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転職3ヶ月で傘メーカーのCOOへ。坂口淳一が見つけた自己効力感の高め方 #羅針盤のつくりかた

日本国内でのシェアNo,1を誇る傘のブランド「Waterfront」。このロゴを見たことがある方も、多いのではないでしょうか。

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急な雨にとりあえず買ったビニール傘。雨が止めば荷物になり、どこかに忘れてしまうこともしばしば…。そんな煩わしさを解決するため、ビニール傘と同じ価格帯で発売した550円の折り畳み傘は、そのプレスリリースが大きな注目を集めました。

ラブソルのノベルティ部門で創業当時より取り扱いさせていただいているのも、製品の軽さ・持ち運びのしやすさに驚いた代表2人が「どうしても取り扱いたい!」と窓口に問合せたことがきっかけでした。

以来、細々と続いていたお取引。ある日、代表の柴山が仕事とは関係なく活動していたコミュニティで知り合った男性が、Waterfrontを有する株式会社シューズコレクションのCOOに就任したことから、少しだけ親密になっていきます。


ラブソルが普段お世話になっているクライアントさんを紹介するインタビューマガジン #羅針盤のつくりかた

今回はWEB業界の経験を持ちながら傘のメーカーに転職し、入社後たった3ヶ月でCOOとなった坂口 淳一さんをご紹介します。

人との出会いを楽しみ、SNSやnoteで積極的に発信している坂口さん。仕事とプライベートをどう充実させるかをしなやかに追求し続ける彼に、お仕事のこと、コミュニティのこと、そして彼が目指すこれからを聞きました。

坂口 淳一(さかぐち・じゅんいち) 通称:かさぐちさん
1987年生まれ
少年時代からパソコンに慣れ親しみ、blogを開設するなどインターネットサービスは身近な存在であった。現在運営しているnoteはサービス開始当初より開設し、自らの好きなものや伝えたいことを日々発信している。新卒でYahoo JAPANに入社、面白法人カヤックやグルメサービス Rettyを経て、傘ブランドのWaterfrontを有するシューズセレクションに入社。3ヶ月でCOOとなる。

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ー坂口さんとラブソルの2人が会うのは、久しぶりですか?

坂口:1年ぶりでしょうか。僕がWaterfrontのCOOになった時にTwitterで「Waterfrontの傘が好きな方とお話がしたいです」と呟いたところ、柴山さんが反応してくださったんです。WEB業界からの転職で初めて“物”を売る世界に入ったので、ファンの方はうちの商品のどこが好きなのかを、まず知りたかったんですよね。

ー元々の出会いは、オンラインサロンだったんですよね?

坂口:箕輪編集室とNewsPicksアカデミアのアンバサダーでご一緒しました ね。Waterfrontの傘をずっとお取り扱いいただいていると聞いて、びっくりしました。うちの会社でも名入れの受注は受けているのですが、小ロットとなると対応できない場合もあるので、そういう特注品などもお願いできますか? と相談させてもらって、今に至ります。

ーラブソル創業時からWaterfrontさんの傘は大人気なんです。梅雨前は、傘屋さんなんじゃないかと思うくらいご依頼をいただきます(笑)。

坂口:ありがたいですよね。でもまさかコミュニティで出会った方と、こうやってお仕事で関わるようになるとは思わなかったです。(笑)

ー坂口さんはコミュニティで積極的に人と繋がり、自由に楽しんでいる印象を受けます。

純粋に楽しいですね。「人脈を作りたい!」というよりは、「居心地の良い場所を作りたい」というモチベーションの方が高いです。そこで出会う方に色々な影響を受けますし、今は“これからの働き方”についてシェアしあうコミュニティで、コミュニケーションを取ったり勉強をしたり、ゆっくり楽しんでいます。

ー坂口さんは発信力もすごいなと思っていて、Twitterもnoteも長く続けられていますよね。

そうですね。noteはインフルエンサーの最所あさみさんに薦められてはじめたのですが、外部のメディアでも連載を持たせてもらったり、今でも月に数本は書くようにしています。

ーもともと書くことは好きなんですか?

嫌いではないと思います。子供の頃から、遊びのような感覚でblogを書いたりしていました。なんだろう…「いいものがあったら伝えたい」という感覚が強いんですよね。友人と会った時に話題に出すのと同じで、文章にした方が多くの方の目に止まるじゃないですか。「こんないいものあるよ! 知っていたらもっと毎日楽しくなるのに!」 って、ちょっとお節介なところもある気がしています(笑)。

売っているのは日常を豊かにする傘

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ー柴山や他のファンの方の交流を通して、Waterfrontさんの魅力はどういう所だと思われたんですか?

Waterfrontのブランド自体というよりは、ブランドを通じて「傘そのもの」を好きになってくださる方が増えているんだと気がつきました。コンビニや駅の売店でも広く取り扱われている中、呟きに応えてくださったファンの方はWaterfrontの直営店に来たことがある方ばかりでした。「傘ってこんなに色も種類もあるんだ!」とインパクトを感じてくださった方が、そのままファンになってくださるようでしたね。

常時約400種類という品揃えは圧巻ですよね。

世界最大級の品揃えを謳っています。2014年に直営店が自由が丘にオープンして以来、傘屋さんと言えば「あぁ、あそこね」とブランドが地域に定着してきています。大型量販店などでもお取り扱いいただいていますが、商品の魅力を接客して伝えることはできないじゃないですか。ブランドを伝えるメディアとして、実店舗は大きな意味を持つなと感じます。

ーネーミングが秀逸でストーリー性が高い傘もあるじゃないですか。思わず話を聞きたくなってしまうんですよね。

そうなんですよ。いわゆる面白傘というか話題を集めるためのものでもあるんですけど、「撮れる傘instabrella」という自撮り棒が付いた傘や、「プレミアム桜島ファイヤー」という桜島が噴火した時に灰を避けるための傘、「富山サンダー」は富山の県の鳥が雷鳥であることが由来になった傘です。軽さが求められる時代に逆をいこうと、約1kgで筋トレできる「マッスルアンブレラ」という商品も、今開発中です(笑)。

ーどうしてそういうアイディアを思いつくんですか?

先代の社長が色々な人と出会う中で、その人のための傘を作り続けたルーツが大きいと思います。会社に出入りする銀行員の方がいつも汗だくなのを見て、この人でもさせる日傘を作ろうと、体感温度が-4~7°になる「銀行員の日傘」を作ったんですよ。今広く言われているマーケティングの理論で「n=1理論」というのがありますけど、たった一人に向けて考えた商品が多くの人の悩みを解決したということを、昔からやっていた会社なんですよね。卸売が主な会社なので、営業の方たちが売りやすいストーリーを持たせる意味でも、語れることはかなりあると思います。

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ー参画されたのはすでにブランドが確立された時なんですよね。会社愛というか、ここまで熱量を持って商品を愛せるのはなぜでしょうか?

最初はWEB業界から「実態のある物」を売る業界に行ってみたいな、くらいだったんです。自社の商品への愛情や想いをちゃんと教えてもらえたことが大きかったと思います。傘って機械で作れるところが少ないので、ほとんど人の手で作られるんですよ。職人さんが作っている姿を見て、もっと多くの人に届けたいって自然と思ったんですよね。単純に、僕がこの会社のファンになってしまったんです。

ー自分が働く場所をしっかり知ることが、大切なんでしょうね。坂口さんが好きになってTwitterやnoteで発信することで、知らなかった人にも届くんですよね。

そうなることが理想ですよね。傘は使い分けも大事だと思っていて、例えば暴風雨の時には普通のビニール傘だと弱くて危ないから骨のしっかりした強い傘を使う、とか、状況によってはカッパを着た方が安全だとか、雨の日の過ごし方も発信しています。

ー傘を使い分けるという考えはなかったです。その話を聞くと「じゃあ自分に合う傘はどんなものだろう?」と気になってきますね。

一人ひとりの趣味趣向に合うものは、必ずあります。傘は子供からご年配の方まで年齢層関係なく持つもので、所有率はスマホよりも高いと思っているんです。だからこそバリエーションがあることを知ってもらって「もっと選んで楽しんでいいものなんだな」って知って欲しいんですよね。

ー天候はコントロールできるものでもないし、心地良い過ごし方を知っておけば、なんでもない日が豊かになる気がしてきました。

海外に目を向けても、売られている傘は暗い色ばかりなんです。そんな中で色とりどりの傘が増えていけば、街全体の色が明るくなりますよね。今日は雨だから、あのお気に入りの傘がさせるってなれば、どんな天気の日も楽しく過ごせるじゃないですか。そういう日常を当たり前にしていきたいんです。

僕自身、この会社に入って、前よりも雨の日が好きになりましたから

コミュニティとSNSを楽しみ尽くした彼が改めて大切にしたいもの

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ー会社や自分が扱うものへの愛をすごく感じて、人はこんなに自分が置かれた状況を愛せるものなのかと驚いています…(笑)。

坂口:「自分が良い」と知ったものを、世間の人が知らないのかもしれないと思うと、その「ギャップを埋めたい」と思ってしまうんですよね。

ー突然COOになられたことへの戸惑いは、なかったんですか?

坂口:私自身としてはなかったのですが、外からいきなりきて、突然のCOOですからね。僕が様々な判断材料を加味して意思決定をしたとしても、前から働かれている社員の中には、すぐに受け止められないと思う方も多かったと思います。

ーそれはどう乗り越えたんでしょう?

坂口:なぜその結論に至ったかを、1から伝えることだと学びました。いくら肩書きを持った人が決めたこととはいえ、突然これやってと指示されても人は動けませんよね。「伝えたいことがあるなら、ちゃんと1から伝える」ことは大切だと実感しました。

ー会社ではCOOを担われていて、お忙しい中でもコミュニティに参加し、積極的な発信も欠かさない。様々な方面に全力を出されているイメージがあるのですが、坂口さんが目指す大人は、どんな姿なんですか?

坂口:難しい質問ですね…! なんだろう、それこそ最近考えて始めたことは、改めて、自分と自分の周りを大切にしていける人になりたいっていうことですね。

ー自分と自分の周り、ですか。

坂口:僕はあまり、自分を丁寧に扱ってこなかったんですよね。自分が何をしたいかとかより、他の人の目が気になっていた。どこかに自分の価値を認めてくれる場所がある気がして、居場所も外にばかり求めてしまっていたんです。Twitterのフォロワーやいいね数ばかり気になって、人がこう思うからこうしようって、人軸で物事を決めていた。身近な人ほど自分と同じように扱ってしまっていたので、ちゃんと大切にできていたのかなって振り返って。

「自己承認欲求」が大きくなることへの葛藤みたいなものがあったのでしょうか。

キリがないなと思ったんですよね。自分が何をしたいのかを、ちゃんと突き詰めようと思った。その方が自分が納得するし、「自己効力感」に繋がるなってようやく気がつきました。

それこそ、経営する側に回ってみると数字でしか評価されなくなる。もう自分で自分を励ますしかなくなるんですよね(笑)

そのためにも、自分を認めてあげたい。愛せるようになりたい。

僕は奥さんも子供もいる身なので、ちゃんと安定した生活を送れるようにすることは大前提です。それでも自分がやりたいことは諦めたくない。だからもう一段高くジャンプするためにも、まずは地盤をしっかり固めたいと思うようになりました。

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ーたくさんの人との繋がりの中に何かを求めた頃から、今一度、自分と向き合うことに戻ってきたんですね。

コミュニティの中にいたから、気がつけたことだと思います。色々な個性を見て「自分らしくある」とか「人の目を気にしない」ことにたどり着きました。ちょっと前までいいね数が低ければ呟きを消すとか、普通にしていましたからね。もうどうでもいいやと思ったら、かなり楽になりました。

ーSNSの楽しさの裏にある苦しみ、苦しんでいる方もいらっしゃると思います…!

SNSが産んだ世界は広いと思っていたけど、いつの間にか縛られている人が多いのかもしれないですよね。自分自身どっぷりやって楽しいところもちょっと疲れるところもあったから、気がつけたと思います。

ーしっかりその世界を体験した人のいうことは重みが違います…!

SNSも仕事もそうですけど、自分が関わるところはここだと限らずに、まずやってみるのは大事なこと。やってみるから、その中で自分がどう感じるかがわかって、ちゃんと自分を理解してどの道を行くかを決められるんです。

物事の良し悪しを自分で決めるという意味での「弁える」ことが、これからは大切なのではないかと思っています。

▶︎坂口さんが自社の傘をおすすめしたnote


インタビュー内で少しだけ書かせていただいた面白傘の誕生秘話たち、めちゃめちゃ面白いです。中には坂口さんが発案し、2019年度たくさんの方が手にとった超撥水の傘も! ぜひご覧ください。(傘、買いたくなってきた…!)

▶︎Waterfront ONLINE SHOP


ノベルティ事業部で人気の傘を販売するサイトがOPENしました!30本から名入れも受け付けています! プレゼントはもちろん、ご自身用の一本にもおすすめです^^ 並ぶ傘はもちろん、Waterfrontさんです!

▶︎ "Parapluie"

取材・執筆:柴田 佐世子
編集:柴山 由香
写真: 池田 実加
バナーデザイン:小野寺 美穂

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