【言葉】野村萬斎さん(能楽師)

狂言には型があります。約600年の伝統のなかでなぜその型になったのかを理解するためには一度型を解体し、組み立て直す作業が必要になります。

その作業を現場となる能楽堂や劇場に来られた観客の皆さんと一緒に行うことで、型を再創造していくのです。解体して再創造する。

伝統芸能は私たちだけで創るものではなく、その面白さを共有する観客の皆さんとともに、ライブ感にあふれた現場で創り上げるものなのです。

出典:機内誌のインタビュー記事

マーケティングで頻出する、顧客との「共創」の考え方がきっちりつまっている。ここが興味深くてクリップしました。

①伝統を受け継ぎ、背負って立つ表現者として、芸そのものの型を理解する。

②型の理解には、解体と再構築が必要であり、ここで観客を巻き込むことで“再創造”が可能になる。

③解体と再構築のプロセスを経ることで、観客にとっても一方通行ではない、ライブ感が醸成される。

野村萬斎さんは、あえて狂言ではなく、“伝統芸能”を主語として語っていらっしゃるのかなと感じました。

かつて立川談志は「伝統を現代に」という言葉をスローガンとして掲げていました。サンキュータツオさんは、文化とは経年に耐えうる強度のあるものと言いました。

野村萬斎さんの言葉には「伝統と呼ばれるモノ・コトを、現代においてどのように位置付けて発展させるか」というヒントがあるように思えます。

以上です!



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