Living Anywhere Commonsを通じて、変わるこれからの生き方 前編/ Living Anywhere Commons会津磐梯キックオフパーティレポート②

Living Anywhere Commonsのプロジェクト紹介の後は、自ら「Living Anywhere」の暮らしを実践する(一社)Living Anywhereの理事の2人によるトークセッションを行なった。

【登壇者】

井上高志:株式会社LIFULL代表取締役社長。詳しいプロフィールはhttps://lifull.com/company/exectives/

山寺純:株式会社Eyes,Japan 代表取締役社長。詳しいプロフィールはhttp://www.nowhere.co.jp/culture/staff/yamadera.html

Living Anywhereという概念が生まれた背景

井上:きっかけは、3年前ぐらいに泰蔵さん(※孫泰蔵氏)と僕が東京で晩御飯を食べていたら、泰蔵さんが「住み方や暮らし方、生き方をアップデートしませんか」という話をしてきたことです。最初は「この人は一体何を言っているんだろう…」と思ったのですが、いろんな話を聞くと、「Living Anywhere」のコンセプトは場所の制約から解放されることだ、と。

僕も含めて、東京に住んでいます。人は、電気・ガス・水道の配管がきているところでないと住めないですよね。僕らの会社(LIFULL)は不動産情報を扱っているのでよく分かるのですが、「自分の子どもを良い学校に入れたいから、学内に引っ越す」とか「通勤時間が苦痛なので、なるべく会社までの通勤時間が短いところに住みたい」とか、そういう人が多い。そうすると、家賃が高くなって家も狭くなる。家を買っても35年間ずっとローン払うことになる。生涯で稼ぐ賃金のうち、だいたい40%ぐらいが住居費に消えていくという試算があります。

自分たちは当たり前だと思っていたけど、そうではない。自分が思うがまま、いつでもどこでも生活ができるよう、テクノロジーで実現しようではないか…そんな話でした。これは面白いということで、この活動を始めました。

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井上高志氏

Living Anywhereに関わることになったきっかけ

山寺:会津大学という、日本で最初のコンピュータ専門大学が出来た時(1993年)に、私は県職員をやっていました。その時初めてインターネットに触れて、「俺、産業革命の真っ只中にいる」ということを感じました。みなさん、今は普通にスマホやインターネットを使っていると思いますが、30年前は誰も持っていません。今でも良く覚えていますが、頭に雷が落ちたような衝撃で。これはすごい、世の中は変わるなと思いました。自分一人だけ20年先の未来を見ているような気もしていました。

その時の学生と一緒にスタートアップを始めて、先端的な仕事をしてきました。私は昭和の世代の生まれなので、東京に行かないとビジネスができないのではないか、成功できないのではないか、と考えることもありましたが、インターネットに初めて触れた時に、「パソコンとインターネットだけあればどこでも生きていけるな」と感じました。

最近はシェアリングエコノミー、例えばUberとかAirbnbとか、モノを持たずにシェアするというグローバルなサービスが出てきました。LCCの誕生で移動のコストも安くなって、世界中の優秀な人はどこでも仕事ができる。そんな中「Living Anywhere」の話を聞いて、すごく面白いなぁと思いました。俺が20年前に見ていた夢がようやく叶うなと思って、この世界に飛び込みました。

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山寺純氏

Living AnywhereプロジェクトやCommonsの場所を通じて、これから挑戦したいこと

井上:僕は、自動運転技術も搭載されている、未来型のキャンピングカーを作りたいです。僕がサーファーだとして、「明日はどうやらいい波が来そうだ」と思ったら、自動運転で目的地まで移動しながら、残りの仕事を片付ける。そして、ご飯を作って食べて、その間はずっと移動している。ゆっくりシャワーを浴びて、寝て、朝5時半ぐらいに起きたら、もう目の前には海が広がっている。サーフボードを持って波乗りをして、7時半ぐらいからシャワーを浴びて、仕事にパッと取り組む。こんな世界が実現できたらいいなと思っています。

5年前10年前には夢物語だった話ですが、最近ではそれに近いものはできているんです。例えば、ミニハウスの「Ecocapsule」というのは、1台8万ユーロ、日本円で1000万円ぐらいです。

僕らのLiving Anywhereの仲間には、水を循環して使えるシャワーボックスを開発した人たちもいます。キャンピングカーに搭載されていたら便利だろうし、その技術を被災地や発展途上国へ持っていったら、そもそも上下水道のインフラもなくてもいい現実が来るかもしれない。それからインターネットでダウンロードした建築物の設計図を読み込むと、木工品の3Dプリンターで設計図通りに家具を作ってくれる技術を生んだ仲間もいます。

こういう技術が現実になってくると、いよいよ場所の制約は無くなってきます。そして、Living Anywhere Commonsという拠点に集まってきて、「君はどこからきたの?」という話から「何やっているの?」とか「一緒に作ってみないか」という展開になるのではないかな。

テクノロジーが整ってきているので、みんながしたいことが夢物語ではなくて、実現できる時代に近づいてきたなと思っています。ワークショップに参加していること自体が、自分自身の枠を飛び出していますし、「こんな風になれたらいいな」とか「こうしたらみんなが幸せになるのではないか」と考えること自体が、知的好奇心が満たされて、めちゃくちゃ楽しいかなと思います。

文・写真:五月女菜穂

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