キャプチャ

初体験の話

「すみません。」
目の前の人物はそう言って頭を下げた。仮にTさんとする。
「お詫びのしようもありません。私にできるのはこのくらいなんです。」
Tさんは頭を下げたままそう言った。
「そう………ですか。それなら仕方ありませんね。」
頭を上げてください、そう言いつつ僕はTさんを見つめる。嫌な役回りだと思う。別にそこまで深謝されるような案件でもなかったのに。世間ではこうも謝らないと許さない人・法人が多いのだろうか。

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