【無料】第6回 海外出張レポート ~メキシコシティ/テキサス州オースティン編~

4月22日~5月2日までの10日間、メキシコシティとオースティンでの海外イベント出張を終えたばかりのビアちゃん。今回はイベントについてお聞きしました! 日本人が意外と知らない海外のJカルチャー(日本文化)イベントや、世界的なドラァグクイーンイベントの様子も写真とともにご紹介します!

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<もくじ>

1.日本人の知らない“Jカルチャー“の世界!「J’Fest Expo」(メキシコ)

2.知られざるドラァグクイーンの祭典「Austin International Drag Festival」(オースティン)

3.オーストラリア人のビアちゃんが日本代表ってどういうこと? 


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1.日本人の知らない“Jカルチャー“の世界!「J’Fest Expo」(メキシコ)

――今回の出張で参加してきたイベントについて、順番に話を聞かせてください! まずは4/23〜24にメキシコシティでの「J’Fest Expo」。“J”と付いてるだけに日本文化関連かと想像するのですが、これってどういうイベントなんでしょうか。

レディビアード:Jカルチャー(日本文化)を愛する外国人のためのイベントです。本当スゴイよ! 普通こういうイベントってJカルチャーだけを扱ってるんだけど、ここではアジア中の文化を扱ってた。特にJ-POPとK-POPですね。K-POPも楽しめるイベントって意外と珍しい。

イベントは5フロアあるビルをまるまる貸しきるほどの規模で、そのうち3フロアはエキシビジョン、2フロアは物販って感じですね。

――日本の文化を扱っているというのに、わたしたち日本人には聞きなれないイベントですが、毎年開催しているんですか?

ビアード:毎年やってます。メキシコ以外のいろんな国でも有名! わたしの故郷のオーストラリアだけでも複数の日本イベントがあって、小さな町で開催してることも珍しくないんです。

でも面白いよね、海外で愛されてるJカルチャーを日本人はあまり知らないから。本当に多くの外国人に人気がある、立派な文化なのに!

立花奈央子(レディビアード プロデューサー):面白いのは日本で海外文化のフェス、たとえば“タイフェス”とかを開催するときって、タイ大使館とか日本に住んでいるタイ人の方達が共催するじゃないですか。でも今回の「J’Fest Expo」には、ゲストパフォーマー以外日本人が全然居なかったんですよ! 唯一会った日本人といえば、ウーパールーパーの着ぐるみを着た民間交流団体の2人組の女性(笑)。それ以外は、日本人どころかアジア人でもない! なぜか私が現地の子から2ショットの写真撮影を求められるほど、日本人が居ませんでした。

大使館のバックアップもなくほとんど現地の人だけで日本のイベントをやってるって、本当に凄いことだと思うんです。日本人抜きで日本の文化が1人歩きして、そこでビアードが人気になっているというのも(笑)。

ちなみに今回の出張で初めて知ったのですが、中南米の他の国でも日本文化が盛んな場所があるらしいんですよ。チリやコロンビア、ブラジル、ペルーなどなど!

――ペ、ペルー!? 意外過ぎます。

そこまでいくと、日本人の日本文化と、外国人の日本文化にはギャップが生じてそうな気もしますね!

立花:そうですね。今回のイベントでも「それ、日本の文化じゃなくて韓国の文化だから!」ってこと、多々ありましたよ(笑)。

ビアード:実は、海外で人気のJカルチャーって、日本国内で流行っているものとは少し違うんです。たとえば、わたしの故郷で人気だったのはアクションやホラー色の強いアニメだったり……。だから、『ちびまる子ちゃん』を初めて観たときは平和過ぎて本当にびっくりしたもん!

――ちなみに、これまでメキシコでのパフォーマンス経験はあったんですか?

ビアード:今回が初めてです! 

――語学堪能なビアードさん、メキシコの公用語・スペイン語も話せるんでしょうか?

ビアード:実は話せないんです。今回も軽い挨拶程度だったなぁ。今は中国語の勉強に集中してるんだけど、これから勉強していきたいですね。ちなみに日本語とスペイン語って発音が似てるらしいよ。

――今回、初めて会ったメキシコのファンはいかがでしたか?

ビアード:いやー、本当にすごい!! 情熱的な国柄がファンの反応にも表れてた。本当に声援が大きくて、自分の音楽が聞こえないほど! 毎回曲の間で「レディビアード」コールをしてくれるんです。嬉し泣きしてくれる女の子も居たり……。アメイジング!

ちゃんと日本語を勉強して、日本語で話しかけてくれるファンの方も多いんです。オーストラリア出身のわたしが、メキシコ人と日本語で会話してるって、なかなか楽しい光景じゃない?

立花:日本人からしたらすごく面白いよね。オタクの共通言語は日本語になってるんだって思った。

――うおおお、それってなんだか嬉しい!!

そういえば、ファンの中にLADYBABYのコスプレをしている人々も見かけましたが、何よりビアードさんのそっくりコスプレイヤーが居たのが衝撃的でした(笑)。

ビアード:Oh yeah!! 彼はもう〝メキシカンレディビアード〟です!

彼の奥さんも理江(LADYBABYのメンバー)のコスプレをしていました。『ニッポン饅頭』のリリースをきっかけに好きになってくれたみたい。

LADYBABYのMVをそのまま再現しながらダンスをする動画まで作っててびっくり! 歌詞はスペイン語で、メキシコで似たような場所をわざわざ探して撮影しているんです。

――遠いところからずっと応援してくれてたんですね。やっと直接会えて、さぞかし嬉しかっただろうなぁ……。

立花:ちなみにメキシカンレディビアード、ビアちゃんに会ったことがないファンからは本物だと思われて記念撮影を頼まれたりしていました。ファンはフェイスブックに「レディビアード、サインも撮影もしてくれてすごく親切だった」って投稿してたんですけど、運営がそれレディビアードじゃないよ! って慌てて対応してて(笑)。

――面白すぎる(笑)! 本人じゃないのにファンサービスしてるってどういうことですか!?

ビアード:ファンの方から、ファンレターを渡されたりもしてたんです! もちろん、後からわたしにちゃんと届けてくれました。「いっぱいもらっちゃった! それじゃ、あなたに返すね!」って(笑)。本当に良い人でした。会えて良かった!

――初のメキシコで、逆に大変だったことはありますか?

ビアード:1番大変だったのは、メキシコの標高の高さ。空気が薄くて高山病になってしまったんです。メキシコに着いてからトレーニングをしたんだけど、ほんの少し自転車を漕いだだけで息が切れちゃって。最初は「長時間のフライト後だからかなぁ」って気にしてなかったんだけど、ステージでたった1曲やっただけでヘトヘト! ただでさえ体力を使うパフォーマンスなのに呼吸さえ思うようにできなくて、終わってからはすぐに倒れ込んじゃいました。そのときやっと気づきましたね。メキシコに来る歌手みんなが直面する問題のようです。

立花:午前11時に日本を出て、乗り継ぎ含めて20時間。でもメキシコに着いたのは、午後1時なんですよ! 時差の関係でその日のわたしたちの1日は36時間以上あったから疲れたんだと最初は思ってたんですけど、標高の問題でしたね。現地の人にはそれが普通なので、向こうには酸素ボンベも高山病の薬も無くて大変でした。本当は、酸素吸入マスクを持ち込むのが普通らしいです。

ビアード:今度メキシコに行くときは、事前にしっかりトレーニングをしようと思います。加圧マシンを使ったり、富士山でトレーニングをしたりね。大体五合目がメキシコと同じ標高なんです。アスリートもこういう方法をよく使うみたい。



2.知られざるドラァグクイーンの祭典「Austin International Drag Festival」(オースティン)

――メキシコでのイベントを終えて、4/28〜29はアメリカ・テキサス州のオースティンへ。こちらはどんなイベントだったんでしょう?

立花:Austin International Drag Festival( オースティンインターナショナルドラァグフェスティバル)」というドラァグクイーン(※)のイベントです。4日間で世界中から約200人ものドラァグクイーンが集まって、6つのライブ会場と1つのコンベンションセンターで入れ替わり立ち代わりのイベントをやるんです。

※「ドラァグクイーン」……男性が女性の派手な衣装をまとうパフォーマンス。もともとゲイ文化なので、同性愛者や両性愛者が圧倒的に多い。

日本の場合こういうイベントの会場は新宿2丁目が中心ですけど、このイベントは普通の街ナカに会場があるんですよ。

イベントではドラァグクイーンにまつわる映画の上映会や、衣装などのグッズの即売会、パフォーマンスのレクチャー、夜には1人10分程度の短いショーが矢継ぎ早に行われたりしています。会場はとても賑やかでした。初開催は昨年2015年と新しいイベントなんです。

日本のドラァグクイーンの数はそう多くはなく、年に数回、定期的に活動しているのは首都圏の場合30~40人という印象です。でもアメリカでは一般層に対してもすごく人気のあるコンテンツで、TVではル・ポールさんという超有名ドラァグクイーンが毎週様々なドラァグクイーンを競わせていく「ル・ポールのドラァグレース」という番組もあるくらいなんです。メキシコのショーでこの番組の出演者が来た日には会場が1万人もの人々で溢れかえるほど! 

ビアード:今回のイベントでは、わたしはトークショーとライブで参加しました。ドラァグクイーンやLGBTのコミュニティからサポートを受けることはとても嬉しいことです。なぜなら、自分はコミュニティ外の人間だから。それなのに女装をして反感を買わないのは、とても光栄なことだと思います。

――美意識の高いドラァグクイーンの方達に認められるというのは、余計に嬉しいことですよね。

立花:それにしても、とんでもない空間でしたよ。日本ではドラァグクイーンを1人見かけただけでも「おっ」と思うじゃないですか。でも今回のイベント中に滞在したホテルは会場内だったので、右を見ても左を見てもゲイかドラァグクイーン! かなりの異世界でした。ホテルの客室フロアのロビーにまで撮影ブースがあるくらい(笑)!

特に面白かったのは、日本ではまずドラァグクイーンしかいないのに対して、アメリカでは“ドラァグキング”という女性の男装バージョンも結構見られたこと。

ビアちゃんのファンの中には、濃いヒゲを描いて男装してる人も居て、超シブくてかっこよかった! 宝塚などの日本文化が好きで日本語上手な人が多かったのも印象的でしたね。

――海外のドラァグクイーンとの交流はいかがでしたか?

ビアード:トークでは下ネタが多かったのがちょっと辛かったです。わたしは永遠の5歳児なので……。あとは、ゲイって前提にもなってた(笑)。

立花:日本ではファッション感覚で女装する人が増えましたが、海外の場合はまずゲイやトランスジェンダーと思われちゃうんですよねぇ。

ビアード:でもでも、イベントで出会ったドラァグクイーンはみ〜んな歩くアート! すっごくオシャレ! ヒツジの人なんて特にハイセンスで見惚れちゃった!!

――日本のドラァグクイーンとはまた違った魅力がありますよね。

ビアード:ドラァグクイーンという一言には収まりきれないイベントでした! ハロウィンのようなワンダーランド。奇妙な夢の中に居るみたい。

――まさに“ふしぎの国のビアード”! ライブを観ていたファンはいかがでしたか?

ビアード:半分がドラァグクイーン、半分がわたしのファンだった。中にはJカルチャーが好きな人達もたくさんいて、セーラー服のようなコスチュームを身につけている人もいました。

立花:ビアちゃんのファンには日本好きが本当に多いよね! いつか日本に行きたいって夢を語ってる人もたくさん居た。

――もうビアードさん、日本の観光大使になったら良いのに!!



3.オーストラリア人のビアちゃんが日本代表ってどういうこと? 

――そういえば今回のイベント出張のタイミングで、海外サイトでもビアードさんが特集されていましたよね。LGBTの方の扱いを平等にするために活躍しているとも書かれてました。ファンを楽しませるだけでなく、このように社会的なインパクトを与えることは予想していましたか?

ビアード:狙っていたわけではないけど、ボーナス的なポイントだとは思いますね。

ファンレターでよく頂くのが、「ビアードのおかげで、自分が人からどう見られるのか気にならなくなった」というポジティブなコメント。これはとても嬉しいことです。

また、たとえば中国の人々は子どものうちからすごくプレッシャーを抱えて生きているんです。2歳から勉強させられるほどの学歴重視で、就職に失敗すれば夢を捨てて低賃金で働かざるをえない社会。でもわたしは、誰がなんと言おうと夢を追い続けることの大切さをみんなに伝えたいという気持ちが常にあります。

昔はわたしが周りの友達に“女装して5ヶ国語で歌って踊ってプロレスをやる”と宣言しても「そんなの無理」って笑われるだけだった。それでもこうして成功しているからね。

――それにしても、日本独自のカワイイ文化をオーストラリア人のビアードさんが世界中に発信してるというのは物凄いことですよね。

立花:ほとんどの外国人にとっては、日本ってテレビの向こう側の世界なんです。日本に来られる人はほんの一部だし、日本のコスプレイヤーや芸能人で外国語を話せる人はなかなか居ないから、接点が無いんですよ。彼らにとって、日本人と日本文化って2次元に近い存在なんですよね。

でもビアちゃんの場合は様々な外国語を話せる、かつ日本文化を再構成して発信してるという部分で、海外の人にとってはすごく身近な存在になっているんだと思います。

ビアード:だからこのように日本文化と深く関わって活動してるわたしは、海外の人から羨ましがられることも多いと思うんです。日本の良さを世界中に発信できることは、すごく誇らしいとことだと思っています。

――ビアードさんはもともとゲームから日本のオタク文化を勉強したからこそ、世界中で活動するチャンスを得たわけですよね。それについてはどう思いますか?

ビアード:ビックリ、同時に不思議です。まさかこのような活動ができることになるとは全く期待もしていなかった。今はすごく楽しいです!

立花:海外のファンにとって、ビアちゃんを知るきっかけはほとんどが日本での出来事だよね。LADYBABYでの活動だったり 、「日本で変なことしてる外国人が居るぞー!」っていう話題だったり……。

――それを踏まえて、これから先はどんな風に海外に向けて自分をアピールしていきたいですか?

ビアード:世界中の人にとって“スーパーヒーロー”になりたいです! この人のような……というのは無くて、全く新しいヒーロー! パワーは、人を元気にする力です。これからもっともっと様々なことに挑戦して、パワーを蓄えていかなきゃね。

――それでは最後に、今回の海外出張を終えて新たな発見や心境の変化があったら教えてください。

ビアード:行く先々で、パフォーマンスの構成を変えなきゃいけないと改めて思いました。

日本でのパフォーマンスは、主にJ-POPのヘヴィメタルカバー。でもJ-POPを知らない海外のお客様にはこのジョークがわからないから、違う伝え方をしなければいけないんです。

その点LADYBABYの強いところは、全部がオリジナルソングということだと思います。

あとは、ステージを作るスタッフとのコミュニケーションの大切さを再確認しました。日本のスタッフとは違って、海外のスタッフはリハーサルが不要だという人も多いんです。しかも毎回初対面だから、必ず小さなハプニングが起こります。たとえ英語を話すスタッフであってもね。

どのようにリハーサルをするように説得するかとか、スタッフのミスを本番でどのようにカバーするかはこれからのわたしの課題だと思います。

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これまで数十回も経験している海外出張。もう手慣れたものかと思いきや、意外にも行く先々でのトラブルはつきもののようです。

次回の『レディビアード外伝』第7回では、そんな過去の海外出張で起こった珍事件に迫ります。現地で売上の9割を誤魔化された話、極寒の地にビキニ姿で放置された話などなど今となっては笑って話せるものの、なかなか壮絶なエピソードが盛りだくさん!  おたのしみに!

★『レディビアード外伝』は毎週木曜日 朝9時更新。第7回は5月12日(木)9時に公開予定です。


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レディビアード外伝

露出度急上昇中、注目のヒゲ女装パフォーマー・Ladybeard(レディビアード)公式note。独自取材によるレディビアードの世界観と裏話を盛り込んだ濃厚なインタビューをお届けします。心によく効く読むプロテイン。担当ライター:池田麻友菜http://ladybeard.com
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