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シーリング作業のやり方

外壁にサイディングを張っている家の塗り替えに必須のシーリング工事。
普段は専門のシール屋さんにお願いしている。

自分達でシールから請け負っている塗装屋さんもいるが、一つの職種として専門の職人さんがいるという事は、それだけ知識も経験も必要で奥が深い事で「片手間」で出来ることではない。

と考えて専門のシール屋さんにお願いしている訳だが、任せっぱなしもどうかと。

なので、勉強と現場管理と暇つぶしを兼ねて1日シール屋さんに貼り付いてみた。

「えっ?今日はどうしたんすか?」

狼狽えるS君。

「ふっふっふ。。。手抜きとかしないか厳しいチェックをしに来たのだよ。」

「どっかのTさんみたいな事言わないでくださいよ。」

因みにこのTさんとはハウスメーカーの工事担当者で、S君と自分は元々そこの下請け仲間。厳しい検査をクリアする為日々努力と愚痴を言い合った仲。

そんな間柄なのでヘタな手抜きをしない事も、腕がいい事も、最近車を乗り換えた事もよく知っている。

そんなS君に「最近youtube見てシールの勉強してるんだけど、動画より実物見た方が早いと思ってさ。」と素直に白状して講師代のお茶を渡す。120円。

「。。。やり辛いっス。」

まずは既存シールの撤去から。
撤去作業は自分も何度か経験あるので、見ててもつまらない。
なのでその間に足場のメッシュシートでもはがしておくかと登って行くと、
「そういえば最近Tさんの仕事が減ってるんですよ」と。
なんでも簡単なシールはTさんトコの塗装屋がやってるらしく、塗装屋に出来ない所しか回って来ないのが原因だと。

「youtubeでも半分くらいは塗装屋がシール打ってる動画だったもんな。」

「手元見れば分かりますもんね。シール屋か塗装屋か。」

「そうそう。使ってるヘラも違うしね。大体塗装屋はオレンジのバッカーだけどシール屋さんは緑だよね?緑の方がキレイにならせるの?」

「色はたまたまじゃないっスか?まあ緑の方が硬くて自分は好きですけど。それにキレイかどうかはキレイに撤去したかどうかで差が出るってのもあるし。塗装屋さんの仕上がり見ると結構ブツブツが出てて、あれは打つ前に目地の中にゴミが残ってるのが原因だったりするんですよ。」

見ててもつまらんとか言ってゴメン。。。

カッター入れて目地を抜いた後にもう一度カッターを両サイド這わせて、先の細いペンチで中のゴミを拾う。で、最後にラスターで掃き掃除して撤去終了。
一連の動作が速すぎて簡単そうに見えるんだよね。チャッチャとしてるからついついこちらもチャッチャと真似して雑になってるって事か。_φ(・_・

メッシュシートを畳み終わってから1年前に塗装したお客さんの所に点検の予約があったので、一度現場を離れて戻ると「撤去作業が終わり、養生してプライマーが終わったので、これから打つ所です。」との事。

ナイスなタイミング。そこが見たかったのだよ。

プラスチック製の大きめなボックスに水を張り、投げ込みヒーターで温めた中にシールの丸缶を突っ込んだ横でバッカーを作るS君に講師代のお菓子(点検のお客さんに頂いたお煎餅 0円)を渡し、
「今日くらいでも温めないとダメなの?」この日の気温は18℃の小春日和。

「まあ、念のためです。」

シールは気温が低く冷えると硬くなる性質があるため、冬場などは車の足元に置いて暖房で温めたりしてたけど、小春日和でも温めた方が良いのか。

緑のバッカーを丁寧に台形に切り、三方を斜になるように削ってから金ベラに貼り付ける。

「あれ?前は竹ベラ使ってなかった?それ真似して最近は俺も竹ベラ使ってるんだけど。」

「え?いや、特にこだわりは無いけど最近は金ベラですね。ってか竹ベラは結構上級者向けっスよ?」

「なに!先に言えよ!どうりでやり辛いと思ったわ!ヒゲは出るし繋ぎの後は残るし!」

「いや、それ竹のせいかどうか微妙ですけど。。。」

今日の現場は2階建ての一階部分のみの施工。2階部分は塗装前に終わらせて貰っているが、一階はクリア仕上げの為シールを後打ち。外壁の色に合わせたシールを打って仕上がりのため、誤魔化しが効かないので本職のシール屋さんの出番。
自分達の様な塗装屋だと2人がかりになるが、本職のシール屋さんなら1人で一日あれば充分終わるらしい。

カチャカチャ、カチャカチャ、カチャカチャ…

ガンを使ってあっという間に足場の上段をグルリと一周シールの充填完了。

「…えらい進むね?」
自分はいつも目地2本充填したらならして、窓1箇所充填したらならして、みたいに進めるが、S君は足場一段グルっと充填先行。

「足場が動き安いですからね。」

そういう問題か?

最初に充填した所からならし始めたのを見ていると、シールがとても柔らかそうに見える。カスタードクリームくらい。とても扱いやすそう。。。
因みにこの日の材料は

https://autochem.co.jp/products/935/
オートンサイディングシーラント。
1液ながら10年以上の耐久性。この上に30年耐久のエクシードとか出てるが屋根や外壁の耐久性と値段の兼ね合いを考えると戸建ての住宅にはコレがベストな気がする。

この材料は他のシーリング材に比べて元々柔らかいイメージだったけど、あんなだっけ?と思ってたらさっきまでお湯で温めてたの思い出した。

こういう所で差が出るんだなと。
「念のためです。」とか軽〜く言いやがって。_φ(・_・

ならし方は、細い目地は先程作ってた台形のバッカー。目地の太さに合わせたもの。サッシ周りや入隅は先の丸い小さめの金ベラに沿った緑のバッカーをつけたものでならしてる。

写真撮り忘れたのでグーグルで見つけた物だけど、こんな形。

ならし後に養生剥がすと、当然ブツブツもヒゲも無い。

「ヒゲはならす時に押さえきれていないのが原因ですよ。養生のラッカーテープのきわにヘラを当てる感じでやるんです。サイディングの凸凹に合わせてヘラを動かしてけば…。大丈夫っす。」

入隅などは先の丸いヘラの頂点と、そこから2センチほど下がった所の2ヶ所をテープの際に当てる感じ。
なるほど。丸い先っぽを隅に当てる訳じゃないのか。_φ(・_・

「それだとシールを取りすぎちゃうんですよ。ある程度厚みを残さないと直ぐに劣化してダメになってしまうんで。」

「最近のお気に入りのこのヘラだと、細いんでトイの裏の目地なんかもトイ外さず行けますからね。」

「そういえばそのヘラの作り方の動画とかあったなぁ。ベンチグラインダーでやってたけど。」

「普通のサンダーでも大丈夫ですよ。ベンチグラインダーの方がやり易いけど。」

「その為だけに買うのもなあ…。」

「自分も買って持ってるけど、それ以外使い道ないっすからね。」

そんな話をしながら、あっという間に上段のならしと養生バラシ完了。

クリアを塗る前に色合わせをして決めた色より2段階程濃い色にしたけど、もう一段くらい濃くても良かったかも。クリア塗ると濡れ感によって色が濃くなるんだよね。_φ(・_・

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