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お仕事小説!まどうのほし🪐࿐✩.*˚③

💥💥💥ビックバン起きちゃったもんね 事変💥💥💥

そうこうしていても、日々は着実に流れるわけで、それなりの日常生活を送っていた。

ご飯なんて食べる気もしないけれど、ちゃんとスーパーに行って、食材を買い込んで、煮込んで、自分のためだけのスープを作る。

味なんて正直分からないけれど、生きてるよっていう証明のために写真を撮ってSNSにあげる。

私は、リアルでの昔からの知り合いや、一方的に知っている人達もフォローしている。
彼ら、彼女たちはこぞって素敵な写真や動画をアップロードしていた。

どこそこに行った!
これ食べた!楽しい!
幸せ♡という文章を添えて。

それを眺めながら、自分の幸せについて考えてみる。
こういう幸せもあったはずなのに、私には無いのはなんでだろう。
最後に恋愛したのいつだっけ。何となく付き合って、結婚っていうこともあったのだろうけれど、選ばなかったな。

ラブラブアピールと言ったら死語かもしれないけれど、夫婦仲やカップル仲の良さを見せつけてくる人って、そういうことをしないと保てない関係だったりもするのだよなぁ、と思ってみたり。

みんな楽しんでいていいなぁと思う半面、見えない世界もあることに気づいてしまってから、SNSも純粋に楽しめなくなってきた。

夢が見れなくなったのだ。

心の底からやりたいこと、楽しいこともあるはずなんだけど、情熱がどっかにいってしまった。

何かに夢中になりたいし、没頭もしたい。
強烈にこれなんだって主張したい。

でもそれってなんなんだろう。

本棚にふと目をやった。
そういえば最近本も読んでいないな。目に付いた本があった。

宮沢賢治だ。

本を開いて文字を追っていった。
なんだか夢中でかじりついて、読み進めてしまった。

あれ文字ってこんなに躍動感があって、リズムあるものだったっけな。

止まって見えた時計も時刻を進めていた。
気づけば、2時間経っていた。

次はなんだか、声に出して読みたくなった。

秋の昼下がりの陽気に包まれて、銀河鉄道の夜を読むというのはなんだかおかしかったのだけれども、なんとも言えない安心感に包まれた。

あんなに怖く感じた、夜が愛おしくなってきたのだ。

久しぶりに夕方を受け入れられる気がした。

いつもだったら、気づいたら夕方で何もしなかった、何も出来なかったと絶望を迎えていたのだ。

声に出して読んでみたら、次は誰かと話したくなった。
人と心が繋がった会話がしたくなった。

「あーお腹減った!」

思わず、声が出た。
部屋に1人なのに。
久しぶりに心の底からお腹が減ったと感じたのだ。そんな自分に驚きもしたし、生きてる実感がした。

「夜風に当たりに行ってくるか!」

久々に楽しく外出出来る気がした。

12話完結です!同じ人物の話なので、順を追って読んでください🙇‍♀️


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