カマイルカ

1992年東京生まれ。映像関係の仕事をしています。 読書を中心に、テレビや映画、昭和歌…

カマイルカ

1992年東京生まれ。映像関係の仕事をしています。 読書を中心に、テレビや映画、昭和歌謡などについて書くと思います。

最近の記事

映画「ロミオとジュリエット」フランコ・ゼフィレッリ監督,1968年

不朽の名作、フランコ・ゼフィレッリ監督の「ロミオとジュリエット」を観ました。 1.バルコニー有名な、バルコニーにたたずむジュリエット。その下にロミオがやってきてジュリエットを見上げる、というシーン。 脚本家の北川悦吏子さんはこのシーンの男女を逆転させて、「ロングバケーション」にて山口智子がキムタクを見上げるシーンや、「半分、青い」にて永野芽郁が佐藤健を見上げるシーンを作ったという。 人物の位置が上下にずれていることで、2人の視線は決して自然にはかみ合わない。まだ結ばれて

    • 散歩「長崎~茂木」2020年5月23日

      岸政彦『図書室』を読み終わったら、なぜかどうしても、少し歩きたい気分になった。 そこで、3時間ぐらい歩いて丘を越えた先の漁港まで行った。 不意に始まった散歩が思いのほか楽しかったので、日記として残しておく。 大まかに以下のような経路をたどった。 画像は一部Googleストリートビューから拝借している。 1.市中心部長崎市の中心部。 スタバがあり、ドンキがあり、みんなマスクをしている場所。 僕の家はここにある。 朝から馬に乗ったあと、昼ご飯と読書のために、喫茶店に行っ

      • 岸政彦『断片的なものの社会学』朝日出版社,2015年

        社会学者・岸政彦さんがフィールドワークとして市井の人々にインタビューをする中で出会った、学問上の目的に収まらない事柄、場合によっては解釈すらできない事柄について綴ったエッセイ。 思うところがあって再読した。 僕もテレビ番組を作るという仕事上、インタビューをするので、日頃なんとなく感じていることと符号する点は多い。 普段、自分は取材相手を、貧困家庭を支援している人を取り上げる番組なら貧困家庭を支援している人だと思って、野球に打ち込む中学球児を取り上げる番組なら野球に打ち込

        • 映画『プロメア』今石洋之監督,2019年

          映画『プロメア』、観てきました。 『天元突破グレンラガン』という大好きな作品と同じ監督・脚本のコンビということで観に行きました。期待通りでした。 息をつかせない展開、熱いセリフ、確かな声優陣など、楽しく観れる要素が揃っています。 中でも僕の印象に残った点を二ヶ所、書きます。 1.アニメとアニメーション「君の名は。」あたりから(もっと前から?)、アニメ映画に対して「神作画」というような言葉で高い評価が与えられることが増えた気がしています。 写真や絵画のように緻密に書き込

        映画「ロミオとジュリエット」フランコ・ゼフィレッリ監督,1968年

          松竹大歌舞伎「二代目松本白鸚・十代目松本幸四郎襲名披露」2019年4月24日

          歌舞伎を観に行ってきました。 昨年発表された、高麗屋の「親子三代同時襲名」。 ・松本幸四郎  改め  二代目松本白鸚 ・市川染五郎  改め  十代目松本幸四郎 ・松本金太郎  改め  八代目市川染五郎 その襲名披露公演が、佐賀市文化会館で行われていたので、行きました。 1.襲名披露口上二代目白鸚を中心に出演者が並び、 二代目白鸚と十代目幸四郎の襲名披露の口上。 「高麗屋!」「十代目!」の声が響いていました。 ちなみに座席がS席2列目という良い位地で、間近に見ることができ

          松竹大歌舞伎「二代目松本白鸚・十代目松本幸四郎襲名披露」2019年4月24日

          古典芸能への招待 歌舞伎「野晒悟助」 Eテレ,2019年3月31日

          平成30年6月、歌舞伎座での公演が放送されていました。 「野晒悟助(のざらしごすけ)」は前回上演されたのが1998年5月だということで、20年ぶりの上演だったらしい。 僕的に印象的だった2点について。 75歳、尾上菊五郎が演じる“男伊達”主人公は、喧嘩が強く人情に熱い“男伊達”野晒悟助。 基本的に彼のカッコよさを味わう作品です。 悟助は強くて優しいので、貧しい娘であるお賤(しず)と、裕福な娘である小田井(おだい)という2人の異なるタイプの女性に惚れられる。 ちなみに、

          古典芸能への招待 歌舞伎「野晒悟助」 Eテレ,2019年3月31日

          俵万智『あなたと読む恋の歌百首』文春文庫,2005年

          この前、友人と話していたら「意中の女性に振られた」という。 そして別れの時に、この『あなたと読む恋の歌百首』をプレゼントされたという。 なんだそれ。 「あなたと仲良く肩を並べて、この本を読む未来もあり得た」という意味なのか、「これでも読んで少しは女心を勉強しろ」という意味なのか。 いずれにしても、なんて感受性豊かで、ウィットに富んだ女性なのか。 そんな女性と「ふる/ふられた」の当落線上を漂った友人を少し羨ましいと思った。 そんなわけで私的ヒットソングを並べる。 個人の

          俵万智『あなたと読む恋の歌百首』文春文庫,2005年

          人気爆発してるYouTuber、inliving.さんについて

          最近、「おお!!」と思った、お気に入りのYouTuberがいます。 普段は本について書いてますが、今回はその紹介と、僕なりの感想を綴ります。 チャンネル名は、” inliving. ”。「イン リビング」と読みます。 ririkaと名乗る、可愛くて、とても透明感のある、女性が出ています。 動画のジャンルは、Vlog(Video Blog)と呼ばれる、動画を使ったブログ。 日本では「~してみた」のような企画を売りにするYouTuberが主流ですが、 inliving.は、ど

          人気爆発してるYouTuber、inliving.さんについて

          穂村弘『シンジケート』沖積社,1990年

          現代の人気歌人、穂村弘さんのデビュー作。 1986年、俵万智が『八月の朝』で角川短歌賞を受賞した時。 次点だったのが穂村弘の『シンジケート』らしい。 今回も僕的にヒットしたのを載せる。 セクシャルなもの。 「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」 「さかさまに電池を入れられた玩具(おもちゃ)の汽車みたいにおとなしいのね」 回るオルゴールの棘に触れながら笑うおまえの躰がめあて 悪い男。 裏切りに指輪よ描けほほを打つバックハンドの軌跡の

          穂村弘『シンジケート』沖積社,1990年

          俵万智『サラダ記念日』河出文庫,1987年

          「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 「現代短歌を知ろう」と思い立ち、読んだ。 僕的にビビッときた歌を淡々と紹介していこうと思う。 まずは、「サラダ記念日」のイメージ通りの、恋をする爽やかな女性、な歌たち。 たまたまどちらも、写真・カメラを題材にした歌。 江ノ島に遊ぶ一日それぞれの未来があれば写真は撮らず 「野球ゲーム」より 三脚とカメラをいつも連れて来る 二人っきりでいようよ今日は 「路地裏の猫」より 特に後者は、「THE “女ごころ”」と

          俵万智『サラダ記念日』河出文庫,1987年

          川本三郎 『 「それでもなお」の文学 』 春秋社,2018年

          タイトルに惹かれて購入。 文学とは、人が生きる悲しみ、はかなさを語るものではないか。 それも大きな言葉ではなく小さな言葉を重ねることによって。 (まえがきより) 僕は、「それでもなお」の物語が好きであることに最近、気がついた。 僕がいう「それでもなお」の物語とは、 映画にしろ小説にしろ、作品の大部分を使って、主人公が穴に落ちていく、絶望的な現実にぶち当たっていく、物語だ。 そして、そうした状況の中で、主人公が「それでもなお」何かを主体的に選択し行動していく、未来へ自己

          川本三郎 『 「それでもなお」の文学 』 春秋社,2018年

          本とテレビ

          僕は、テレビのディレクターの端くれであり、こんな時代にテレビ番組をよく観る。 また、本が好きで、読書が僕にとって最も重要な社会への窓だ。 ここでは僕の思考の整理のために、観た番組、読んだ本について書く。 三日坊主、どんと来い。

          本とテレビ