2017 ムジェッロGPまとめ ドゥカティ&ヤマハ、ホンダ[ 2017年6月9日 発行 Vol. 144 ]
本コンテンツの目次
●ドゥカティ:ドヴィ、ペトルッチ感涙ムジェッロ表彰台
・ドヴィツィオーゾ:能力の高さを確信
・ムジェッロ戦の勝敗を左右した4つの鍵
・ドヴィ「作戦なしで自由に走ってみても良いのかも…」
・ウィングなしで遅くなったのか?
・ドゥカティ開発のイニシアチブは誰に?
・ピッロはロレンソを抜けたのか?
・ロレンソ「自分のストレスは忘れて勝利を祝わねば…」
・ロレンソ、ピッロに感謝「引っ張ってくれて有難う」
●ヤマハ:ヴィニャーレス頭脳派、ロッシ怪我がなければ優勝も可能
・アゴスティーニ「ヴィニャーレスがここまで速いとは誰も思っていなかった」
・ヴィニャーレス「ペトルッチのせいで作戦が狂った」
・ヴィニャーレス「タイヤ分類をきちんとして欲しい」
・ヴィニャーレス「表彰台はサロムとヘイデンに捧げる」
・ロッシ:順位はともかく、評価は良好
・ロッシ「僕も表彰台だったら、お祝い気分も完璧だった」
●ホンダ不調はミシュランのせい?:マルケス「トップ5なんて…」
・マルケス「タイトル争いをしている選手はトップ5でもダメ!」
・ペドロサ、クラッチロー道連れ転倒まとめ
・ホンダ絶不調はミシュランのせい?
●バルセロナGPに向けて
ラ・キリコより
皆さん、こんにちは。
ムジェッロGP…けっこう暑そうだったでしょ。
はい、暑かったんです。いや、イタリアはもうすっかり暑いんですよ。
ついこの間まで、家の中では厚手のトレーナーでも丁度よかったのに、今はノースリーブ!
家の外なんかは、帽子とかサングラス必須状態です。
(イタリア女性って冬場以外はあまり帽子を被らないんですけどねぇ…)
さて、今回のムジェッロ決勝戦、3クラスともにイタリア人ライダーが優勝を果たし、しかも、その3人とも、常日頃から『優勝確実!』と言われている顔ぶれではなかったもんですから、イタリア国内でもポジティブなサプライズって感じになっております。
まぁ、ドヴィツィオーゾ選手なんかは去年も優勝してるけど、
モト3のアンドレア・ミーニョ選手は世界選手権キャリア初優勝だったし、モト2のマッティア・パジーニ選手も同クラスでは初優勝ですもんね…250cc時代には2009年のムジェッロ戦で優勝してるんですが。
ちなみに、この3人って、モータースポーツの聖地ことエミリア・ロマーニャ出身なんですよね。
イタリアの有名スポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルツ』でも、『Fratelli d’Italia (フラテッリ・ディタリア)』って見出しで3選手のことを紹介しておりました。
この『Fratelli d’Italia』って、単純に訳すと『イタリアの兄弟』なんですが、イタリア国歌のことでもあり、また、イタリア代表って意味もあるんですよ。
さて、イタリア国内では喜びつつも、やっぱり、「あぁぁ~これでモトGP優勝がロッシだったら…」って空気があるのも否めません。
特に、ミーニョ選手はVR46チームだし、パジーニ選手だって『ランチ(ロッシ私設コース)』のトレーニング常連メンバーですから。
これでロッシ選手が優勝していたら、三拍子揃ってたわけですよ。
でもね、「ロッシが優勝できなくて残念だった?」と訊かれたミーニョ選手が、こう答えておりました。
「すごく残念でした。でも、ヴァレがかなり厳しい状態だってことは分かってたんで。
レースの前、トレーニングジムで見かけたら、身体の方はいつものヴァレじゃなかったし。
あの状態で4位なんて、かなり凄いことだと思います。」
ちなみに、優勝したミーニョ選手はピットレーンで待っていたロッシ選手にもみくちゃにされてましたが…
これについては、こう言ってます。
「本当に凄い話ですよね。僕の優勝で大喜びしているヴァレを見て、誇らしい気持ちになりました。
ヴァレからのアドバイスを、いつも実行しようと頑張ってるもんですから。」
ロッシ選手のアドバイスと言えば…
最近、フランコ・モルビデッリ選手が「身を粉にして努力しろ」って言われてるって明かしてたんですが、ミーニョ選手の方は、こう言われてるんですって。
「落ち込むとか、ムカつくのは無駄なことだって、いつも言われてます。何の役にも立たないって。
2015年にヴァレがタイトルを逃した時、僕はヴァレの家やモーターホームに行くのが恐かったんですよ。
すっかり落ち込んでいて、話す気力もないんじゃないかと思ってたものだから。
ところが、いつも通りの笑顔で、なんでも話を聞いてくれたんですよねぇ。」
あぁぁ…でも、ミーニョ選手はちょっと特別なのかもしれない。
ル・マン決勝戦の最終ラップでロッシ選手が転倒リタイヤした時も、スクーターで迎えに行ってたのはミーニョ選手だったし。
ロッシ選手も「ミーニョは注意を払っている選手の一人だ」って言ってるそうだし。
んで、ミーニョ選手の方は、ロッシ選手のことをこう思ってます。
「僕はヴァレのことを兄貴とか友達とかって思ってるんですが…多分、『天の恵み』って思ってもいるなぁ。
ただ、うんざりさせちゃ悪いとか考えないんですけどね。
あの人がヴァレンティーノ・ロッシなんだってことを飛び越えて、必要なことは全て訊きに行きますから。
そして、もちろん、色々なことを…違いを生み出せるような色々なことを実践させてもらってます。」
じゃあ、せっかくだからパジーニ選手についても、ちょっと書いておきますね。
今年32才になるパジーニ選手は、ずっとドヴィツィオーゾ選手や故マルコ・シモンチェッリ選手とキャリアを共に進んできてたんですが、若い頃、モトクロスでの転倒で右腕を負傷してしまい、いまでも100%の力が出ないんです。
それで昨シーズンから、レースで乗ってるモト2機もフロントブレーキのレバーを左側に移してしまったんですよ。
でもね、パジーニご本人はこう言ってるんです。
「右腕のせいで限界は感じてませんよ。むしろ、得をしてるかな。精神的に強くなったから。」
あとね、パジーニ選手って故シモンチェッリ選手とはマブダチで、シモンチェッリ選手がお亡くなりになった時は、すぐに追悼タトゥーを入れていたほどなんです。
(ブログ関連記事:シッチへの最後の言葉:ロッシ・ドヴィ・ロレンソ・パジーニ )
んで、今回、シモンチェッリ選手のお父さんがこんな風に言っておりました。
「マッティアは長いことシッチに優勝を捧げたくて捧げたくて…ずっと夢見ていたからねぇ。」
おっと、枕話なのにエラい長くなっちゃった!
では、そろそろ『ムジェッロGPまとめ』、行きますぞぉ!
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