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言われているとおりにやっているのにどうして怒られるの?、と思った人へ

私たちは上司など、他人からの指示や依頼を受けて仕事をすることを避けては通れません。この時、お客さんや上司から言われたことを、求められているとおりにやっているのに、できたものを持っていったら怒られたという経験を持つ人もいるでしょう。
ここでは、『言われたとおりにやっても怒られるのはなぜか』ということと『それを防ぐためにはどうしたらよいか』ということを『要求分析』という観点から書きたいと思います。

言われたとおりにやったのに怒られる例

上司に書類を提出したところ、「『○○と○○の部分を○○と○○』と書き換えてくれ」と言われたので、言われたとおりに書き換えました。しかし、修正した書類を持っていったところ、別の場所の修正を指示されました。これを何回か繰り返したところで、「書類をしっかりと見直してから持ってこい」と怒られました。これを理不尽と感じる人は多いでしょう。ここで、この内容を『要求分析』という面から考えてみましょう。

「要求の分析」の重要性

ITシステムやソフトウェアの開発を行う際に、利用者や顧客がどのようなシステムを作ってほしいかを明確にしていく工程を『要求分析』といいます。『要求分析』は実際の使用場面を見たり、インタビューを行うことで決定していきます。
ところで、この『要求分析』を実務で行っていると、顧客自身が自分のニーズを適切に把握できないと感じることは少なくありません。
例えば、「ここにボタンをつけて○○をできるようにして欲しい」という要望があったとします。しかし、その部分にボタンをつけると、やりたいことの妨げになると感じることがあります。このようなときは、顧客がなぜそのようなことを言っているのかという理由を聞きます。このようにして顧客の真のニーズを探りながら要求を明確化していきます。そのうえで、顧客の要求を満たす方法を一緒に考え、代替案を検討していきます。

システム開発だけではない『要求分析』

このような『要求分析』はシステム開発だけではなく、他の人と仕事をする際には常に意識することが望ましいと思われます。
上に書いた「言われたとおりにやったのに怒られる例」では、上司の言葉をそのまま要求と考え、真のニーズを考えていないことが原因である可能性があります。
例えば、上司のニーズが「文章の間に論理的な矛盾があるため、修正の必要」であり、具体的な指示が「その文書における矛盾の解消方法」であったとします。しかし、単純に指示に従っただけでは別の矛盾が生じてしまい、別の修正が必要になってしまったという現象が起こったのかもしれません。そして、上司としては、単に言われた部分だけを直すのではなく、矛盾が解消された文章を持ってきてほしかったのかもしれません。

真のニーズの把握と仕事の効率化

一般的に仕事は終盤になってから修正を行うのは大きな労力が必要になります。一方で、大きな修正であっても、初期であれば対応できることも少なくありません。そのため、できる限り早い段階で変更が生じるリスクを減らしておくことが重要です。
修正が生じる原因の一つは、相手の真のニーズを十分に捉えられず、表面的な要求をそのまま組み込んでしまうことにあります。そして、その問題が終盤になって顕在化することがあります。そのような修正が必要となると、大きな作業量が必要となります。このようなことを避けるため、相手の要求は真のニーズを述べていないかもしれない、という意識を常に持つことが大切です。そうすることで、事前に要求の認識の違いによる問題の発生を防ぐことができる可能性が高まります。
一方で、初期に真のニーズを要求に組み入れると、手間のかかる修正が減るため、最終的に仕事の効率が上がります。そして、仕事の効率が上がることで、相手の人が怒ることも少なくなっていくでしょう。

「言われているとおりにやっているのにどうして怒られるの?」、と思った場合には、『自分が相手の真のニーズを捉えられず、表面的に要求されたことをしていることが原因』かもしれない、ということに思いを巡らせてみると良いかもしれません。


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