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Sentimental

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記事一覧

時の沙

時の沙

時の沙に埋もれてしまう切なさ
それでも
好きか嫌いか 聞かれたなら
迷わず、好き……

時の沙に見え隠れする優しさ
それでも
許すかどうか 聞かれたなら
迷わず、許さない……

水晶の迷宮にいるみたい
透き通って見えても
辿り着けない

前へ前へと逃げてる
後ろへなら迷うこともないだろうけど

時の沙に揺れ動いた真実
それでも
愛か憎しみか 聞かれたなら
………

Ayano / 想流夜 彩乃

宝箱

宝箱

少年は
ずっと思っていられると
信じていたから
カギを掛けた

口先だけは嫌だから
少年はちゃんとオトナになろうとした

忘れなかった
そこにあること
眠れない夜
孤独な夜
もたれかかることもあった

少年は蓋が少しずつ重くなること
気づいていたけれど
箱からは出さなかった

家族が老いていくのを知って
本当に好きな人ができて
蓋はどんどん重くなったけど
覗いたら またカギを掛けた

光のように時

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独占される夜

独占される夜

ひとかけらもない眠気のなかで
話すたびに
キミを この心に集めて
当たり前のように想い続けてる
いつか破裂してしまいそう

朝が近づくのを知らないふりして
触れるたびに
まばたきも忘れて
夢中でキミを見つめ続けてる
涙あふれるのも気づかない

夢も
希望も
明日も
空に浮かぶ月も
キミにすり変わる

私は独占される

Shôya / 想流夜 彩乃

Arrow

Arrow

誰かの差し金でも
世界の定めでも
自分の失敗でも
ちっぽけでも哀しみは心を裂くから
不確かな評価や道標より
何処かへ連れ去って欲しい

誰かを恨んで
世界を儚んで
自分を蔑んで
こんなだから息が詰まりそうになって
この身にだけ夜は明けない
そんな奇跡だけ続いて

闇のなかで
大切な人の優しさ
大好きな歌の励まし
拾い集めて
負けることしかできないのに
目覚めなくちゃいけない……

いつ

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The world spins

The world spins

投げつけられて
水面に波紋を描いて消える
季節が変わらぬうちに
もう水底に沈んで
もう何だったのかさえ分からない
次々に投げ入れられる
また似たような波紋が消える

名探偵気取りの何者かは
波紋の形や大きさを評するだけで何も解決しない
顔を上げて立ち向かう人
蹲って泣き出す人
そのどちらかが正しい
誰の助けも借りずに歩き続ける人
誰かの助けを借りて立ち上がる人
そのどちらかが強くて弱い

勇気を持

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サカナ

本当は泣いているのかもしれない
水の中だから
見えないけれど

そして
振り向くこともできずに
前へ前へと泳いでゆく

そんなサカナになりたい

Shôya/七瀬 翔夜

NO ATTACK, NO CHANCE

こんなところにいるはずじゃなかった
本当はもっと速く走れる
昔は友人みんなの羨望の的だった
でもマシンが非力なんだ

こんなところにいたくない
僕には才能があるのに
タイヤがグリップしてくれないんだ
ヘルメットがきつすぎるんだ

こんなところにいるしかないのか
ついていくのが精一杯で
少しでもアクセルを踏み込めば
眼の前に壁が迫ってくる

こんなところにいるのは仕方がない
クラッシュしたら危ないし

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いつの日か……

いつの日か……
僕の夢は叶わなかったけれど
そんなふうに語るときが来るのだろうか

いつの日か……
僕の愛はつたわらなかったけれど
そんなふうに涙するときが来るのだろうか

もう心はあの頃のようには動かなくて
うまくいっているように見せかけるばかりで
焼き切れそうだ

いつの日か……
僕は老いたとバルジャンが想ったように
ゆだねるときが来るのだろうか

いつの日か その日まで
僕は疑い続ける 信じ

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The subject of the weather

目の前にいなければ存在しない
扉の前でマシンガンをぶっ放す
もしくは
扉の前を通り過ぎる
既読マークも残さずに

わたしは黒いと泣きながら
あなたは白いと評価されたい
もしくは
わたしは白いと笑いながら
あなたは黒いと評価する

それならお天気の話のほうがマシじゃない?

罰は大勢から与えられ
大勢の罪は分割されて軽くなる
正義の名のもと?
そんなことしなくても
TENGAもローターもあるのに

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永遠に幕の降りない劇

プロローグで殺されたことにした
幕はまだ上がらない時に

これからざわめく観客が素敵に思えた

無知な他人が批評していた
俺のことは俺が一番よく知っているのに
反逆者の名前で呼ばれていた

誰かに刺される振りをして
自らの胸にナイフを滑らせた
どうして…聞こえる偽りの瞳に
ただ流れる血が綺麗だからと答えた

幕は上がる
舞台の中央で漂う血の匂い
何が起こったのかすら気づかない愚かな人々
涼風に誘わ

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rab

名前の由来からすれば
そういう綴りだけど
キミにはloveのほうが似合ってた

年に二回しか帰らない僕に
遠巻きに見つめるお姉ちゃんと弟をよそに
キミはすぐに近づいて
頭をこすりつけてくれたね

ハンサムな顔つきで
鳴き声が少し変で
とても人懐っこくて
いたずら好きで
仲の悪いお姉ちゃんと弟のあいだを取り持ったり
妙に優しい子だった

座った脚に飛び乗ってきて
安定する位置を見つけたら
いつのまに

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Play

あたしとキミがここでこうしてることは
神様だって知らないわ
だから もう ふるえるのはよして

どこでどうやってこうなったのか
あたしにもキミにも
知られてはいけない人がいる

キミのこと
あたしは最初の夜
「平均年収をかなり上回る」
っていうタグを付けた

あたしのこと
キミは最初の夜
「あやまち」「快楽」「これっきり」
いろんなタグを付けようとしてた

だから清純なふりしてみせた
でも もうそ

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Am I on the right path?

5月にしては暑くて扇風機が回って
最新サービスが古い写真を整理してくれた
6月の雨は体にまとわりついて
最新サービスが買ってないCDを聴かせてくれた
4月のことは覚えていないし
7月のことは考えていない

冷蔵庫の中の第3のビール
アルミニウムのタンブラー
10年くらい前のテレビ
熱狂した格闘技の大会
煙草に火を付けて2Rを見忘れる

疾走しているつもりで
失踪してるのかもね
決めても繰り返される

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Gestaltzerfall L

ふるえてる?
どうすれば涙になるの?
忘れ去った?
なにもかも聞こえてくる

あっというまに月は輝くのに
明日をどう描けばいいのか分からないよ
泣きだしそうな夜くりかえして
押し付けたなら
あなたはきっと受け止めてくれるけれど
わたしを視なくなるでしょう

優しさにばかり貪欲になって
助けてほしくて伸ばした手は空を切り
責める言葉だけが頭をよぎって
大切なことを傷つけても無視してた

それは何だっ

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