見出し画像

侮るなかれ!慢性便秘

研究発表会終了!晴れて卒業が決まりました!!

先日の口頭試問の結果、修士論文の修正点を指摘され、またいくつか論文を読んでいたのですが、私が腸内環境の指標として使用した「腸内腐敗物質」
は、便秘で腸管に詰まってる時間が長いほど、増える傾向にあるので、「慢性便秘」についても調べていたところ、思った以上に、カラダによろしくないことがわかりました。

(出典:Chang JY, et al. Am J Gastroenterol. 2010 Apr;105(4):822-32.)

1988~1993年に米国ミネソタ州の20歳以上の調査可能であった3,933例を対象とし、2008年までの生存状況を行政の死亡記録によって確認し,慢性便秘症状の有無で生存率の差異を検討したところ、上の図のとおり、生存率に有意に差がありました。

若い女性は、女性ホルモンの影響で、便秘になりやすいことが知られていますが、最近では、加齢とともに、男性でも便秘になる方が増えています。

(日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会編「慢性便秘症診療ガイドライン2017」より、データ出典:厚生労働省平成25年「国民生活基礎調査」)

慢性便秘症診療ガイドラインによると、便秘とは

本来体外に排出すべき糞便を、十分量かつ快適に排出できない状態

と定義されています。

そして便秘は、

・排便の回数や量が少ないため、便が腸の中に滞るタイプ
・量や回数は問題ないが、便が快適に排出できず、残便感があるタイプ

に分かれます。

毎日出ていて、便秘ではないと思っていても、便が硬いと力んでもすっきり出せず、出すときに不快感があったり、出した後に残便感があったりする場合も実は便秘です。

慢性便秘になると、便が硬くなり、いきむことが多くなることから、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中などの心臓・血管系の病気)の発症リスクが高くなります。

私が研究に使用した、腸内腐敗物質(食事からのたんぱく質が腸で腸内細菌により代謝を受けて生成する有害物質)も、便秘であれば、腸に滞留する時間も長くなるので、生成量が増えます。
この腸内腐敗物質ですが、インドキシル硫酸は、腎不全の進行や酸化ストレスの亢進による動脈硬化、骨粗しょう症などとも深く関与し、他の腸内腐敗物質も,生活習慣病の発症や認知症への関与が示唆されています。

私も実は若い頃から、慢性便秘ですが、現在、完治すべく、毎日たっぷり食物繊維を摂取し、カラダに合うヨーグルトを食べるようにしています。

たかが便秘、されど便秘!!

今は良い便秘の治療薬が出ておりますので、医師にご相談ください。

参考文献

慢性便秘症診療ガイドライン2017
修士論文より

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?