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2023年ドラマベスト10

 もう年が明けてしまいましたが、2023年に見たドラマを振り返ったうえで、個人的なベスト10をご紹介したいと思います!

 2023年に見たドラマをまとめてみました。
 連ドラ(テレビで放送していたもの)と、単発/配信ドラマに分けています。配信したあと地上波でも放送していたドラマなどもありますが、自分が見た局&プラットフォームを基準に分類しています。

2023年に見た連ドラ
(※「SHUT UP」「仮想儀礼」は2024年にまたがって放送)

 まずは連ドラ! 計53本見てました。2023年は常に溜まっているドラマの消化に追われていたような気がしますが、そりゃあ53本も見ていたら忙しいわけです。
 こうやってまとめてみると、同じ枠のドラマを年間を通して見ることは少なかったのだと気づきます。すべて見たのは NHK火曜22時だけですし、3本見たのも日テレ日曜22時半だけ。
 今年はあまりTBSのドラマを見なかったなあという印象です。

2023年に見た単発/配信ドラマ

 続いて単発/配信ドラマ。21本見ていました。単発60分のものから60分×9話の連ドラまで含まれるので、長さはまちまちですが、結構見ていたなあと思います。
 そしてやはりNHKが多かったです。NHKの単発ドラマは、番宣があまりなされないこともあって見落としがちですが、良作揃いです。

 本腰を入れてたくさんドラマを見るようになったのは2020年くらいからなのですが、2023年はこれまでで一番多く見たと思います。

 というわけで、上記のドラマの中から好きだったものを10個ご紹介したいと思います。上位5個くらいまではあっさり決まったのですが、残り5個を選ぶのに悩んだ……! それぞれに好きなポイントがあるので、比較するのが難しかったです。
 長くなっても読みにくいと思うので、できるだけあっさりと紹介します。

1位 こっち向いてよ向井くん

(7~9月・日テレ系・主演:赤楚衛二)

 詳しくはこちらの記事に書いた通りですが、脚本・演出・演技すべてが綺麗に嚙み合った、軽やかでおしゃれな作品でした。
「適齢期に結婚して子供を産み育てる」という人生の既定路線がとっくに崩壊した現代。好きに生きていいよと言われても旧来の価値観にはどうしても引っ張られるし、自分の考えが正解なのか分からない。そんな中でもがく向井くん(赤楚衛二)や元カノの美和子(生田絵梨花)、飲み仲間の洸稀(波瑠)ら全員を肯定し、応援してくれるような、前向きなドラマです。
 向井くんのモノローグが、素朴ながら世の中の本質を突いているようで、印象に残っています。

2位 今夜すきやきだよ

(1~3月・テレ東系・主演:蓮佛美沙子・トリンドル玲奈)

 生きる中で出くわす、些細だけれどもやもやすること、本人にとっては大事な問題なのに周りには伝わらないことを丁寧に拾い上げてくれる作品でした。
 アロマンティックとしての悩み、フリーランスの不安定さ、女性が年齢とキャリアを重ねることの難しさ、「男らしさ」の呪縛、結婚にあたって姓を変えることなどなど、今の社会にあるいろいろな生きづらさを毎話ひとつずつ取り上げて、優しさをもって描いていました。このドラマを見るたびに、少しずつ息がしやすくなっていくようでした。
 そしてあいこ(蓮佛美沙子)とともこ(トリンドル玲奈)が一緒に食べる食事がいつもおいしそう!

3位 セクシー田中さん

(10~12月・日テレ系・主演:木南晴夏)

 「男の学歴・年収と、女の若さ・可愛さは等価交換」。7話で出てくる台詞ですが、この主張の是非はさておき、このドラマの登場人物たちに嵌められた枷を象徴するようなフレーズだと思います。
 地味な見た目の自分に自信を持てず、何事にも臆病になるアラフォーOL・田中さん(木南晴夏)、若さが武器になるのは今だけと、自分の行く先を不安視する朱里(生見愛瑠)、古い性別観の父親に育てられ、大人になった今も父親の考え方に縛られる笙野(毎熊克哉)。みな年齢や性別、容姿に囚われながら生きています。
 そんな彼女たちの苦しみを描きつつ、人はいつからでも変われるということや、日常に小さな幸せを見つけることの喜びを一貫して伝え続けてくれた、ハートフルなドラマでした。
 チャラリーマン・小西を演じる前田公輝の独特な台詞回しと予測のつかない表情を毎回楽しませていただきました。

4位 ブラッシュアップライフ

(1~3月・日テレ系・主演:安藤サクラ)

 このドラマを説明するには「タイムリープ」という非日常のキーワードが欠かせないですが、でも、描かれていたのは日常そのものでした。
 バカリズムは、日常に訪れる気まずい瞬間を切り取るのが本当に上手い。人に語るほどのエピソードにはならないけど、その場にいたら確実に一瞬つまづくような気まずさが、ふんだんに詰め込まれていました。同時に、日常の中にあるささやかな幸せも詰まっています。
 恋愛物でも医療物でも刑事物でもサスペンスでもミステリーでもない、ノンジャンルな作品ですが、だからこそ万人におすすめできる楽しいドラマです。

5位 ジャックフロスト

(2~3月・MBS他・主演:本田響矢・鈴木康介)

 こういうBL作品を見たかったのだなと思いました。国内のBLドラマって、漫画原作が多いこともあってか、コメディかエロティックな方向に振れがちで、このドラマのようなナチュラルなテイストの作品はあまり多くないように思います。
 このドラマはモノローグがほぼなく、台詞も多くはありません。静かな雰囲気の中で、二人の感情の動きが丁寧に表現されていました。綺麗な映像、主演二人の耽美なビジュアル、そして繊細な表情の演技が組み合わさって、美しい世界が作り上げられています。
 二人とも演技がお上手なので、2024年の活躍が楽しみです! 絶対このドラマ見てキャスティングしたでしょうという、二人が共演するドラマ(セレブ男子は手に負えません)も始まりましたし。

6位 しずかちゃんとパパ

(7~9月・NHK・主演:吉岡理帆・笑福亭鶴瓶)

 もともとBSプレミアムで2022年に放送されていたドラマではあるのですが、自分が見たのは2023年の地上波放送版なので、ランキングに入れました。
 この作品の好きなポイントを3つ挙げるとしたら、脚本の完成度の高さ、温かみのある登場人物たち、吉岡里帆の圧倒的な演技力です。
 作中に出てくる全ての要素が、静(吉岡理帆)たちへの優しいメッセージにつながるような、巧みな構成のドラマでした。人と人との間にはどうしても軋轢が生まれてしまうことがありますが、そんな中でも互いを尊重し理解することを諦めない登場人物たちがとても魅力的でした。
 そして、聾者の両親のもとで育ったCODAである静を演じる吉岡理帆が圧巻でした! 声、表情、手話を含む身振り手振りを存分に使って、静のあふれる感情を表現していました。

7位 転職の魔王様

(7~9月・フジ系・主演:成田凌)

 令和の世で会社員として働く人々の悩みとその処方箋が詰まったような、社会に対する解像度が高いドラマでした。見ながら、こういう焦燥感や悩みを抱えているのは自分だけではなかったのだな、と救われる場面が数多くありました。3話での「合わない仕事は自分の心を殺し、他の誰かを殺すこともある」という台詞は、至言です。
 魔王様=来栖を演じる成田凌が素晴らしかったです。来栖は一見冷徹でやや高圧的なキャリアアドバイザーですが、実は面倒見がよく面白みのある人間です。さじ加減を間違えればただの嫌な人物にも映りかねない来栖を、成田凌が台詞や表情を細やかに操りながら、絶妙なバランス感覚で演じていました。

8位 ハヤブサ消防団

(7~9月・テレ朝系・主演:中村倫也)

 サスペンスやミステリー系のドラマは普段あまり多くは見ないのですが、この作品は最後まで楽しみに見ました。主人公の三馬太郎(中村倫也)たちが立ち向かう相手が、だんだんと大きく、得体の知れない物になっていく様にゾクゾクしました。
 名バイプレイヤーが勢ぞろいしているだけあって、脇を固める各キャラクターの奥行きがしっかりしていましたし、底の見えない川口春奈の不気味さも良かったです。そして真ん中に立つ中村倫也の主演力! 年末に見た主演舞台『アウト・オブ・オーダー』でもそれを感じたのですが、声色を巧みに操ることで、物語の空気を一瞬で掌握し変えていくような力を持っていました。
 アビゲイル騎士団の顧問弁護士・杉森役の浜田信也の演技を知ることができたのも、このドラマでの大きな収穫です。

9位 波よ聞いてくれ

(4~6月・テレ朝系・主演:小芝風花)

 毎話どこに向かうのか全く予測できず、ハラハラしながら見守るのが段々クセになってきます。新しいタイプのドラマを見ている!という感じでした。
 2023年は大活躍の小芝風花ですが、このドラマを見ると見ないとでは確実に彼女に対する印象が変わると思います。小芝風花が演じる鼓田ミナレは破天荒なラジオパーソナリティですが、びっくりするほど台詞量が多い。その上、テンションの乱高下がすさまじい。そんなミナレを、小芝風花は見事な滑舌と抑揚で演じ切っていました。6話の茅代まどか(平野綾)との応酬は、2023年トップクラスの暴力的な台詞量ではないでしょうか。
 ラジオの存在意義を再認識させてくれる最終話の着地が好きでした!

10位 あなたがしてくれなくても

(4~6月・フジ系・主演:奈緒)

 セックスレス/不倫というテーマと、やや陰のある映像、湿り気の強い音楽がバランスよく溶け合った、完成度の高いドラマでした。劇中歌の「ダンスはうまく踊れない」(稲葉浩志カバー)が耳に残って、放送中は頻繁に聞いていました。
 みち(奈緒)・陽一(永山瑛太)夫婦、誠(岩田剛典)・楓(田中みな実)夫婦の2組4人は、4人それぞれに美点も欠点もあり、皆が自分の夫/妻に対する後ろめたさを抱えています。心がざらつく瞬間や息が詰まる様子を、4人の役者がとてもリアルに表現していて、人物の解像度が非常に高い作品だったと思います。特に陽一は褒められない行動も多々してしまう人物ですが、永山瑛太が演じていると「ああ、こういう人いるよな……」という生っぽさ、憎み切れなさがありました。
 SNS上では、誠が最終盤で突飛な行動を次々に繰り出す様子に違和感を覚える人も多かったようですが、個人的には誠は1話から一貫してちょいヤバな面白い人物だったと思っています。面白人間じゃなかったら、「今夜も、夜風が気持ちよさそうですよね」とかいう誘い方、します……?

 以上です! 日テレが1, 3, 4位を占めており、2023年は日テレドラマが強い年だったな~という印象です。
 感想を書くとキリがないのでタイトルの紹介のみにとどめますが、「ゆりあ先生の赤い糸」「みなと商事コインランドリー2」「ガチ恋粘着獣」「初恋、ざらり」「夕暮れに、手をつなぐ」あたりも非常に好きなドラマでした!
 2024年も良いドラマにたくさん出会いたいな~と思います。


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