけど…。社会への向き方が違うんだなって思っていて。

デザイナーは他の人と協力して「自然とある」ものを生み出す人という感覚なんです。僕が作るものは「俺が! 俺が!」ってしている気がして、だから自分はデザイナーではないっていう持論なんです。


画像5

櫻田さんのサイト『ビジュアルシンキング』で見られる過去の作品も、印刷した紙のコラージュや画材に修正液を使用したりとツールに縛られていない。



オンラインサロンから受けた、思いも寄らぬ影響


画像6


ーーそう思うと、櫻田さんはアーティスト寄りなんでしょうねえ。


櫻田:そうなのかな。自分の作品の作り方とか、自分でも言語化できていないことが多くて。だから僕、人に教えることができないんですよ。自分だったらこうする、は言えるんですけど、なんか社会にとってこっちがいいっていうのは言えないんです。一般的にいいか悪いかの判断がつかない。


ーーそうなんですか!? ラボで見ている限りは、すごく楽しそうに見えるんですけど…。


櫻田:ラボは教えるという感じじゃないからですからね。トークショーじゃなくて一人ひとりが考えるワークショップが多いから、How toを求めて入ってきた人には多分ミスマッチだと思う。すぐ使える、みたいなのは意外とない。

画像7



ーー確かに、ノウハウ的なお話はあまりないですね。


櫻田:それこそ出版イベントの時は1回きりだし、ビジネス書として出したので、ノウハウもの方が満足度高いと思ってそういうワークショップもしてたんです。

このくらいの文字の大きさでセンターに合わせて色はこうして、みたいなのってすごく喜ばれて楽なんですよね。でも、それって絶対身についていない。模倣して外見だけ真似してる感じになるのが嫌で、中身=マインドから向き合いたいと思ったんです。

マインドとしてやることの何が違うかって、長い付き合いじゃないと出来ない。最初は1時間で学べるノウハウとかが欲しいのは、当然だと思うんですね。ただ、今の僕はHow toはやりたくない。だからビジュアル “シンキング”なんです。



櫻田潤が見るこれからの夢



ーーなるほど...。後任を育てたいとか、そういうわけではないんですね。そうすると、櫻田さんはサロンメンバーにどうなって欲しいと思ってサロンをやっているんですか?


櫻田:それはあって……「成長して欲しい…(小声)」

画像8

ーーめっちゃ声小さい…!(笑)


櫻田:おこがましいな(笑)、「活躍して欲しい」かも。別に個人で名前を売らなくてもいいし、なんでもいいんですけど生き生きと活躍をして欲しいんですよね。頭で考えて、手を動かして。


ーー考える力を持って、彼ら彼女らがいる場所で生き生きして欲しいと?


櫻田:それぞれが好きなことをやるために使ってもらえればOKだと思っているんです。僕、一神教みたいにみんなが同じところを目指すのって嫌いなんですね。

それこそ、オンラインサロンをやってよかったと思うのは、自分ではやらないだろうなということがどんどん生まれてくること。グラレコ(グラフィックレコーディング)部とかはまさにそうですね。

自分発ではないプロジェクトが出てきて、コミュニティってすごいんだなって驚きました。影響受けて、僕もやってみたし。あまり向いていなかったから、続けはしなかったけど…(笑)。


ーー櫻田さんはサロン内で生まれたものを紹介してくれて、プッシュしてくれますもんね。どんどん進めて! って。


櫻田:自分にできないことが僕のテリトリーから生まれることは、奇跡だと思う。そういうのが、子育てとか会社の同僚とのコミュニケーションにも影響をおよぼすようになってきたというか。

期待していいわけですよね、何かが生まれるって。昔よりも、社会に対して期待できるようになった。それこそ、その影響があって今回のスケッチノートにたどり着いたと言っても過言ではないですからね。


ーー10月のオフ会でも話していらっしゃいましたね。


櫻田:この本を作るのに、当初の予定よりすごく時間がかかったんです。何かがしっくりこなくて。でもメンバーからの影響をたくさん受けて、このスケッチノートにたどり着きました。

僕ね、誰もが自分なりの方法で人に伝える手段は持てると思うんです。 それができれば、好きなことで生きていくことができる。仲間ができるから。 仲間ができれば、そこから刺激を受けて世界を広げられるじゃないですか。

そのために必要なことは、自分の頭で考えて言葉を持ち、それを表現することです。 

画像9

ラボ合宿、Tシャツは櫻田さんのオリジナルグッズ



ーー「好きなことで生きていく」、今多くの方が目指すことですよね。今からもたくさんの新しいことが櫻田ラボから生まれていくのかなと思うと、楽しみです!


櫻田:大人がチャレンジしにくい世界は、おかしいですからね。新しいこと始めてもいいし!

ーーたしかに、そうですよね!ちなみに、好きなことで生きていくってそんなに簡単なことじゃないとわかっている上で質問するんですけど...。櫻田さんみたいに自分だけの仕事をつくるためには、やっぱりコツコツやっていくしかないですよね?


櫻田:あっ!あるんですよ、大事なポイントが。


ーーえ!? それここで書いてもいいですか?

櫻田:いいです、いいです。もう何が大事かがわかって。よく、人に嘘ついちゃいけないとか言うじゃないですか。それよりね、自分に嘘をつかなくなると、最強ですよ。

ーー出た! 自分に正直に生きるっていうやつ!

櫻田:NewsPicksに入ってから特に思うんです。創業者の梅田さんや佐々木さんを近くで見ていると、話す言葉の力がすごいんですよ。なぜかって、真っ正直なんですよね。「あ、この人本当にそう思っているんだな」ってその言葉に納得してしまう。

そういう人たちを見ていると、自分に正直であれば伝わるし、「この人嘘ついてないな」って思ってもらえれば、実現していく環境におのずとなっていくんだなと。

元々は、戦略とか策を練っちゃう性格だったんですけどね。NewsPicksに入ってそういうことが一切なくなりました。自分にすごく正直になって、純度が上がってると思います。これは、もっと高めたいですね。


ーー自分の欲望の純度ですか…。そうすると、ある意味ビジネス書を読んで誰かの体験を取り込むって、不純物を入れることになりませんか?

あ! でも一個条件はあるなと思っていて、社会のニーズと合ってるかは大事ですよ!

僕の場合は基本的に情報社会は加速しかしないので、そこを料理すること自体のニーズはしばらくなくならないという計算が、確かにあります。


ーー自分に正直でありながらも冷静に考えるというのは、もちろんそうですよね。

櫻田:僕、コアコンピタンスという考え方を重視しているんです。企業のコアとなる強みを考えるとき、「顧客に便益があること」「発展性」「独自性」、この3つが重なるプロダクトはなかなか他には負けないという考え方。

インフォグラフィックをやろうと思ったとき、顧客便益は加速しかしない情報社会で意味があるし、発展性という面でも会社の市場というレベルからパブリックリレーションや教育まで、基本的に横展開できるスキルなんですよ。で、まだ専門家がいなかったから独自性もある。

その辺はある程度計算してやっていて、自信の中核にあるかもしれないですね。

ーーそのロジカルがあった上で「正直にやりたいことを選ぶ」という。

学生時代は画家や小説家になりたいと思ったこともあるけど、ニーズがないんだったら趣味でいいと思っていたので。仕事と分離しておけば、絵を描きたかったらそれが売れなくても趣味として描いていればいい。

そこにニーズがあるんだったら仕事にできる。さらに顧客便益があれば、かなりいい仕事にできる。そこら辺は、もともとのロジカルな気質が活きているところですよね。


ーーコアコンピタンス...肝に銘じます...! 最後に櫻田さん自身のこれからの夢を聞いてもいいですか?


櫻田:夢は抽象的なのと具体的なのと2つあって。

1つは、ビジョンにも掲げている「ビジュアルの力で世界を丸くする」こと。大きな夢だけど世界は平和で安全な方がいいし、僕のビジュアルで少しでも力になれたら。


もう1つは、美術館に作品を展示してもらえるようになりたい。場所はそうだな…ニューヨークのMOMAにする!

画像10

ーーー

SNSを開けば、次から次へと目まぐるしく動き続ける情報。

それらには様々な感情をも付いて回り、もうどれが真実なのかわからない。少し疲れてしまっていたことに、この方に出会って気がつきました。

自分の目で見て、頭で考えて、自分で表現できるまでに整えること。

誤解のために誰かと争い合ったり、言葉の角で誰かを傷つけないためのこの力を、私は持っていたいと強く思いました。

ーーー

櫻田さんの新著が、10月29日(火)に発売になりました!
オンラインサロンを主宰したことでたどり着いた表現「スケッチノート」について書かれた本です。

「自分を見つめる、人とつながる、ノート術。」

深い内省と、そこから生まれ出てくる表現。自分で考えて、自分で表現する。その術を見つけることができる本です。


オンラインサロン『ビジュアルシンキングラボ』への入会はこちら

櫻田潤オフィシャルサイト『ビジュアルシンキング』




取材・執筆:柴山由香  ,  柴田佐世子

撮影:池田実加


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

31

LA BOUSSOLE

LA BOUSSOLE,LLC(ラブソル)の公式noteです。 ラブソルメンバーが、お仕事のこと、ラブソルの日常についてお届けします。

#羅針盤のつくりかた

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。