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自立した女が好きとかのたまう割に女の自立心を求めない話

「自立した女性が好きなんだ」
「君となら対等な目線で会話ができる」

これは私が男性に好意を持たれる際によく使われるアプローチのセリフの一つだ。もしかすると私の毛穴という毛穴全身から「自立したいい女と言われたいです!」という気持ちが見え隠れしているのかもしれない。だったら超絶恥ずかしい話。

その思い込みも含めだが、私は男性から自立した女性に見られることが多い。それはフリーランスであること・自分の意見を持っていること・同時に相手の意見を聞き入れる余裕があることだと男性らは言う。その中でも、好いて寄ってくる男性はいずれも「俺に依存しないその強さがいい」と私に期待をする。

だけどはっきり言いたい。出会ってきたほとんどの男性たちは、最初こそ自立した女が好きと言いながら、付き合いが深くなるうちに女性の自立心も、主義主張も腹の中では認めていないのだ。今日はそんな話。

| 自立した女にありがちなこと

多分、私だけではないと思うのだが自立心のある女性は、基本的に肝が座っている。自分の主義主張を通したい我の強さがある。良くも悪くも。そして、その主張を自己分析し、いかに意見を通せるかよく考える。具体的には、それについて話の持っていき方、相手に合わせた伝え方、相手の出す返事の2つ先までの展開を読み取る。

なので、これまで誰かと意見がぶつかると言うときは大抵、私の中で伝えたい本筋が決まっていて、相手にどうしたら伝わるのか簡単なシナリオができた状態で話を進めていく。そのため、時には相手がすんなり納得してくれることもあるし、時には言い負かされた気分になって悔しいと思われることもあった。

ただ、後者の感情を相手が持たないようにできるだけ語気は柔らかく、相手の意見・感情・私にしてほしいことなどは一通り聞くよう注意しているので最終的には納得してくれることが多い。このことについてはかなりデリケートなため、決して自分よがりに話を進めようとはしないと私の中で決めているのだが、この話の展開そのものが男性にとってはどうにもお気に召さないようだ。

にも関わらず私はそれを知らずして「自立した女性が好きだ」という男性の言葉を信じた。そう言ってくれることで、自分のこの在り方を受け入れてくれた気がして、また相手がそれを望んでくれていると思って積極的に二人の関わり合いについて話し合う姿勢をとっていた。

|話し合い姿勢をとっても伝わらない

ここ最近あったことでいえば、パートナーに「愛情表現の頻度や度合いに違いを感じて寂しい」というのを言葉そのままに伝えた。端的にいうと私はスキンシップを積極的に取るほうが良好な関係を築けると思っている、相手はスキンシップを過度にされるのを嫌うという話。彼サイドの気持ちも理解できるので、「じゃあ、どの程度のスキンシップなら良い?どこまでをお互いに譲り合える?」というのを自分がいま寂しく感じている感情を交えて冷静に伝えた。

すると相手は「僕は僕なりの愛情表現をしている。それを感じられないということが逆に傷ついた。君の度合いには合わせるつもりもない。だからそれが違うというのなら僕と一緒にいても君は幸せになれないんじゃないだろうか」という内容をもう少し暴力的に言われた。

そうではなくて、お互いにとって良いと思える間をとっていこうと何度も伝えても、伝わらなくて最終的に彼は自分が私に譲歩する必要はないと言い切って終わったのだ。

この一連の流れ、女性によっては感情的になって好きなのに決別を選ばざるを得ない事態になるだろうと思う。それくらい感情を煽るような言い方をされながらもなんとかぐっと抑えて、それでも分かり合える部分はないかと歩み寄る姿勢でいた。

この最中、私は建設的な話し合いをお互いに望んでいたと思ってずっとそういう態度をとっていたのだが、後日彼からそういう話し合いすらもして欲しくないと言われてしまったのだ。

|理不尽な俺を受け入れてくれ

結局彼が言いたかったこと。それは、自分の良い部分もダメな部分も全てあるがままに受け入れて自分に意見をしないでほしい。こうしてほしいというお願いもしないでほしい。だけど、君に対して思う意見は言う。そういう俺を受け入れないなら、多分うまくいかない。とにかく君が折れて。

......ということだった。

理不尽極まりない考えである。そしてその精神的な未熟さを冷静に指摘しようものなら「そういう話し合いに持ち込まないで欲しい」とまた感情的になる。ただその真意としては、口では私に勝てないことを本人がよく理解しているのだろう。そして自分がいかに身勝手であるかということを自覚している。それでも私に対して素直に謝れない。だから、その全てに目をつむって、理不尽さも含めて受け入れて欲しい。それが彼の願いであり、女性に求めることだった。

それが本心なら、かつて自立した女と建設的な話し合いの元、パートナーシップを築きたいと言っていた彼の意見は、カッコつけたい男の上澄みのような言葉だと悟った。

ちなみに彼の話を引き合いに出してしまったが、彼以外の男性も全員似たりよったりである。本質的に男はカッコつけたがりな反面、内側に入った女性にはなんでも全て受け入れてくれなくちゃ嫌だと言う駄々っ子みたいな気質がある。

痛いところを突くような女性を忌み嫌う。言い方を悪く言えば、弁の立つ賢すぎる女が嫌いなのだ。自分のプライドを保てないから。男はヒーローだから。女を守るから。好きな女より賢くて、精神的に強い姿を見せ続けたい。だからそうでいさせてくれ、夢を見せてくれ。現実はへなちょこでもその姿に目をつむってくれ。私は母親か。

もう本当にそうじゃない男性に一度も出会ったことがないから、自分はそうじゃないという男性がいるならぜひもう声をあげて欲しい。魂レベルで惚れる。

|人付き合いは、我慢のしあいっこ

私から見れば激しく理不尽に思う彼の主張、結果的に私は色々踏まえて飲むことにした。なぜなら、彼以外の男性を選んだとしても大して変わらないから。誰と付き合っても、人と一緒にいるということはそういう理不尽を受け入れることである。少なからず女友達との付き合いにも、多少の理不尽さや我慢は必要だ。

幸い彼は自己俯瞰力が高い。自分が「あぁ、俺は理不尽な発言をしているな」と心で理解している。理解してなお、謝れず。なのだから、もう諦めるしかない。許せないと思って別れを選ぶのなら、それはその程度の“好き”だったにしかすぎない。

彼が変わらないことも知っているし、私も私とて彼に「こうして欲しい」と言われたことを変えられようもない。この記事はあくまで私サイドで話をしているが、彼サイドでの見え方はまた断然違うものがあるとも思っているし、彼は言葉にしていないだけで私のダメな部分をたくさん見て、その上で我慢しているのかもしれない。私は彼の理不尽さを受け入れ、彼は私の理論的な話し合いに我慢する。私ばかりではない、彼も我慢して付き合ってくれるのだからお互い様であり、結局は許し合うしかない。

ロマンチックな言い方をするなら、本来の私なら憤慨レベルの理不尽さえ、許してもいいと思えるくらいに好きだから目を瞑れる。


|自立した女性が好き、それすなわち...

自立した女性が好きという男性でも、自立している女性に色々言われるのを好まない。自立心が強いことは素晴らしいが、それに対する意見も批判的な目も、見下されるのも男は嫌いなのだ。

男の言う自立した女性が好き。それすなわち「俺に依存しない精神的な自立心がありながらも、俺のやることには常に肯定的であれ。自立してもいいが、俺より賢い部分はできれば見せないで欲しい」ということだそう。

自立した女性はその男の身勝手な意見に猛反撃をするだろう。そして「そんな身勝手なことをいう男なんてこっちだって必要としない!」とさらなる強さを出し、そんな理不尽なことを言わない男性を求めるのだ。

しかし、先にも言ったように残念ながらそういう男性はいない。パッと見、そういう理解のある大人な男性を演じても、付き合いが半年〜1年経つうちに残念な部分は必ず出てくる。しょうもなっ!と思う部分も出てくる。

だから、もうそれはそれとするしかない。人と付き合う以上そうした強さ・賢さ・正しさを見せすぎないことも、もしかすると一つの優しさなのではないだろうか。

こと男性においては、内心では相手の女性の人間性や賢さを認めているものの、表面上や二人の関係上では男として自分を立てて欲しいと思っているのだ。それを理解していろんなことを目を瞑る優しさを行動で表せられるように今、私は自分なりに練習をしている。



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